失敗しない店舗物件の探し方|飲食店・美容室・小売店業態別の物件選びのコツ
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『店舗を開業したいが、どのように物件を探せばよいかわからない』『物件選びで失敗し、開業後に後悔したくない』。こうしたお悩みをお持ちの方に向けて、この記事では店舗物件の探し方を基礎から実践まで丁寧に解説します。
この記事でわかること
- 店舗物件探しの正しい手順と最適なタイミング
- 飲食店・美容室・小売店それぞれに適した物件選びのポイント
- 内見時に必ず確認すべきチェック項目
- 契約時のトラブルを避けるための注意点
- よくある失敗例とその対策方法
店舗物件選びは、開業後の集客や売上、さらには事業の成否を左右する重要な要素です。立地条件、賃料、設備、契約条件など、確認すべき項目は多岐にわたります。しかし、正しい知識と手順を身につけていれば、ご自身の理想に合った最適な物件を見つけることができます。
この記事では、初めて店舗物件を探す方にも分かりやすいように、物件探しの基礎知識から業種ごとの具体的な選び方、内見時のチェックポイント、契約時の注意点まで体系的に解説します。また、不動産会社との上手な付き合い方や、よくある失敗例とその回避策も紹介しているため、実践的な知識が自然と身につきます。
最後までお読みいただくことで、物件選びに関する不安を解消し、自信を持って理想の店舗物件探しを進めていただけます。理想の店舗で開業を成功させるための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。店舗物件探しにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

株式会社Lovation
山田 真吾(やまだ しんご)
店舗デザイナー
資格 : 照明士 / 商業施設士 / 色彩検定/マーケティング検定
これまでに手がけた店舗数は 180以上。 美容室、飲食店、カフェ、物販、フィットネス系、サロン系など、あらゆる業態において店舗デザインの実績があります。地域は北海道から沖縄まで日本全国で「多くの人から愛され、永く続くお店づくり」をサポートしています。
店舗物件探しを始める前に知っておくべき基礎知識

理想の店舗を実現するためには、物件探しを始める前にしっかりとした準備が不可欠です。開業に向けたスケジュール管理や物件の種類の違いの把握、さらに契約時に必要となる初期費用を正確に理解しておくことで、納得のいく物件選びが可能になります。この章では、物件探しを成功させるための基礎知識を詳しく解説します。
開業までのスケジュールと物件探しのタイミング
店舗開業を成功させるためには、開業予定日から逆算し、計画的に物件探しを進めることが重要です。私たちのこれまでの経験では、店舗開業までに6ヶ月から1年程度の準備期間を要する方が多くいらっしゃいました。
物件探しを開始する理想的なタイミングは、開業予定日の5〜6ヶ月前です。この期間があれば、複数の物件を比較検討し、内見を重ね、契約交渉を行う余裕が生まれます。焦って物件を決めてしまうと、立地や条件で妥協しなければならず、開業後の経営にも悪影響が及ぶ恐れがあります。
契約後すぐに内装工事に取りかかれるよう、事前に体制を整えておくことが不可欠です。内装工事には通常1〜3ヶ月程度かかり、工事期間中も賃料は発生します。この「空家賃」の期間をできるだけ短くするためにも、契約前に内装業者との打ち合わせを進め、設計図面を準備しておくことが賢明です。
また、飲食店や美容室などの許認可が必要な業態では、保健所への申請や検査に2週間から1ヶ月程度を見込む必要があります。開業日から逆算し、各工程に必要な期間を踏まえてスケジュールを立てましょう。
| 時期 | 主な作業内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 開業6ヶ月前 | コンセプト策定、事業計画作成 | 出店エリアとターゲット顧客を明確化 |
| 開業4〜5ヶ月前 | 物件情報収集、内見、物件決定 | 複数物件を比較し慎重に選定 |
| 開業2〜3ヶ月前 | 賃貸借契約締結、プランニング、デザイン、内装工事開始 | 契約条件を入念に確認 |
| 開業1〜2週間前 | 内装工事完了、設備搬入、役所検査 | 保健所検査などの行政手続きを完了 |
| 開業直前 | スタッフ研修、プレオープン | オペレーションの最終確認 |
店舗物件の種類と契約形態の違い
店舗物件には大きく分けて「スケルトン物件」と「居抜き物件」の2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の事業計画に合わせて選ぶことが大切です。
スケルトン物件とは
スケルトン物件は、内装や設備が何もない骨組みだけの状態の物件です。壁や天井のコンクリートがむき出しの状態で、一からすべて作り上げることができます。理想のデザインや動線を自由に実現できる点が最大の魅力です。一方で、内装工事費用が高額になりやすく、工事期間も長くなる傾向があります。初期投資に余裕があり、独自性の高い店舗づくりを目指す方に適しています。
居抜き物件とは
居抜き物件は、前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま引き継げる物件です。厨房設備、空調設備、カウンター、照明など、すでに設置されている設備を活用できるため、初期費用を大幅に抑えられ、工事期間も短縮できるという大きなメリットがあります。特に飲食店の場合、厨房設備一式を新たに導入すると数百万円かかる場合もあるため、居抜き物件は開業資金を抑えたい方から人気を集めています。
ただし、居抜き物件を選ぶ際には注意点もあります。
設備が古くなっている場合は、開業後すぐに修理や買い替えが必要となることもあります。内見時には、厨房機器の動作確認、空調設備の稼働状況、給排水設備の状態などを細かくチェックすることが重要です。また、前のテナントのイメージが残っている場合、ご自身の店舗コンセプトとの違いが生じる場合もあるため、その点にも注意しましょう。
立地による分類
ビルインテナント、路面店、商業施設内テナント、ロードサイド店舗などがあります。ビルインテナントは複合ビルの一室を借りる形態で、賃料が比較的抑えられる傾向にあります。路面店は通りに面した1階部分の店舗で、視認性が高く集客力に優れています。商業施設内テナントは集客力の高い商業施設内に出店する形態で、来店者数を活かせる一方、営業時間や内装に制限が設けられている場合が多くあります。
理想の店舗づくりを実現するためには、物件の種類や特性を理解した上で、予算やコンセプトに合った選択をすることが求められます。物件選びから内装デザインまで一貫してサポートしてくれる、ロベイションのような専門会社に相談するのも、スムーズな開業準備には有効です。
| 物件の種類 | メリット | デメリット | 向いている業態 |
|---|---|---|---|
| スケルトン物件 | 自由な内装設計が可能、新築同様の状態 | 初期費用が高額、工事期間が長い | 独自性の高い店舗を目指す全業態 |
| 居抜き物件 | 初期費用を抑えられる、短期間で開業可能 | 設備の老朽化リスク、レイアウト変更に制約 | とにかく安く出店したい場合 |
| 路面店 | 視認性が高い、不特定多数に認知されやすい | 賃料が高額、競合が多い | 物販店、カフェ、美容室、飲食店 |
| ビルインテナント | 賃料が比較的安い、立地選択肢が多い | 視認性が低い、エレベーターの有無が影響 | 美容室、エステサロン、事務所併設型 |
店舗物件の契約に必要な初期費用について
店舗物件を契約する際は、賃料以外にもさまざまな初期費用がかかります。開業資金を適切に配分するためにも、初期費用の内訳と相場を正確に理解しておくことが不可欠です。
店舗物件の保証金(敷金)とは?
店舗物件の保証金(敷金)は、賃料の6〜12カ月分が相場で、居住用物件と比べて高額です。保証金は賃料の滞納リスクに備えて貸主に預けるお金で、退去時には原状回復費用などを差し引いた額が返還されます。ただし、契約内容によっては「償却」として一定割合が差し引かれる場合があるため、契約前に償却条件を必ず確認しましょう。
店舗物件の礼金とは?
礼金は貸主へのお礼として支払う費用で、一般的に賃料の1〜2ヶ月分が相場です。礼金は退去時に返還されないため、初期費用を抑えたい場合は、礼金がかからない物件を選ぶのも一つの方法です。地域によっては礼金の慣習がなく、代わりに敷引き(退去時に保証金から差し引く制度)を採用している場合もあります。
店舗物件の前家賃とは?
前家賃は、契約月と翌月分の賃料を前払いする費用です。月の途中で契約する場合は、契約日から月末までの日割り賃料と翌月分の賃料を合わせて支払います。例えば、賃料30万円の物件を月の中旬に契約した場合、約45〜50万円程度の前家賃が必要になります。
仲介手数料や保険
仲介手数料は宅地建物取引業法で家賃の1ヶ月分が上限と定められています。不動産会社によっては仲介手数料が無料や半額の場合もありますが、その理由を確認することが大切です。自社物件であるなど、納得できる理由があれば心配ありませんが、念のため、物件に問題が隠れていないかも確認しておきましょう。
火災保険料も忘れてはならない初期費用の一つです。賃貸借契約時には火災保険への加入が義務付けられていることが多く、万が一の火災や水漏れなどのリスクに備えます。保険料は物件の規模や業態によって異なりますが、小規模な飲食店の場合、月額5,000円程度が目安となります。
こうした初期費用を合計すると、一般的に賃料の10〜15カ月分が必要となります。たとえば賃料20万円の物件なら、200〜300万円の初期費用を見込んでおくとよいでしょう。
| 費用項目 | 相場 | 返還の有無 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 保証金(敷金) | 賃料の6〜12ヶ月分 | 退去時に一部返還 | 原状回復費用や償却分を差し引いて返還 |
| 礼金 | 賃料の1〜2ヶ月分 | 返還なし | 地域や物件によっては不要な場合も |
| 前家賃 | 賃料の1〜2ヶ月分 | 家賃として充当 | 契約月と翌月分を前払い |
| 仲介手数料 | 賃料の0〜1ヶ月分 | 返還なし | 法律で上限が賃料の1ヶ月分と規定 |
| 火災保険料 | 年間2〜10万円程度 | 返還なし | 物件規模や業態により変動 |
| 保証会社利用料 | 賃料の0.5〜1ヶ月分 | 返還なし | 連帯保証人不要の場合に必要 |
初期費用を抑える方法としては、保証金や礼金が少ない物件を選ぶ、賃料の値下げ交渉を行う、フリーレント(一定期間賃料無料)物件を探すなどがあります。家賃を下げてもらうと、敷金・保証金・礼金、前家賃や保証会社利用料などもあわせて下がります。賃料交渉を行う際は、周辺相場を調査し、事業計画をもとに客観的な根拠を示すことで、貸主からの理解を得やすくなります。
ただし、初期費用だけに着目して物件を選ぶのは危険です。
立地や物件の条件が事業に合っていなければ、開業後の経営が難しくなる可能性もあります。初期費用と物件の質のバランスを考慮し、長期的な視点で判断することが重要です。
なお、初期費用には契約関連費用のほかに、内装工事費、設備購入費、備品購入費なども必要になります。特に内装工事費は初期費用の中で最も大きな支出となることが多く、スケルトン物件の場合は数百万円から1,000万円以上かかることも珍しくありません。開業資金全体のバランスを考慮し、無理のない範囲で資金計画を立てましょう。
失敗しない店舗物件探しの5つのステップ

理想の店舗を実現するには、闇雲に物件を探すのではなく、計画的なステップを踏むことが成功への近道です。物件探しでステップを飛ばしてしまうと、店舗物件が見つかる確率が大幅に下がってしまいます。ここでは、開業を成功させるための5つのステップを順番に解説します。
ステップ1:出店エリアとターゲットとなるお客様を明確にする
店舗物件探しの第一歩は、出店エリアとターゲットとなるお客様を明確にすることです。どんな人に、どんなサービスや商品を提供したいのかが定まっていないと、適切な立地を選ぶことができません。
お店の事業内容を明確にしたうえで、ターゲットとなる顧客層に合わせて最適な立地を事前に考えておくことで、物件探しの方向性が明確になります。例えば、ランチ需要を見込む飲食店であればオフィス街、ファミリー層を対象とした美容室であれば住宅街、若者向けのアパレルショップであれば駅前の繁華街というように、ターゲット顧客が集まりやすいエリアを特定することが大切です。
また、競合店の存在も調査しておきましょう。
同じ業態の店舗が密集している場合は、差別化が求められますし、逆に競合が少なすぎる場合は、そのエリアにニーズがない可能性もあります。実際に候補エリアを何度も歩いて、人の流れや年齢層、時間帯による変化を観察することで、より具体的なイメージを持つことができます。
| 業態例 | ターゲット層 | 適したエリアの例 |
|---|---|---|
| ランチ営業の飲食店 | ビジネスパーソン | オフィス街、ビジネス街、駅周辺 |
| ディナー営業の飲食店 | カップル、友人グループ | 繁華街、駅前、住宅街の駅近く |
| ファミリー向け美容室 | 子育て世代 | 住宅街、ショッピングモール周辺 |
| 若者向けアパレル | 10代〜20代 | 繁華街、駅前商業施設、学生街 |
| 高級ブティック | 富裕層 | 高級住宅街、百貨店周辺 |
ステップ2:物件の条件に優先順位をつける
出店エリアが定まったら、次は物件の条件に優先順位をつける作業です。立地、広さ、賃料、設備、契約条件など、検討すべき項目は多岐にわたります。すべての条件を満たす完璧な物件を見つけることは現実的ではないため、譲れない条件と妥協できる条件を明確に分ける必要があります。
「自店にとっての」理想の物件はどんな条件が必要か、整理することから始めましょう。
例えば、飲食店なら排気設備や給排水設備が必須条件になりますし、美容室なら十分な電気容量が不可欠です。一方で、路面店にこだわるのではなく、2階の物件も選択肢に入れることで、賃料を大きく抑えられる可能性があります。
家賃は月商の10%が理想的だと言われているため、事業計画をもとに現実的な賃料の範囲を逆算して設定することが重要です。ただし、狭小店舗の場合は売上規模が小さいため、家賃を月商の10%に抑えると適切な物件が見つからないことも多いです。そのため、早い段階からじっくりと計画を立てておきましょう。
初期費用についても、敷金・礼金・保証金・仲介手数料・内装工事費などを含めた総額を把握し、資金計画と照らし合わせながら条件を絞り込みましょう。
| 条件項目 | チェックポイント | 優先度の考え方 |
|---|---|---|
| 立地 | 駅からの距離、人通り、視認性 | 集客に直結するため最優先 |
| 賃料 | 月額賃料、共益費、管理費 | 月商の10%以内が理想 |
| 広さ | 坪数、客席数、バックヤード | 事業計画に基づいて設定 |
| 設備 | 電気容量、給排水、空調 | 業態により必須条件が変わる |
| 契約条件 | 契約期間、更新料、原状回復 | 長期経営を見据えて確認 |
ステップ3:店舗物件の探し方と情報収集の方法
条件が明確になったら、いよいよ実際の物件探しに入ります。店舗物件の情報は一つの方法だけでなく、複数の探し方を組み合わせることで、理想の物件に出会える可能性が高まります。
インターネットの物件検索サイトを活用する
居抜き物件・店舗物件を専門に紹介しているサイト、不動産という括りの中で一部店舗物件を紹介しているサイトなど、1つのサイトに絞らず、複数のサイトを見るようにしましょう。アットホーム、SUUMO、テンポスマートなど、さまざまなサイトで物件情報が掲載されています。サイトによっては新着物件のメール通知機能もあるため、積極的に登録して、効率よく情報収集できる体制を整えましょう。
物件検索サイトを一覧にまとめました。ご参考になれば幸いです。
不動産会社に直接相談する
未公開物件は不動産会社が持っていることが多いため、不動産会社に確認してみるといいでしょう。とくに、地域に特化した不動産だと優良物件が見つかる可能性もあります。インターネットに掲載される前の物件や、オーナーが限定的に募集している物件など、直接訪問することで得られる情報は非常に価値があります。
ただし、未公開物件は数が少ないため、過度な期待は控えましょう。一部の不動産会社の中には、未公開物件情報を持っていないにもかかわらず、未公開情報があるとうたって情報登録を勧めてくる場合もあります。こうした点には注意が必要です。
また、希望エリアで実際に店舗を構えている不動産会社を訪ねることで、その地域の家賃相場や人気物件の傾向、空き予定の情報など、生の情報を得ることができます。
現地を歩いて「テナント募集」の看板を探す
実際に出店を検討しているエリアを歩き、「テナント募集」の看板が出ている物件を探す方法も効果的です。事業用物件の解約は、半年前に予告されることが多い傾向にあります。まだ入居者がいる場合でも契約できることが多いため、実際に出店エリアを歩いて物件を調査してみるのもおすすめです。看板に記載されている連絡先に直接問い合わせることで、スムーズに交渉が進むこともあります。
知人やネットワークを活用する
自分が店舗を探していることを周囲に伝えることで、思わぬ情報が得られることがあります。同業者のつながり、商工会議所、SNSなど、様々なチャネルを通じて情報収集を行いましょう。特に居抜き物件の場合は、前のオーナーから直接物件を引き継げる場合もあります。
まずは出店エリアをいくつか選定し、家賃相場をチェックしましょう。物件ごとに広さが違うため、比較する際は、1坪あたりの価格(坪賃料単価)を確認すれば、そのエリアのおおよその相場を把握できます。相場を知っておくと、物件が適正な価格かどうかを見極められるようになります。
理想の店舗づくりには、物件探しだけでなく内装デザインや設備計画も重要です。物件選びの段階から、ロベイションのように店舗デザインや開業サポートを一貫して提供している会社に相談すれば、物件の魅力や可能性を最大限に引き出すためのアドバイスを受けられます。
ステップ4:内見時のチェックポイントと確認事項
気になる物件が見つかったら、必ず現地で内見を行います。写真や図面だけでは分からない物件の状態や雰囲気を直接確認できる貴重な機会ですので、十分な時間をかけて細部までチェックしましょう。
内見前の準備
内見の前に詳細なチェックリストを作成し、確認したい項目を漏れなくリストアップし、内見時に一つ一つ確認していきます。メジャー、カメラ、方位磁針、筆記用具などを持参し、実測や撮影を行いながら確認を進めることをおすすめします。
建物・設備のチェック項目
床、壁、天井の状態、設備の老朽度、水回りの状態、電気容量、空調設備の有無など、営業に必要な設備が揃っているか、または追加工事が可能かを確認します。特に飲食店の場合は、排気設備や給排水設備の位置と容量、グリストラップの有無などが重要です。美容室であれば、シャンプー台設置に必要な給排水設備や、ドライヤーやアイロンを使用するための電気容量が十分かを確認してください。
周辺環境のチェック項目
物件の周辺環境もしっかりチェックし、人通りの多さ、競合店の有無、駐車場の状況、公共交通機関へのアクセスなどを確認します。可能であれば、平日と休日の両方で内見を行い、時間帯による環境の変化も把握しましょう。
また、においの点検も忘れずに行いましょう。近隣店舗からにおいが流れてくる場合や、害虫の発生にも注意しながら周辺を確認しましょう。
他にも、店舗を内見する際は、実際に駅から歩いてみると実感が湧きます。信号の長さや人通りなども確かめられます。お客様目線で店舗までの道のりを体験することで、アクセスの良さや視認性を実感できます。
複数人での内見
店舗物件を内見する際は、自分一人ではなく、他の社員や役職者にも同行してもらいましょう。意見が複数あったほうが、理想の店舗を見つけやすくなります。厨房担当、接客担当、デザイナーなど、それぞれの専門的な視点からチェックすることで、見落としを防ぐことができます。
| 確認項目 | 具体的なチェック内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 立地・アクセス | 駅からの距離、人通り、視認性 | 時間帯別、曜日別の変化を確認 |
| 建物の構造 | 天井高、床荷重、柱の位置 | レイアウトに影響する要素 |
| 設備 | 電気容量、給排水、空調、ガス | 業態に必要な容量があるか |
| 周辺環境 | 競合店、駐車場、騒音 | 営業に影響する要因 |
| 内装 | 居抜き設備の状態、改装の可否 | 追加費用の発生可能性 |
ステップ5:契約前に確認すべき重要事項
理想の物件が見つかり、いよいよ契約という段階でも、慎重に契約条件を確認することが失敗を防ぐ最後の砦となります。店舗物件の契約は住居用賃貸よりも複雑で、一度契約すると後から変更することは困難です。
賃貸借契約の種類を確認
店舗物件は「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。定期借家契約だと、あらかじめ決められた期間しか物件を借りられません。長期的に営業したい場合は普通借家契約が望ましいですが、定期借家契約の場合は、契約期間満了後の更新可否や条件について必ず確認しましょう。
初期費用の内訳を確認
敷金、礼金、保証金、仲介手数料、前家賃など、初期費用の項目と金額を詳細に確認します。居抜き物件の場合は造作譲渡料も発生するため、全体でどれくらいの資金が必要か正確に把握することが重要です。また、保証会社への加入が必要な場合もあるため、その費用も含めて計算しましょう。
初期費用については「店舗物件の契約に必要な初期費用について」でも詳しく解説しています。
工事制限と原状回復条件
内装工事の可否、工事の範囲、使用できる業者の制限、工事時間の制約などを確認します。また、退去時の原状回復がどこまで求められるのか、スケルトン戻しが必要なのかも重要なポイントです。これらの条件によって、開業時と退去時の費用が大きく変わってきます。
営業条件と禁止事項
営業可能な業態、営業時間の制限、騒音や臭いの規制、看板設置の可否など、物件ごとに様々な制約がある場合があります。自分の営業スタイルに合った条件かどうか、事前に細かく確認しておきましょう。
契約期間と更新条件
契約期間、更新料、更新時の条件変更の可能性について確認します。特に定期借家契約の場合、更新できない可能性もあるため、事業計画との整合性をしっかり確認してください。
重要事項説明を丁寧に確認
宅地建物取引士から、契約に関する重要事項の説明を受けます。この重要事項説明書には、物件や契約に関する重要な情報がすべて記載されているため、不明な点や疑問点があれば必ず質問し、納得した上で契約を進めることが大切です。
契約書にサインする前に、社内の関係者や顧問税理士、場合によっては弁護士にも内容を確認してもらうことをおすすめします。特に契約期間、賃料改定条項、中途解約の条件、原状回復の範囲などは、後々トラブルになりやすい項目ですので、十分な注意を払ってください。
| 確認項目 | チェックポイント | トラブル回避のポイント |
|---|---|---|
| 契約形態 | 普通借家契約か定期借家契約か | 長期営業には普通借家契約が適切 |
| 初期費用 | 敷金・礼金・保証金・仲介手数料 | 総額を事前に把握し資金計画を立てる |
| 工事制限 | 内装工事の可否・範囲・業者指定 | 理想の店舗が実現できるか確認 |
| 原状回復 | 退去時の原状回復範囲 | スケルトン戻しの有無で費用が大きく変わる |
| 営業条件 | 業態・営業時間・看板設置の制限 | 営業スタイルに支障がないか確認 |
店舗物件は質だけでなく、量も重視して比較することをおすすめします。時間が許す限り、できるだけ多くの店舗物件を比較しましょう。複数の物件を見ることで相場観が養われ、契約すべき物件かどうかの判断力が高まります。焦らず、じっくりと比較検討することが、失敗しない店舗物件探しの秘訣です。
次章からは、飲食店、美容室、物販店のそれぞれの業種でやるべきことや注意点を解説していきます。
飲食店の店舗物件選びのコツと注意点

飲食店の開業を成功させるためには、物件選びの段階で業態に適した条件を見極めることが不可欠です。理想の店舗イメージを実現するためには、提供予定のメニューや調理方法に必要な設備やインフラが整っているか、また保健所の基準を満たしているかなど、飲食店特有のチェックポイントを把握しておくことが重要です。この章では、飲食店の物件選びで確認すべき重要な要素を詳しく解説します。
飲食店に必要な設備とインフラ
飲食店の物件を選ぶ際は、調理や営業に必要な設備やインフラが十分に備わっているかを確認することが最も重要です。他の業態とは異なり、飲食店には火気を使用する調理設備や大量の水を使う給排水設備、油煙を排出する換気設備など、特有のインフラが求められます。
まず確認すべきは、物件が「重飲食可」か「軽飲食のみ可」かという条件です。
ラーメン店、焼肉店、中華料理店など本格的な調理を行う業態は重飲食に分類され、火力や油の使用量が多く、強力な給排気設備が必要になります。一方、カフェやベーカリーなど比較的簡易な調理を行う業態は軽飲食に該当します。物件の賃貸条件に「軽飲食のみ可」と記載されている場合、重飲食の営業はできませんので、必ず事前に確認しましょう。
次に、電気・ガス・水道の供給容量が十分であるかをチェックします。業務用の冷蔵庫や製氷機、食器洗浄機などは家庭用に比べて格段に多くの電力を消費します。特に電気容量が不足していると、後から増設工事が必要になり高額な費用がかかるため、内見時に必ず確認してください。ガスについても、複数口のガスレンジや中華レンジなどを使用する場合は、ガスメーターの容量や配管の太さが適切かを確認する必要があります。
水道についても、水道メーターの口径が25mm以上あるかを確認しましょう。飲食店では調理、食器洗浄、手洗いなど大量の水を使用するため、口径が小さいと水圧が不足し、業務に支障が出る場合があります。
| インフラ項目 | 確認ポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 電気 | 契約電力容量、分電盤の状態、コンセント位置 | 業務用機器の使用に耐えられる容量か確認 |
| ガス | ガスメーター容量、配管の太さ、都市ガス・プロパンの種別 | 調理機器の種類と数に応じた供給量が必要 |
| 水道 | 水道メーター口径、給水管の太さ、水圧 | 口径25mm以上が望ましい(最低でも20mm) |
| 排水 | 排水管の太さと位置、グリストラップの有無 | 油を扱う場合はグリストラップが必須 |
厨房設備と排気・給排水設備の確認ポイント
飲食店の心臓部である厨房まわりの設備は、物件選びで最も重要な確認事項です。特に居抜き物件の場合、既存の厨房設備をそのまま使用できれば初期費用を大幅に抑えられますが、設備の劣化状況や動作確認を怠ると、開業後にトラブルが発生する可能性があります。
飲食店の排気設備
まず排気設備については、ダクトの位置、サイズ、排気能力を確認します。油を多く使う調理を行う場合、強力な排気ファンとダクトが必要です。排気ダクトが建物の外部まで適切に接続されているか、フードの位置がコンロの真上にあるかなども重要なチェックポイントです。また、排気設備が不十分だと厨房内に熱や煙がこもり、作業環境が悪化するだけでなく、消防法の基準を満たせない可能性もあります。
飲食店の給排水設備
給排水設備では、シンクの数と大きさが保健所の基準を満たしているかを確認します。飲食店営業許可を取得するには、食品衛生法に基づく設備要件をクリアする必要があり、多くの自治体では2槽以上のシンクの設置が義務付けられています。また、手洗い専用のシンクも別途必要です。
グリストラップ
グリストラップは、油を使った調理を行う飲食店には必須の設備です。排水中の油脂分を分離して下水道への流出を防ぐ装置で、設置されていない物件の場合は新たに設置工事が必要になります。グリストラップの設置には数十万円から100万円以上の費用がかかることもあるため、事前に確認が重要です。
飲食店の厨房の床
厨房の床は掃除の際に水を使用するため、耐水性のある材質で適度な傾斜があり、排水溝が設置されていることが求められます。防水処理が不十分だと、水漏れによる階下への被害や床の腐食につながるため、必ず確認しましょう。
また、厨房の広さと天井高も重要です。厨房機器を配置するスペースが十分にあるか、作業動線が確保できるかを実際にシミュレーションしてみることをおすすめします。天井が低いと、大型の冷蔵庫や食器棚が設置できなかったり、換気効率が悪くなったりするなどの問題が発生します。
| 設備項目 | 確認内容 | 基準・目安 |
|---|---|---|
| 排気設備 | ダクトの位置・サイズ、排気ファンの能力 | 調理内容に応じた排気能力が必要 |
| シンク | 槽の数、サイズ、材質 | 2槽以上が基本、手洗い専用シンクも必要 |
| グリストラップ | 設置の有無、容量、状態 | 油を使う調理を行う場合は必須 |
| 厨房床 | 防水処理、傾斜、排水溝 | 耐水性材質で適切な排水構造が必要 |
居抜き物件で既存の厨房設備を引き継ぐ場合は、冷蔵庫、製氷機、ガスレンジなどの主要機器が正常に動作するかを必ず実地で確認し、できれば専門業者に点検を依頼することも検討しましょう。特に空き物件になってから時間が経過している場合、機器の故障や劣化が進んでいる可能性が高くなります。
客席レイアウトと動線計画の考え方
飲食店の売上を左右する要素の一つが、客席の配置とスタッフの動線計画です。物件を内見する際には、理想的な客席数を確保できるかや、お客様とスタッフの動線が交錯せず効率的に運営できるかを具体的にイメージすることが重要です。
客席と厨房の関係
まず、ホールと厨房の位置関係を確認します。厨房からホールへの料理の提供、ホールから厨房への食器の返却がスムーズに行えるよう、両者の距離が近く、動線が直線的であることが理想です。お客様の動線と交錯する配置になっていると、サービスの効率が落ちるだけでなく、接触事故のリスクも高まります。
客席のレイアウトでは、席数だけでなく席間の距離やテーブルの配置にも注意が必要です。席数を増やしすぎると店内が窮屈に感じられ、お客様の満足度が下がるおそれがあります。業態やコンセプトに応じた適切な席間距離を確保しましょう。カウンター席、テーブル席、個室など、どのような席構成にするかを事前に計画し、物件の形状や柱の位置などが理想のレイアウトを実現できるかを確認します。
トイレや入り口付近の導線
トイレの位置も重要な確認ポイントです。客席から近すぎると臭いや音が気になりますし、遠すぎると不便です。また、男女別トイレが確保できるか、車椅子対応のトイレがあるかなども、ターゲットとするお客様層に応じて検討しましょう。
入口から客席、レジまでの導線も考慮します。お客様が入店してから着席するまでの流れ、会計時にお客様が自然に移動できるような分かりやすい動線になっているかを確認しましょう。特に、混雑時に入口付近で待つお客様と退店するお客様が交錯しないような配置が理想的です。
また、設備の配置が適切でないと、注文や調理を担当する従業員の動きが制限されるだけでなく、お客様の動線にも影響が及ぶことがあります。料理の提供や片付け、清掃などのオペレーションをシミュレーションしながら動線を検討することが重要です。
こうした客席レイアウトや動線計画は、店舗デザインの専門知識が必要な分野です。理想の店舗を実現するためには、飲食店の設計・デザインに実績のある専門会社に相談することも有効です。ロベイションのような店舗デザインと開業サポートの両方を手がける会社に相談すれば、物件選びの段階から最適なアドバイスを受けられます。
飲食店営業許可に必要な物件条件
飲食店を営業するには、所轄の保健所から飲食店営業許可を取得する必要があります。この許可を得るためには、食品衛生法および各自治体の条例で定められた施設基準を満たした物件と設備が必須です。物件選びの段階で、これらの基準をクリアできるかを確認しておかないと、契約後に大規模な改修工事が必要になったり、最悪の場合、営業許可が取得できない可能性もあります。
飲食店営業許可を取得するためには、作業場を汚染を防止するため壁や扉で仕切ること、壁・天井は平らで掃除しやすい材質であること、床は掃除しやすい構造であることなどの要件があります。これらの基準は自治体によって細部が異なるため、物件のある地域を管轄する保健所に事前に相談し、具体的な基準を確認することが重要です。
主な施設基準として以下の点が挙げられます。
まず、厨房と客席を明確に区分する必要があります。オープンキッチンの場合でも、調理場と客席の間に一定の仕切りや区画が求められることがあります。
手洗い設備については、調理場内に従業員専用の手洗いシンクを設置することが義務付けられています。この手洗いシンクは調理用シンクや食器洗浄用シンクとは別に設ける必要があり、消毒液や手指乾燥設備も併設することが求められます。
食器や調理器具を保管する棚は、戸が付いていることが必要とされています。また、冷蔵庫には温度計(隔測温度計)の設置が必要です。
給水設備については、十分な量の水が供給できることに加え、貯水槽を使用している場合はその衛生管理が適切に行われているかも確認されます。排水設備は、グリストラップの設置を含め、適切に排水できる構造になっている必要があります。
換気設備も重要な基準の一つです。厨房内の換気が適切に行われるよう、換気扇やダクトが設置されている必要があります。また、採光や照明についても基準があり、照明は100ルクス以上の明るさが必要とされています。
トイレについては、客席とは別に従業員用トイレを設けるか、共用する場合でも厨房から直接出入りできない構造にすることが求められます。
物件を契約する前に、これらの基準を満たすために必要な工事の内容と費用を見積もり、予算内で対応可能かを確認することが不可欠です。保健所によっては、事前相談の際に物件の図面を持参すると、より具体的なアドバイスが受けられる場合があります。営業許可申請の手続きや必要書類についても、早めに確認しておきましょう。
| 基準項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 厨房と客席の区分 | 壁や扉で明確に仕切ること |
| 手洗い設備 | 調理場内に専用の手洗いシンク、消毒液、乾燥設備 |
| シンク | 2槽以上のシンク(食材用、食器用など用途別) |
| 食器棚 | 戸付きの棚で清潔に保管できる構造 |
| 冷蔵設備 | 温度計(隔測温度計)の設置 |
| 換気設備 | 適切な換気ができる換気扇・ダクト |
| 照明 | 作業場で100ルクス以上 |
| 床・壁・天井 | 清掃しやすく、耐水性のある材質 |
| トイレ | 厨房から直接出入りしない構造 |
営業許可を取得するには、施設の完成後に保健所による立ち入り検査を受ける必要があります。検査で基準を満たしていないと判断されると、営業開始が遅れてしまうため、内装工事の段階から保健所の基準を意識し、必要に応じて保健所に確認するよう心がけましょう。
美容室の店舗物件選びのコツと注意点

美容室の開業を成功させるためには、コンセプトやターゲットに合った物件を選ぶことが極めて重要です。技術力に自信があっても立地や物件の条件が適切でなければ、理想とする美容室を実現することは難しいのが現実です。この章では、美容室の物件選びにおいて特に注意すべきポイントを、立地条件・設備要件・法的基準の観点から詳しく解説します。
美容室に適した立地条件と商圏分析
美容室の成功において、立地選びは経営成否の70%以上を左右すると言われるほど重要な要素です。どれだけ優れた技術やサービスを提供できても、ターゲット顧客が来店しやすい場所でなければ集客に苦労することになります。
商圏範囲の考え方
美容室の集客において最も重要な一次商圏は、徒歩で約500mが目安とされています。これは歩いて6〜7分、信号待ち等も考慮すると実際には10分弱程度の距離です。自転車や車での来店を想定する場合も、基本的には所要時間10分以内のエリアが一次商圏となります。
商圏範囲を設定する際には、店舗周辺の障害物にも注意が必要です。線路、片道2車線以上の道路、河川、坂道、陸橋といった要素は、物理的には近い距離であっても心理的な商圏を狭めてしまう障害となります。これらの障害を越えてまで来店しようと思う顧客は限られるため、物件選定時には必ず現地で動線を確認することが重要です。
商圏分析の実践方法
商圏分析は、「面(商圏)」「線(導線)」「点(物件)」という3つの視点から、出店を検討しているエリアを分析します。まず「面」の分析では、出店予定エリアの人口構成、年齢層、世帯構成、競合店舗数などのデータを収集します。
| 分析項目 | 確認内容 | 活用方法 |
|---|---|---|
| 人口構成 | 半径500m、1km、2kmの人口数と男女比 | ターゲット層の母数を把握し集客計画を立てる |
| 年齢層 | 10代〜60代以上の年齢別分布 | メニュー構成や価格帯の設定に反映 |
| 世帯構成 | 単身世帯、ファミリー世帯の割合 | コンセプトとターゲットの適合性を判断 |
| 競合状況 | 周辺の美容室数、各店舗のコンセプト | 差別化ポイントと価格戦略を検討 |
| 交通利便性 | 最寄駅からの距離、駐車場の有無 | 商圏範囲とアクセス方法を決定 |
「線」の分析では、ターゲット顧客の日常的な動線を調査します。駅から住宅街への帰宅ルート、商業施設への買い物ルート、学校や職場への通勤通学ルートなど、人の流れが自然に店舗前を通過する立地かどうかを確認します。
「点」の分析では、具体的な物件の視認性、間口の広さ、階数などを評価します。美容室で集客を見込むには、2階よりも1階の方が有利とされています。
ターゲットと競合の見極め
ターゲットとなる顧客がどれほどいるか、強力な競合が存在するかどうか、この2点が商圏分析の主なポイントです。理想的な条件は「ターゲットは多いけれども、強い競合はいなく、数も少ない」というエリアです。
競合分析では、周辺の美容室を実際に訪問したりウェブサイトで調査し、各店のコンセプト、ターゲット、強み、価格帯、メニュー、口コミ・評価などをリストアップして比較します。自店の強みが発揮できるエリアかどうかを客観的に判断することで、開業後の苦戦を避けやすくなります。
電気容量と給排水設備の確認ポイント
美容室の運営には、ドライヤー、シャンプー台、パーマ機器、エアコンなど多くの電気機器を同時に使用するため、十分な電気容量が確保されているかを必ず確認する必要があります。物件の設備が不十分な場合、電気容量の増設工事が必要となることがあります。
必要な電気容量の目安
美容室で必要となる電気容量は、セット面数や導入する機器によって異なりますが、一般的には以下のような計算で求められます。
| 機器・設備 | 消費電力の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ドライヤー(1台) | 1,000〜1,500W | 同時使用台数を想定 |
| シャンプー台(1台) | 100〜200W | 給湯器の容量も確認 |
| エアコン | 店舗面積により変動 | 夏場のピーク時を想定 |
| 照明設備 | 店舗面積により変動 | LED化で消費電力を抑制 |
| パーマ機器 | 500〜1,000W | 使用頻度に応じて |
| レジ・PC等 | 200〜500W | 予備電源も考慮 |
例えば、セット面4席の小規模サロンでも、ドライヤー4台を同時使用すると6,000W程度、エアコンや照明などを加えると合計で10,000W以上の電力を消費する可能性があります。契約電力容量が30A(3,000W)程度の住居用物件では全く不足するため、最低でも60A以上、できれば業務用の電力契約が可能な物件を選ぶべきです。
また、エアコンなどは動力契約でご使用されることをおすすめします。その結果、電灯契約での消費電力を少しでも抑えることができます。
給排水設備のチェック項目
美容室にとってシャンプー台は必須設備であり、給排水設備の状況は物件選びの重要なチェックポイントです。内見時には以下の項目を必ず確認しましょう。
- 給水管の口径と水圧:シャンプー台を複数設置する場合、十分な水量と水圧が確保できるかを確認します。水圧が不足すると快適なシャンプーができず、顧客満足度に影響します。
- 給湯設備の容量:シャンプー台で使用するお湯を供給する給湯器の容量が、ピーク時の使用量に対応できるかを確認します。小型の給湯器では複数のシャンプー台で同時使用した際に湯温が下がる可能性があります。
- 排水管の位置と勾配:シャンプー台を設置したい場所の床下に排水管があるか、適切な勾配が確保できるかを確認します。排水管の位置によってはシャンプー台の配置が制限されることがあります。
- 排水容量:複数のシャンプー台から同時に排水した場合に対応できる排水管の口径かを確認します。排水能力が不足すると逆流や詰まりの原因となります。
- 給排水管の老朽化:築年数が古い物件では給排水管が劣化している可能性があります。特に排水管内部の錆や詰まりは目視では確認しにくいため、可能であれば専門家に点検を依頼することをおすすめします。
給排水設備が不十分な場合、配管工事やポンプの設置などで数十万円から百万円以上の追加費用が発生することもあります。契約前に必ず設備業者や施工会社に現地を確認してもらい、工事費用の見積もりを事前に取っておくことが、失敗を防ぐポイントとなります。
セット面数と待合スペースの確保
美容室の物件選びでは、目指すサロンのスタイルに合わせた適切な広さと空間設計が可能かを見極めることが重要です。理想とするセット面数を確保しつつ、顧客が快適に過ごせる待合スペースやシャンプースペースを配置できる物件を選びましょう。
セット面数と必要面積
美容室のセット面1席あたりに必要な面積は、サロンのコンセプトによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| サロンタイプ | 1席あたりの面積 | 特徴 |
|---|---|---|
| 高単価サロン | 4〜7㎡/席 | 広々とした空間、プライバシー重視 |
| 一般的なサロン | 3㎡/席 | 標準的な快適性とコスト効率のバランス |
| 低価格帯サロン | 2㎡/席 | 効率重視、回転率を上げる設計 |
例えば、セット面が4席ある一般的なサロンを開業する場合、セット面だけで12㎡程度の面積が必要となります。これに加えて、シャンプー台(1台あたり3〜4㎡)、待合スペース、受付カウンター、トイレ、バックヤード(収納・スタッフルーム)などのスペースが必要となるため、合計で45㎡以上の面積が必要になります。
待合スペースとレイアウト
待合スペースは顧客が最初に目にする空間であり、サロンの第一印象を左右する重要なエリアです。予約時間より早く来店したお客様や、施術後に会計を待つお客様がリラックスできるよう、2〜3名分の座席が置ける広さを確保しましょう。
物件の形状によっては、理想的なレイアウトが実現できない場合があります。内見時には、以下の点を必ず確認しましょう。
- 柱や梁の位置:構造上の柱や梁が空間の中央にある場合、セット面の配置やシャンプー台の設置が制限されることがあります。
- 天井高:開放感のある空間を演出するためには、天井高2.5m以上が理想的です。天井が低すぎると圧迫感があり、高級感を出しにくくなります。
- 採光と窓の配置:自然光が入る物件は顧客に好印象を与えますが、直射日光が強すぎると施術中に眩しく感じることがあります。窓の位置と大きさを確認し、ブラインドやカーテンで調整できるかを検討します。
- 入口から奥への動線:顧客が入店してから受付、待合、セット面、シャンプー台へとスムーズに移動できる動線が確保できるかを確認します。動線が交錯すると作業効率が落ち、顧客の快適性も損なわれます。
物件の広さだけでなく形状や設備の配置を総合的に判断し、理想とするサロンの空間が実現可能かを見極めることが成功への鍵となります。専門的な判断が難しい場合は、ロベイションのような店舗デザインと開業サポートの実績が豊富な会社に相談することも検討するとよいでしょう。
美容所開設に必要な保健所の基準
美容室を開業するためには、保健所に「美容所開設届」を提出し、検査を受けて許可を得る必要があります。物件選びの段階で保健所の基準を満たせる物件かどうかを確認しておかないと、契約後に大幅な改修工事が必要になったり、最悪の場合は営業許可が下りないリスクもあります。
美容所の構造設備基準
美容所の構造設備基準は、美容師法に基づき各都道府県の条例で定められています。基準は自治体によって若干の違いがありますが、主な共通項目は以下の通りです。
| 基準項目 | 主な要件 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 作業室の面積 | 13㎡以上(セット面1席につき概ね3㎡以上) | 実測で基準を満たすか確認 |
| 作業室と他の施設の区画 | 壁や板戸などで明確に区画される | 住居部分との区画が可能か |
| 洗い場 | 流水装置のある洗い場を設置 | シャンプー台の設置場所を確認 |
| 換気設備 | 十分な換気ができる窓または換気扇 | 既存の換気設備の有無と位置 |
| 採光・照明 | 作業面で100ルクス以上の照度 | 窓の大きさと照明設備の確認 |
| 客待ち場所 | 作業室以外に設置(一部自治体) | 待合スペースの確保 |
| 消毒設備 | 器具の消毒ができる設備 | バックヤードに設置スペース確保 |
物件選定時の注意点
物件を契約する前に、必ず管轄の保健所に相談し、当該物件で美容所開設が可能かを確認しましょう。多くの保健所では、物件の図面を持参すれば事前相談に応じてくれます。この段階で以下の情報を整理しておくとスムーズです。
- 物件の平面図(寸法入り)
- 給排水設備の配置図
- 電気設備の容量
- セット面数とシャンプー台の配置計画
- 換気設備の仕様
特に居抜き物件の場合、前テナントが美容室であっても設備が現在の基準を満たしていない可能性があるため、改めて保健所に確認してもらう必要があります。基準を満たしていない箇所があれば、工事内容と費用を見積もった上で契約するかどうかを判断します。
開設届提出と検査の流れ
美容所を開設する際の一般的な流れは以下の通りです。
- 物件契約:保健所の指導内容を踏まえて物件を契約
- 事前相談:保健所へ図面を持参し、基準を満たせるか相談
- 内装工事:保健所の基準に適合するよう内装工事を実施
- 開設届提出:工事完了後、保健所に美容所開設届を提出(開設予定日の7〜10日前まで)
- 現場検査:保健所の担当者が現場を訪問し、基準適合を確認
- 検査適合:基準を満たしていれば、美容所として営業開始が可能
開設届の提出には、美容師免許証、施設の平面図、付近の見取図、従業員名簿などの書類が必要です。また、手数料(自治体により異なるが概ね15,000〜20,000円程度)も必要となります。
物件選びの段階から保健所基準を意識し、適合しやすい物件を選ぶことで、スムーズな開業準備が可能になります。基準を満たせるか不安な場合は、美容室の設計や開業支援の実績が豊富な専門会社に相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
小売店の店舗物件選びのコツと注意点

小売店は飲食店や美容室とは異なり、商品を陳列・販売することに特化した店舗づくりが求められます。お客様が足を運びやすく、商品を手に取りやすい環境を実現するためには、立地選びから店舗設計まで一貫した視点が必要です。この章では、小売店ならではの物件選びのポイントと、理想の店舗を実現するための具体的な確認事項を解説します。
小売店に適した立地条件と通行量の見極め方
小売店にとって立地は売上を左右する最も重要な要素の一つです。「立地が7割」とも言われるように、経営成功の鍵は立地にあります。商品をどれだけ魅力的に揃えても、お客様の目に触れなければ売上につながりません。
小売店に適した立地条件として、まず交通の利便性が挙げられます。徒歩10分圏内は一次商圏の基本的な条件であり、顧客が集まりやすい範囲となります。駅から近い、バス停が近くにある、大通りに面しているといった要素は、日常的に利用するお客様を獲得するための基本条件です。
次に重要なのが商圏分析です。小売店の場合、取り扱う商品の性質によって適切な商圏が異なります。日用品や食料品を扱う場合は一次商圏(徒歩圏内)での集客が中心となりますが、専門性の高い商品やこだわりの品揃えを特徴とする店舗であれば、車で15分程度の二次商圏や、車で40分程度の三次商圏からの来店も視野に入れる必要があります。
通行量の見極めには、実際に現地調査を行うことが欠かせません。曜日や時間帯によって通行量は大きく変動するため、平日と休日、朝・昼・夕方・夜の時間帯別に、それぞれ最低でも1時間以上の通行量調査を実施することをおすすめします。調査の際は、単に人数を数えるだけでなく、通行人の年齢層や性別、歩く速さ(目的地に急いで向かっているのか、ウィンドウショッピングを楽しんでいるのか)などにも注目しましょう。
| 商圏タイプ | 距離・時間 | 来店頻度 | 適した小売業態 |
|---|---|---|---|
| 一次商圏 | 徒歩5〜15分 | 毎日〜週数回 | コンビニ、スーパー、ドラッグストア、日用品店 |
| 二次商圏 | 車で15分程度 | 週1〜2回 | 専門店、衣料品店、雑貨店、書店 |
| 三次商圏 | 車で40分程度 | 月数回 | 大型専門店、高級品店、趣味特化型店舗 |
また、周辺地域に同業の競合店が多ければ多いほど、顧客が分散されるリスクが上がるため、競合店の数と距離も必ず確認しましょう。競合店との差別化ポイントを明確にし、共存できるエリアかどうかを慎重に判断することが重要です。
店舗の視認性とファサードの重要性
小売店において、店舗の視認性は集客に直結する重要な要素です。視認性の高い店舗は、付近を通行する潜在顧客の入店率や広告で認知させた層の来店率が上がりやすくなります。どれだけ魅力的な商品を揃えていても、店舗の存在に気づいてもらえなければ意味がありません。
路面店は空中階や地下階と比較して視認性が高く、小売店に最適な物件形態とされています。路面店の場合、店舗内の雰囲気が分かりやすいため、初めてのお客様でも来店しやすくなります。特に、商品を店頭に陳列できたり、大きなショーウィンドウで店内の様子を見せられたりする路面店は、小売店にとって大きなアドバンテージとなります。
ファサード(店舗正面の外観)は、お客様に与える第一印象を左右する重要なポイントです。以下のポイントを確認しましょう。
- 間口の広さ:店舗の入口が広いほど、お客様が入店しやすくなります。最低でも2〜3メートル、できれば5メートル以上の間口があることが理想です。
- 看板設置の可否:物件によっては看板の大きさやデザインに制限があることもあります。契約前に希望する看板が設置できるかを必ず確認しましょう。
- ガラス面積:ショーウィンドウとして活用できるガラス面が広いほど、商品訴求力が高まります。
- 店舗の向き:南向きや東向きの店舗は自然光が多く入り、商品をより魅力的に見せることができます。
- 段差の有無:入口に段差があると、ベビーカーや車椅子をご利用のお客様が入店しにくくなり、来店される方の層が限られてしまいます。
また、角地に位置する物件は二方向からの視認性が得られるため、小売店にとって非常に有利な立地となります。賃料は高くなる傾向がありますが、集客力を考慮すれば投資価値があるケースも多いでしょう。
物件を内見する際は、実際にお客様の目線で店舗に近づいてみることが大切です。どの距離から店舗が視界に入るか、歩行者の動線上で店舗が目立つ位置にあるか、信号待ちの際に目に入るかなど、細かくチェックしましょう。
商品陳列と在庫スペースの確保
小売店の物件選びでは、販売スペースだけでなくバックヤード(在庫スペース)の確保も重要な検討事項です。店舗面積全体に対して、販売スペースとバックヤードのバランスを考えることが大切です。
一般的な小売店では、全体面積の60〜70%を販売スペース、30〜40%をバックヤードに配分することが理想とされています。ただし、業態によってこの比率は大きく異なります。
| 業態 | 販売スペース比率 | バックヤード比率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アパレル・雑貨店 | 70〜80% | 20〜30% | 季節商品の在庫管理が必要 |
| 食品・飲料店 | 60〜70% | 30〜40% | 冷蔵・冷凍設備が必要な場合も |
| 書店・CD店 | 80〜90% | 10〜20% | 返品制度があるため在庫は少なめ |
| 家電・家具店 | 50〜60% | 40〜50% | 大型商品の在庫スペースが必要 |
販売スペースについては、以下の点を考慮しながら必要な面積を割り出しましょう。
- 商品陳列に必要な什器の配置:棚、ラック、ハンガーラック、ショーケースなどの配置計画を立てます。
- お客様の動線:通路幅は最低でも90cm、すれ違いを考慮すると120cm以上が望ましいです。
- レジカウンターのスペース:レジ周辺には商品を置くスペースや、お客様が並ぶスペースも必要です。
- 試着室やフィッティングスペース:アパレル店の場合は必須の設備です。
バックヤードには、在庫保管だけでなく、以下のスペースも確保する必要があります。
- 検品・梱包作業スペース:商品の入荷時や、オンライン販売の発送作業に使用します。
- スタッフルーム:休憩や着替え、荷物置き場として必要です。
- トイレ:スタッフ用は必須、お客様用も設置できれば理想的です。
- 事務スペース:パソコン作業や書類管理のためのデスクスペースです。
天井高も重要な確認ポイントです。小売店では2.5メートル以上の天井高があると、高さのある什器を配置することで、空間をより有効に活用できます。特に、縦方向の陳列を活かしたい場合は、天井高の確認を忘れないようにしましょう。
また、搬入口の位置や大きさも確認しておきましょう。大型商品を扱う場合や、定期的に大量の商品が入荷する場合は、搬入作業がスムーズに行えるかどうかが日々の業務効率に影響します。エレベーターがある場合は、その積載量と扉の大きさも確認しましょう。
販売する商品に応じた物件選びのポイント
小売店といっても、販売する商品の種類によって必要な設備や条件は大きく異なります。自分が開業したい店舗の理想像を具体的に描き、その実現に必要な物件条件を明確にすることが成功への第一歩です。
食品を扱う小売店の場合
食品を扱う場合は、食品衛生法に基づく許可が必要です。保健所への届出や営業許可申請が必要となるため、物件が基準を満たしているか事前確認が不可欠です。
- 冷蔵・冷凍設備の電気容量:業務用冷蔵庫や冷凍庫は家庭用と比較して消費電力が大きいため、電気容量が十分か確認しましょう。三相200Vの電源が必要な場合もあります。
- 換気設備:調理を伴う場合は適切な換気設備が必要です。
- 給排水設備:手洗い場や清掃用のシンクが必要です。
- 害虫対策:築年数が古い物件や、周辺環境によっては害虫対策が必要になる場合があります。
アパレル・服飾雑貨店の場合
アパレル店では、商品を魅力的に見せるための店舗環境づくりが重要です。
- 照明の配置と明るさ:商品の色を正確に見せるため、演色性の高い照明が必要です。既存の照明設備が不十分な場合、追加工事の可否を確認しましょう。
- 試着室の設置スペース:最低でも1畳(約1.6平方メートル)以上のスペースを2室以上確保できるのが理想です。
- 鏡の設置:全身鏡を設置できる壁面があるか確認しましょう。
- 空調設備:試着室を含め、店内全体が快適な温度に保てるか確認が必要です。
家電・家具などの大型商品を扱う場合
大型商品を扱う店舗では、搬入・搬出の動線確保が最優先事項となります。
- 搬入口の広さと高さ:大型商品が通れる十分なスペースがあるか実測しましょう。
- 床の耐荷重:重量のある商品を陳列する場合、床の耐荷重を確認する必要があります。特に2階以上の物件では重要です。
- 駐車スペース:お客様が車で来店し、購入した商品を積み込めるスペースがあるか確認しましょう。
- エレベーター:複層階の物件の場合、商品搬入用のエレベーターの有無と仕様を確認します。
専門性の高い商品(書籍、楽器、美術品など)を扱う場合
専門性の高い商品を扱う店舗では、商品保管の環境が重要になります。
- 温湿度管理:書籍や楽器は湿気に弱いため、適切な空調設備や除湿設備が必要です。
- 直射日光の有無:商品の劣化を防ぐため、直射日光が当たらない物件を選ぶか、遮光対策を施せるか確認しましょう。
- 防音設備:楽器店の場合、試奏スペースに防音設備が必要になる場合があります。
- セキュリティ:高額商品を扱う場合、防犯カメラや警報システムの設置が可能か確認しましょう。
理想の店舗像を実現するための物件選びや内装計画に不安がある場合は、店舗デザインの専門知識を持つロベイションのような専門会社に相談することも選択肢の一つです。開業サポートから物件選び、デザイン設計まで一貫してサポートしてもらえることで、理想と現実のギャップを最小限に抑えることができます。
小売店の成功は、商品力だけでなく、それを最大限に活かせる物件選びにかかっています。自分が販売したい商品の特性を深く理解し、それに最適な物件条件を一つひとつ確認していくことが、理想の店舗を実現するための確かな道筋となります。
店舗物件探しでよくある失敗例と対策

理想の店舗を実現するためには、物件探しの段階で起こりやすい失敗を事前に知り、対策を講じることが大切です。多くの開業希望者が同じような失敗を経験していますが、これらは適切な知識と準備があれば回避できるものばかりです。ここでは、実際によくある失敗例とその具体的な対策方法を解説します。
賃料が予算オーバーで経営を圧迫するケース
店舗経営において賃料は毎月必ず発生する固定費であり、売上が低迷している時期でも支払いを免れることはできません。立地の良さや物件の魅力に目を奪われて、身の丈に合わない賃料の物件を契約してしまうと、開業後の経営を大きく圧迫する原因となります。
一般的に、店舗経営における適正な賃料負担率は売上の10%以内とされています。飲食店であれば8〜10%、美容室の場合は6〜8%、小売店は10〜12%程度が目安です。ただし、開業当初は売上予測が不確実なため、賃料を固定費として捉え、確実に支払える金額かどうかを慎重に判断する必要があります。
| 業態 | 適正賃料負担率 | 月商100万円の場合の賃料目安 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 8〜10% | 8万円〜10万円 |
| 美容室 | 6〜8% | 6万円〜8万円 |
| 小売店 | 10〜12% | 10万円〜12万円 |
対策としては、まず事業計画を綿密に立て、現実的な売上予測と経費計画を作成することが重要です。開業初期は集客に時間がかかることを見越して、少なくとも半年から1年間は売上が低くても賃料を支払えるだけの資金計画を立てておきましょう。また、賃料だけでなく、共益費や管理費、水道光熱費などのランニングコストも含めた総額で判断することが大切です。
さらに、物件契約時には敷金や礼金、保証金、仲介手数料などの初期費用も高額になります。こうした費用が予算を圧迫し、肝心の内装工事費や運転資金が不足してしまうことも珍しくありません。物件取得費用と開業後の運転資金のバランスを考えた資金配分を心がけてください。
立地選びのミスで集客に苦労するケース
「良い立地さえ選べば成功する」という考え方は一理あるものの、必ずしも正しいとは限りません。なぜなら、業態やターゲット顧客によって「良い立地」の定義が全く異なるからです。一般的に人通りが多い場所が良い立地とされますが、必ずしもすべての業態に当てはまるわけではありません。
例えば、ランチ需要を狙った飲食店であれば、オフィス街で平日の昼間に人通りが多い場所が理想的です。しかし、ディナー営業が中心であれば、夜間の人通りや駅からの動線が重要になります。
美容室であれば、住宅街の生活圏内で駐車場があることが重視されますし、高級ブランドの小売店であれば、視認性よりもブランドイメージに合った雰囲気の立地が求められます。
立地選びの失敗でよくあるのが、自分の理想や憧れだけで物件を選んでしまい、実際のターゲット顧客の動線や生活パターンを十分に考慮しないケースです。「おしゃれな街だから」「自分が住みたいエリアだから」という理由だけで立地を決めると、想定していた顧客層が実際には少なく、集客に苦労することになります。
立地選びで失敗しないために
対策としては、出店を検討しているエリアで実際に現地調査を行うことが不可欠です。曜日や時間帯を変えて複数回訪れ、ターゲット顧客がどのように行動しているか、競合店舗の混雑状況や周辺施設についても詳しく観察しましょう。また、地域の人口構成や世帯収入、昼間人口と夜間人口の違いなども、自治体の統計データを活用して分析することをおすすめします。
さらに、競合店舗の存在も立地選びの重要な要素です。競合が多すぎるエリアは避けるべきですが、全く競合がいないエリアも「そもそも需要がない」可能性があるため注意が必要です。適度に競合が存在することで、商圏が形成されやすくなり、顧客が集まりやすくなる場合もあります。
契約条件の確認不足でトラブルになるケース
店舗物件の賃貸借契約は、住宅の賃貸契約とは大きく異なり、借主保護の規定が少ないという特徴があります。そのため、契約書の内容を十分に理解せずに契約を進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展する恐れがあります。
特にトラブルが多いのが、原状回復や退去時の条件に関する項目です。居住用物件では経年劣化による損耗は貸主負担となることが一般的ですが、店舗物件では借主が全額負担することが契約で定められているケースがほとんどです。さらに、スケルトン戻し(建物の躯体のみの状態に戻すこと)が義務付けられている場合、退去時に数百万円もの費用がかかることもあります。
また、契約期間や更新条件についても注意が必要です。定期借家契約の場合、契約期間満了時に更新ができず、必ず退去する必要があります。普通借家契約であっても、貸主側に正当な事由があれば更新を拒否されることがあります。長期的に店舗を運営したいと考えているのであれば、契約形態と更新条件をしっかりと確認しておくことが重要です。
賃料更新時のリスク
賃料改定条項も見落としやすいポイントです。契約書に「経済情勢の変動や近隣相場に応じて賃料を改定できる」という条項が含まれている場合、将来的に賃料が値上げされる可能性があります。特に長期契約を結ぶ場合は、どのような条件で賃料が見直されるのかを明確にしておきましょう。
禁止事項や使用制限についても、事前に確認が必要です。飲食店であれば深夜営業の可否、美容室であれば看板設置の制限、物販店であれば取り扱える商品の種類など、業態によって確認すべき項目が異なります。契約後に「実はこの営業形態は認められていなかった」と判明すると、事業計画そのものを見直さなければならなくなります。
対策としては、重要事項説明書と賃貸借契約書の内容を隅々まで確認し、不明点や疑問点はすべて契約前に解消することが大切です。専門的な内容が多いため、可能であれば不動産に詳しい弁護士や行政書士に契約書のチェックを依頼することをおすすめします。また、口頭での約束は後から証明することが難しいため、重要な取り決めは必ず書面に残しましょう。
これらの契約条件の確認や交渉に不安がある場合は、店舗開業の実績が豊富な専門会社に相談することも有効な選択肢です。物件探しから契約交渉、開業後の運営サポートまで一貫して対応できるロベイションのような会社に相談することで、契約時のリスクを最小限に抑えることができます。
内装工事の制限で理想の店舗が作れないケース
物件を契約した後に「希望していた内装工事ができない」と判明し、理想の店舗デザインを諦めざるを得なくなるケースは少なくありません。店舗物件には、建物の構造や貸主の方針、法規制などによって、さまざまな工事制限が設けられていることがあります。
最も多い制限が、躯体への工事に関するものです。壁や床、天井のコンクリート部分に穴を開けることや、配管・配線のための貫通工事が禁止されているケースがあります。特にビルの高層階では構造上の問題から、大規模な給排水工事や電気工事が認められないことがあり、飲食店の厨房設備設置に支障をきたすこともあります。
外観デザインに関する制約
外観に関する制限も重要なポイントです。ファサード(建物の正面)の変更や看板の設置、外壁への塗装などが制限されている場合、店舗の視認性を高める施策が限定されてしまいます。特にテナントビルに入居する場合、ビル全体の景観統一のために、看板のサイズやデザイン、照明の種類などが細かく規定されていることがあります。
また、建物の用途地域や消防法、建築基準法などの法規制によって、実現できない内装デザインも出てきます。例えば、天井を取り払って開放感のある空間にしたいと思っても、消防法上の排煙設備の要件を満たせない場合は実現できません。厨房でガス機器を多用したい場合も、ガス容量や換気設備の制約を受けることがあります。
対策としては、物件の内見時に必ず内装業者や設計士を同行させ、希望する内装が実現可能かどうかを専門家の目でチェックしてもらうことが重要です。契約前に貸主に対して工事可能な範囲を書面で確認し、必要な設備工事がすべて許可されるかどうかを明確にしておきましょう。
特に居抜き物件を検討する場合は、既存設備をそのまま利用できるかどうか、必要な改修工事が可能かどうかを詳細に確認する必要があります。前のテナントの設備が老朽化していたり、現在の業態に適さなかったりする場合、結局大規模な工事が必要となり、居抜き物件のメリットがなくなってしまうこともあります。
また、内装工事の内容によっては、貸主の承諾だけでなく、建物の管理組合や他のテナントの同意が必要になることもあります。工事期間中の騒音や振動、搬入作業などで周囲に迷惑をかけることもあるため、事前に工事計画を共有し、理解を得ておくことが円滑な開業につながります。
内装工事の制約は、店舗のコンセプトや顧客体験に直結する重要な要素です。妥協できない部分と譲歩できる部分を明確にしたうえで、制約の範囲内で最大限理想に近い空間を実現できる物件を選ぶことが、満足度の高い店舗づくりにつながります。
店舗物件の内見で確認すべきチェックリスト

店舗物件の内見は、開業の成否を左右する極めて重要なプロセスです。限られた期間と時間の中で行う内見では、事前準備が特に重要です。図面や写真だけでは把握できない現地の状況を、実際にしっかり確認しましょう。この章では、内見時に漏れなく確認すべきチェック項目を、立地・建物・契約条件の3つの視点から体系的にご紹介します。
立地と周辺環境のチェック項目
店舗ビジネスにおいて、立地は売上を左右する最も重要な要素の一つです。内見当日は、最寄り駅から物件まで歩いて、周辺状況を確認しましょう。ターゲットとする顧客や通行量、最寄り駅からのアクセスの良さや分かりやすさなども含めて、現地の状況を確認することが大切です。実際に足を運ぶことで、図面や写真では決して分からない「生きた情報」を得ることができます。
アクセスと視認性
まず確認すべきは、最寄り駅から物件までの導線です。徒歩での所要時間は実測で計測し、途中の道のりが分かりやすいか、曲がり角が多くないか、人通りが十分にあるかを確認します。駅から遠い場合は、バス停の位置や駐車場の有無も重要な判断材料となります。
物件の視認性も売上に直結します。交差点や大通りに面しているか、看板を設置できるスペースがあるか、ビルの何階に位置するかなど、通行人からどの程度目立つ場所に位置しているかを、実際にいろいろな角度から確認しましょう。特に2階以上の物件の場合、階段の上がりやすさや、1階からの誘導サインの設置可否も確認が必要です。
通行量と時間帯別の人の流れ
内見は可能な限り複数の時間帯に行うことをおすすめします。平日と休日、朝・昼・夕方・夜間では、通行量や客層が大きく異なることがあります。ターゲットとする顧客層がいつ、どのくらいの人数で通行しているかを観察し、記録することで、より正確な売上予測ができるようになります。
飲食店であれば、ランチタイムやディナータイムの人の流れ、美容室であれば平日昼間の女性客の通行量、小売店であれば休日の家族連れの動きなど、業態ごとに着目すべきポイントが異なります。スマートフォンで動画を撮影しておくと、後で複数の物件を比較する際に役立ちます。
競合店舗と商圏分析
周辺の競合店舗の状況も必ず確認してください。同業態の店舗がどの程度の距離にあるか、それらの店舗の繁盛状況はどうか、差別化できるポイントがあるかを観察します。競合が多いエリアは需要が高いことの表れでもありますが、過当競争に陥っていないか、自店の強みを活かせる余地があるかなども慎重に判断しましょう。
また、周辺にどのような店舗が集積しているかも重要です。相乗効果が期待できる業態が集まっているか、ターゲット顧客を引き寄せる魅力的な店舗があるかなど、商圏全体の魅力を評価してください。
周辺施設と生活利便性
物件周辺の施設も確認しましょう。オフィスビル、学校、病院、マンション、商業施設など、ターゲット顧客がいる施設が近隣にあるかを確認します。また、銀行、郵便局、コンビニエンスストアなど、開業後の日常業務で利用する施設の有無も把握しておくと便利です。
駐車場や駐輪場の確保が必要な業態では、近隣にコインパーキングがあるか、賃貸駐車場を契約できるかどうかも調べておく必要があります。車でのアクセスを想定する場合は、幹線道路からの入りやすさ、一方通行の有無なども確認してください。
治安と環境
店舗の営業時間帯における周辺の治安も重要です。特に夜間営業を予定している場合は、夕方から夜にかけての街の雰囲気を実際に確かめてみましょう。街灯の数、人通りの多さ、騒音の程度などを実際に体感することで、従業員やお客様が安心して利用できる環境かどうかを判断できます。
周辺の清潔感も店舗イメージに影響します。ゴミが散乱していないか、落書きがないか、建物の老朽化が進んでいないかなど、街全体の印象をチェックしましょう。
建物と設備のチェック項目
建物や設備の確認は、開業後のトラブルを防ぐうえでも、また内装工事のプランを立てるためにも欠かせません。専門的な内容も多いため、可能であれば内装業者や設備業者と一緒に内見することをおすすめします。
建物の構造と状態
まず建物全体の構造と築年数を確認します。鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造など、構造によって防音性や耐震性が異なります。築年数が古い物件の場合は、耐震基準を満たしているか、大規模修繕の予定があるかを確認してください。
天井、壁、床の状態もチェックポイントです。ひび割れ、雨漏りの跡、カビの発生、床の傾きなど、構造上の問題がないかを入念に確認します。スマートフォンの水平器アプリを使って床の傾きを測定することもできます。不具合を見つけた場合は写真に記録し、入居前に修繕してもらえるかどうかを相談してみましょう。
天井高と面積の実測
図面上の面積と実際の広さが一致しているか、メジャーで実測することが重要です。特に店舗物件では、柱や梁の出っ張りにより、実際に使用できるスペースが狭くなることがあります。天井高も必ず測定し、空調設備や照明、看板などを設置するスペースが十分にあるかを確認してください。
天井の高さは店舗の開放感に大きく影響します。2.5メートル以上あれば一般的に開放感がありますが、業態によって必要な高さは異なります。ダクトや配管がむき出しになっている場合は、それらを隠す天井を作る必要があるかも検討してください。
電気容量と分電盤
店舗の電気容量は、使用する設備によって必要な容量が大きく異なります。分電盤の位置を確認し、契約アンペア数や電圧(単相100V、三相200Vなど)をチェックします。飲食店の厨房機器や美容室のドライヤーなど、消費電力の大きい設備を使う場合は、電気容量が不足していないか専門業者に確認してもらうことが重要です。
電気容量の増設が必要な場合、その費用を貸主と借主のどちらが負担するのかを確認し、増設工事が可能かどうか、また費用の見積もりも取っておきましょう。コンセントの位置と数も確認し、追加工事が必要な箇所をリストアップします。
給排水設備とガス設備
水回りを使う業態では、給排水設備の確認が極めて重要です。給水管と排水管の位置、太さ、勾配を確認し、必要な場所に水道を引くことができるかを検討します。特に排水については、グリストラップの設置義務がある飲食店の場合、排水管の位置や容量が適切かを必ず確認してください。
可能であれば、実際に水を流して水圧と排水の流れを確認しましょう。水圧が低い場合は営業に支障が出る可能性があります。排水の流れが悪い場合は、配管の詰まりや勾配の不足が原因として考えられます。
ガス設備については、都市ガスかプロパンガスか、ガス管の太さと容量、メーターの位置などを確認します。大型の厨房機器を使用する場合は、ガス容量の増設が必要になることもあります。
換気設備とダクト
特に飲食店では、換気設備の確認が非常に重要です。既存の換気扇やダクトがあるか、排気口の位置は適切か、新たにダクトを設置できるかを確認します。厨房からの排気は近隣住民とのトラブルになりやすいため、排気口の位置や臭気対策について慎重に検討する必要があります。
ビルの上層階に位置する物件の場合、ダクトを通す経路を確保できるか、工事費用がどの程度かかるかを事前に確認しておくことが重要です。場合によっては、ダクト工事だけで数百万円かかるケースもあります。
空調設備
既設の空調設備の有無と性能を確認します。業務用エアコンが設置されているか、能力は十分か、設置位置は適切かをチェックしてください。空調設備がない場合や能力不足の場合は、新規設置や増設のコストを見積もる必要があります。
店舗の広さや天井高、窓の大きさなどによって必要な空調能力は変わります。特に、熱を発する厨房機器がある飲食店や西日が強く差し込む物件では、通常以上の空調能力が必要になるという点も考慮しましょう。
また、室外機の置き場所がどこになるのか、必ず確認しておきましょう。2階の店舗で、室外機を屋上に設置するしか方法がない場合、室外機の設置工事だけでも高額な費用がかかることがあります。
窓とシャッター
窓の位置、大きさ、開閉方式を確認します。自然光が入る窓は店内を明るくし、開放感を演出しますが、西日が強すぎる場合は遮光対策が必要になります。窓から店内が見える場合は、プライバシーへの配慮も必要です。
シャッターの有無と動作状態も確認してください。電動か手動か、開閉はスムーズか、鍵は正常に機能するかをチェックします。シャッターが故障している場合は、修理費用の負担を明確にしておきましょう。
インターネット環境
現代の店舗運営では、インターネット環境は必須です。光回線が引き込まれているか、Wi-Fi環境を整備できるか、携帯電話の電波状況はどうかを確認します。オンライン決済やPOSシステムを導入する場合、安定した高速インターネット接続が不可欠です。
建物によっては光回線の導入ができない場合もあるため、事前に確認が必要です。また、地下や鉄筋コンクリート造の建物では携帯電話の電波が届きにくいことがあるため、主要な携帯電話会社の電波状況も、内見時にしっかり確認しておきましょう。
防犯設備とセキュリティ
店舗の防犯対策も重要な確認事項です。入口の鍵の種類(ディンプルキーなどピッキングされにくいものか)、窓の鍵、防犯カメラの設置可否、警備会社のセキュリティシステムの有無などを確認します。
特に貴重品や高額商品を扱う店舗では、セキュリティ対策が重要です。過去に空き巣被害などのトラブルがなかったか、不動産会社に確認してみるのも良いでしょう。
看板とファサード
店舗の顔となる看板の設置可否と設置場所を確認します。建物の壁面に看板を設置できるか、突き出し看板は可能か、サイズや色の制限はあるか、建物の管理規約や地域の景観条例で制限がないかを必ず確認してください。
ファサード(店舗正面)の改装可能範囲も確認します。ガラス張りに変更できるか、庇を取り付けられるか、外壁の色を変更できるかなど、店舗のブランディングにかかわる重要なポイントです。
駐車場と搬入経路
商品や食材の搬入経路を確認します。大型トラックが横付けできるか、エレベーターがある場合は貨物用エレベーターがあるか、階段しかない場合は、手作業で搬入が可能かどうかも考慮しましょう。
駐車場や荷降ろしスペースの有無も確認してください。専用駐車場がない場合、近隣のコインパーキングの料金や、搬入時の一時停車が可能かなども調査が必要です。
| チェック項目 | 確認内容 | 確認方法・ポイント |
|---|---|---|
| 建物構造 | 構造、築年数、耐震性 | 登記簿謄本や重要事項説明書で確認 |
| 天井・壁・床 | ひび割れ、雨漏り、カビ、傾き | 目視とスマホの水平器アプリで確認 |
| 面積・天井高 | 実測値と図面の差異 | メジャーで実測し、柱や梁の影響を確認 |
| 電気設備 | 契約容量、電圧、分電盤位置 | 分電盤を確認し、必要に応じて電気工事業者に相談 |
| 給排水設備 | 配管位置、水圧、排水勾配 | 実際に水を流して確認、グリストラップ設置可否 |
| ガス設備 | 都市ガス/プロパン、容量 | ガスメーターと配管を確認 |
| 換気・ダクト | 排気設備、ダクト経路 | 既存設備の確認と新設工事の可否・費用を確認 |
| 空調設備 | エアコンの有無と能力 | 型番を確認し、店舗面積に対する適切な能力か判断 |
| 看板設置 | 看板の種類、サイズ、位置 | 管理規約と景観条例を確認 |
| インターネット | 光回線、Wi-Fi、携帯電波 | 回線業者に確認、各キャリアの電波を実測 |
契約条件のチェック項目
内見時には、物件の物理的な条件だけでなく、契約条件についても詳しく確認する必要があります。後々トラブルにならないよう、この段階で疑問点はすべて解消しておきましょう。
賃料と共益費
月額賃料に何が含まれているかを明確に確認します。共益費や管理費は別途かかるか、水道光熱費は実費か定額か、空調費用は別途請求されるかなど、月々発生する全ての費用を明確にし、事業計画に組み込むことが重要です。
また、賃料の改定条件も確認してください。契約更新時に賃料が上がる可能性があるか、その場合の条件や上昇率の目安なども把握しておくと、長期的な事業計画を立てやすくなります。
契約期間と更新条件
契約期間は何年か、自動更新か、更新時の手続きや更新料はどうなっているかを確認します。定期借家契約の場合は再契約の可否や条件も重要です。店舗ビジネスでは、軌道に乗るまでに時間がかかることが多いため、十分な契約期間が確保できるかが成功の鍵となります。
また、中途解約の条件も確認が必要です。解約予告期間は何ヶ月前か、違約金は発生するか、どのような条件で解約できるかを把握しておきましょう。
初期費用の内訳
敷金、礼金、保証金、前家賃など、契約時に必要な初期費用の内訳を詳しく確認します。特に保証金については、償却の有無や条件、返還のタイミングや方法を事前に明確にしておきましょう。
仲介手数料や火災保険料、保証会社の利用が必要な場合はその費用なども含め、契約時に必要な総額を正確に把握し、資金計画に反映させてください。
内装工事の制限と条件
どこまで内装工事が可能か、制限事項を詳しく確認します。床や壁の仕上げ変更は可能か、水回りの移設はできるか、電気や給排水の配管工事に制限はないかなど、理想の店舗を実現するために必要な工事が許可されるかを確認してください。
工事を行う際の届出や承認手続き、工事業者の制限(指定業者を使わなければならないか)、工事時間の制約なども把握しておく必要があります。スケルトン物件の場合は、どこまでを借主が造作しなければならないかも明確にしましょう。
原状回復とスケルトン戻し
退去時の原状回復義務の範囲を必ず確認してください。通常損耗は貸主負担か、どこまでを借主が負担するのか、スケルトン戻しが必要かどうかは、退去時の費用に大きく影響します。
スケルトン戻しが条件の場合、その費用は坪単価でいくらくらいになるか、見積もりを取っておくことをおすすめします。退去時の費用を事前に把握しておくことで、契約期間中に適切に減価償却費を計上し、資金を準備することができます。
用途制限と営業時間
契約で認められている用途を確認します。飲食店として借りる場合、具体的にどのような業態が許可されるか、深夜営業は可能か、酒類の提供は問題ないかなど、計画している業態や営業形態が契約上問題ないかを必ず確認してください。
営業時間の制限がある場合、その理由も確認しましょう。近隣住民への配慮、ビルの管理規約、消防法上の制限など、理由によって交渉の余地があるかもしれません。
業態変更と譲渡の可否
将来的に業態を変更する可能性がある場合、その可否を確認しておくことが重要です。また、事業を譲渡したり、別の事業者に転貸したりすることが可能かどうかも確認してください。
特に、居抜き物件を借りる場合、将来退去する際に次の借主に造作を譲渡できるかは、初期投資の回収に関わる重要な条件です。
貸主の承諾が必要な事項
契約後、どのような事項について貸主の承諾が必要になるかを確認します。看板の設置、内装変更、設備の増設など、事前承諾が必要な範囲を把握しておくことで、スムーズな開業準備が可能になります。
また、承諾を得るための手続きや期間、承諾料が必要かどうかも確認しておきましょう。
保険と管理体制
加入が必要な保険の種類と内容を確認します。火災保険は必須ですが、施設賠償責任保険や借家人賠償責任保険の加入も求められることがあります。保険内容と保険料を確認し、必要な補償が含まれているかをチェックしてください。
建物の管理体制の確認も大切です。管理会社や緊急時の連絡先、日常の清掃やメンテナンスの方法など、開業後の運営に影響する点をしっかり把握しておきましょう。
重要事項説明書の内容
契約前には必ず重要事項説明を受けますが、内見時にも大まかな内容を確認しておくことをおすすめします。建物の登記簿上の権利関係、抵当権の設定状況、建築基準法や都市計画法上の制限など、法的な制約や将来的なリスクを事前に把握しておくことが重要です。
特に、再開発の予定がないか、建物の建て替えや大規模修繕の計画がないかは、長期的な事業継続に影響するため必ず確認してください。
| チェック項目 | 確認ポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 賃料 | 月額賃料、共益費、管理費、光熱費 | 月々の固定費総額を把握し、事業計画に反映 |
| 初期費用 | 敷金、礼金、保証金、仲介手数料 | 保証金の償却条件と返還時期を確認 |
| 契約期間 | 契約年数、更新条件、更新料 | 定期借家契約か普通借家契約かを確認 |
| 内装工事 | 工事可能範囲、制限事項、届出の必要性 | 理想の店舗を実現できるか事前に確認 |
| 原状回復 | 退去時の原状回復範囲、スケルトン戻しの要否 | 退去費用を見積もり、資金計画に含める |
| 用途・営業時間 | 認められている業態、営業時間の制限 | 計画している営業形態が問題ないか確認 |
| 中途解約 | 解約予告期間、違約金、解約条件 | 万が一の際の条件を把握しておく |
| 業態変更・譲渡 | 業態変更の可否、造作譲渡の可否 | 将来的な選択肢を確保できるか確認 |
内見での確認事項は多岐にわたり、専門的な知識が必要な部分も少なくありません。
理想の店舗を実現するためには、物件選びの段階から店舗デザインや設備に精通した専門家のアドバイスを受けることが有効です。ロベイションのように、物件探しから設計・施工まで一貫してサポートできる会社に相談すると、内見時の確認漏れを防げ、理想の店舗づくりをより確実に進めることができます。
内見は単なる物件の見学ではなく、あなたの店舗ビジネスの成功を左右する重要な意思決定の場です。このチェックリストを活用し、確認漏れのないように注意して内見を進めてください。
不動産会社との上手な付き合い方

店舗物件探しを成功させるためには、信頼できる不動産会社と良好な関係を築くことが不可欠です。不動産会社は物件情報の提供だけでなく、契約交渉や開業に関するアドバイスなど、多岐にわたってサポートしてくれるパートナーです。ここでは、不動産会社と良好な関係を築くための具体的なポイントをご紹介します。
借主の事を考えてくれる不動産会社選びのメリット
店舗物件探しにおいて、借主の立場に立って親身に対応してくれる不動産会社を選ぶことは、開業の成功を左右する重要な要素です。単に物件を紹介するだけでなく、事業計画や理想とする店舗イメージをしっかり理解し、最適な物件を提案してくれる不動産会社を見つけましょう。
店舗物件専門の不動産会社を選ぶ理由
住宅用賃貸と店舗物件では、求められる知識や経験が大きく異なります。店舗物件専門の不動産会社は、業態ごとの必要設備、営業許可の取得条件、商圏分析の手法など、店舗開業に特化した専門知識を持っています。飲食店であれば厨房設備や排気設備、美容室であれば電気容量や給排水設備など、業態特有の要件について的確なアドバイスを受けることができます。
また、店舗物件専門の不動産会社は、大家さんとの交渉経験も豊富です。賃料の減額交渉や契約条件の調整、内装工事の許可範囲など、開業に関わる様々な交渉をスムーズに進めてくれます。
地域密着型と大手不動産会社の違い
不動産会社には、地域密着型と大手の2つのタイプがあります。それぞれに異なる強みがあるため、自分の状況に合わせて選びましょう。
| タイプ | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 地域密着型 | ・地域の詳細な情報に精通 ・大家さんとの強いネットワーク ・柔軟な対応と交渉力 ・未公開物件を紹介してもらえる可能性が高い | ・取扱エリアが限定的 ・物件情報量が少ない場合がある ・ITツールの活用が遅れていることがある ・賃料や条件交渉が難しい | ・出店エリアが明確に決まっている ・地域の詳しい情報を知りたい ・大家さんとの交渉を重視する |
| 大手不動産会社 | ・広範囲のエリアで物件を探せる ・賃料や条件交渉に協力的 ・豊富な物件情報量 ・システム化されたサービス ・信頼性とコンプライアンス | ・個別対応の柔軟性に欠ける ・担当者の異動が多い | ・複数エリアで検討している ・多くの物件を比較したい ・システマチックなサービスを好む |
信頼できる不動産会社の見極め方
実際に不動産会社を訪問した際には、以下のポイントをチェックして信頼性を判断しましょう。
- レスポンスの速さ:問い合わせに対する返答が早く、丁寧かどうか
- 提案力:こちらの要望を理解した上で、複数の選択肢を提案してくれるか
- 専門知識:業態に応じた設備要件や法規制について説明できるか
- ネガティブ情報の開示:物件のメリットだけでなく、デメリットも正直に伝えてくれるか
- アフターフォロー:契約後のサポート体制が整っているか
特に、物件のデメリットや注意点についても正直に説明してくれる不動産会社は、長期的に信頼できるパートナーと言えるでしょう。
また、専門知識や経験がないにもかかわらず、工事やデザインについてまで話したがる人や、事業計画の詳細を把握しないまま最初からうまくいかないという前提で話を進める人とは、距離を置くことをおすすめします。
希望条件を明確に伝えるコツ
不動産会社から最適な物件を紹介してもらうためには、あなたの希望条件を明確に、そして効果的に伝えることが重要です。曖昧な要望では、的外れな物件ばかりを紹介されてしまい、時間を無駄にしてしまう可能性があります。
条件を整理して優先順位をつける
不動産会社に相談する前に、以下の項目について条件を整理し、優先順位をつけておきましょう。
| 項目 | 具体的に決めておくこと |
|---|---|
| 業態・コンセプト | 開業する業態、店舗のコンセプト、ターゲット顧客層 |
| 予算 | 月額賃料の上限、初期費用の予算、内装工事費の予算 |
| エリア | 希望する出店エリア(第1希望~第3希望まで)、駅からの距離 |
| 物件の広さ | 必要な坪数(最低ライン~理想)、客席数や作業スペースの広さ |
| 設備条件 | 必要な電気容量、給排水設備、空調設備、ガス種類など |
| 契約条件 | 居抜きorスケルトン、契約期間の希望、内装工事の制限 |
| 開業時期 | 物件取得の希望時期、開業予定日 |
これらの条件の中で、絶対に譲れない条件と、妥協できる条件を明確に区別しておくことが重要です。すべての条件を満たす物件を見つけるのは難しいため、優先順位をつけることで、不動産会社も適切な物件を提案しやすくなります。
事業計画書を用意する
可能であれば、簡単な事業計画書でもいいので作成し、不動産会社に提示しましょう。事業計画書には、以下の内容を含めます。
- 店舗のコンセプトと差別化ポイント
- ターゲット顧客層と想定客単価
- 月間売上目標と収支計画
- 必要な設備と内装のイメージ
- 開業までのスケジュール
事業計画書を提示することで、不動産会社に本気度が伝わり、より熱心に物件探しをサポートしてもらえます。また、大家さんへの交渉時にも、事業計画書は有効な材料となります。
希望条件の伝え方のポイント
不動産会社に条件を伝える際は、以下のポイントを意識しましょう。
具体的な数字で伝える
「安い物件がいい」と伝えるのではなく、「月額賃料は30万円以内」や、「広めの店舗」ではなく「20坪以上」といった具体的な数字で伝えることで、認識の食い違いを防ぐことができます。
理由も一緒に説明する
なぜその条件が必要なのかについて理由も添えて説明すると、不動産会社は代替案を提案しやすくなります。たとえば、「厨房スペースが広い物件が必要です。大型のオーブンを設置しなければならないためです」といった形が考えられます。
イメージを共有する
参考になる店舗の写真や雑誌の切り抜き、スケッチなどを用意し、視覚的にイメージを共有することで、より理解してもらいやすくなります。
定期的にコミュニケーションをとる
一度条件を伝えて終わりにするのではなく、定期的に連絡を取り合い、条件の見直しや追加のご要望があれば、その都度伝えるようにしましょう。
理想の店舗を実現するためには、物件探しだけでなく、店舗デザインや内装工事も含めたトータルなサポートが必要です。ロベイションのように、物件探しから店舗デザイン、開業サポートまで一貫して対応できる会社への相談も検討するとよいでしょう。
複数の不動産会社を活用する方法
店舗物件探しでは、複数の不動産会社に同時に相談することで、良い物件に出会える可能性が高まります。ただし、やみくもに多くの会社へ依頼するのではなく、戦略的に活用することが大切です。
複数の不動産会社を活用するメリット
複数の不動産会社を活用することで、以下のようなメリットがあります。
幅広い物件情報にアクセスできる
不動産会社ごとに得意とするエリアや独自のネットワークが異なります。複数の会社に依頼することで、より多くの物件情報に触れることができ、選択肢も広がります。
特に、地域に根ざした会社が保有する未公開物件情報は非常に貴重です。
物件情報の鮮度が上がる
良質な店舗物件は競争率が高く、すぐに決まってしまうことが多いです。複数の不動産会社から情報を集めることで、新着物件をいち早く把握できる可能性が高まります。
条件交渉の選択肢が増える
同じ物件であっても、不動産会社ごとに交渉力や大家さんとの関係性が異なります。複数のルートを利用することで、より有利な条件で契約できる場合があります。
サービスや提案を比較できる
不動産会社ごとに得意分野やサービス内容は異なります。複数の会社に相談することで、自分に合った会社を比較し、選ぶことができます。
効果的な活用方法
複数の不動産会社を活用する際は、以下のポイントを押さえましょう。
3社程度に絞る
あまり多くの会社に依頼すると、情報管理が複雑になり、各社とのコミュニケーションもおろそかになりがちです。3社程度に絞り、しっかり連絡を取り合うことが効果的です。
異なるタイプの会社を組み合わせる
大手不動産会社を1~2社、地域密着型の会社を1~2社といったように、異なるタイプの会社を組み合わせることで、それぞれの強みを活かすことができます。また、店舗物件を専門に扱う会社は、必ず1社は加えるようにしましょう。
| 組み合わせ例 | 期待できる効果 |
|---|---|
| 大手不動産会社×地域密着型×店舗専門 | 広範囲の物件情報、地域の詳細情報、業態特化の専門知識をカバー |
| 複数の地域密着型会社 | 同じエリア内での未公開物件情報を網羅的に収集 |
| エリア別に会社を使い分け | 複数の候補エリアそれぞれで、地域に強い会社から情報収集 |
各社に複数依頼していることを伝える
複数の不動産会社に依頼していることは、率直に伝えましょう。むしろ、そのことを正直に伝えることで、各社が競争心を持ち、より良い物件を優先的に紹介してくれることもあります。ただし、最後まで誠実に対応することを心がけましょう。
情報を一元管理する
複数の会社から提案された物件情報は、スプレッドシートなどを活用して一元的に管理しましょう。物件の重複を防ぐことができ、比較検討もしやすくなります。
注意すべきポイント
複数の不動産会社を活用する際には、以下の点に注意が必要です。
同じ物件を複数のルートで申し込まない
同じ物件に複数の不動産会社を通じて申し込みをすると、トラブルの原因になることがあります。気に入った物件があれば、どの不動産会社を通じて手続きを進めるかを早めに決めましょう。判断のポイントとしては、その物件に対する交渉力や、担当者との相性などを考慮すると良いでしょう。
各社に同じ温度感で接する
特定の会社だけを優遇する態度は控えましょう。すべての会社に対して誠実に対応することで、良好な関係を保つことができます。
レスポンスは早く丁寧に
複数の会社とやり取りしている場合でも、各社への返答は迅速かつ丁寧に行いましょう。対応が遅れると、不動産会社からの優先度が下がってしまうことがあります。
契約後のフォローを考慮する
最終的に契約を結ぶ際には、契約後のサポート体制も十分に考慮して不動産会社を選びましょう。開業後のトラブルへの対応や、将来的な店舗拡大に関する相談など、長く良好な関係を築ける会社を選ぶことが大切です。
不動産会社との関係構築のコツ
複数の不動産会社と良好な関係を築くためには、以下のような姿勢が大切です。
- 感謝の気持ちを伝える:物件を紹介してもらったら、たとえ希望に合わなくても、感謝の気持ちを伝えましょう
- フィードバックを提供する:なぜその物件が合わないのか、具体的な理由を伝えることで、次の提案の精度が上がります
- 進捗を共有する:物件が決まりそうな場合は、他の会社にもその旨を伝え、無駄な物件紹介を避けましょう
- 長期的な関係を意識する:今回の開業だけでなく、将来の店舗展開も見据えて、信頼関係を築きましょう
複数の不動産会社を戦略的に活用することで、理想の店舗物件に出会える可能性は大きく高まります。ただし、数を増やせば良いというものではなく、各社と密にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが最も重要です。効率的な情報収集と誠実な対応のバランスを大切にしながら、物件探しを進めていきましょう。
店舗物件の契約時に注意すべきポイント

店舗物件の契約は、理想の店舗をかたちにするための重要なステップです。ただし、契約内容を十分に理解していなかったり、条件が曖昧なままだと、営業停止や高額な原状回復費用などのトラブルに発展する恐れがあります。ここでは、契約時に特に注意すべき重要な項目について、実践的な観点から解説します。
賃貸借契約書の重要事項
店舗物件の賃貸借契約書は、居住用の賃貸借契約とは異なる点が多く、事業の成否を左右する重要な内容が含まれています。契約書には見慣れない専門用語や法律条項が多いため、一つひとつの項目を丁寧に確認することが必要です。
契約形態の種類と違い
店舗の賃貸借契約には、「普通建物賃貸借契約」と「定期建物賃貸借契約」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の事業計画に合った契約形態を選ぶことが重要です。
| 契約形態 | 主な特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 普通建物賃貸借契約 | 契約期間満了時に自動更新される一般的な契約形態。法定更新の制度があり、借主が保護される | 正当な理由がない限り更新され、長期的な事業展開が可能。中長期的な店舗運営に適している | 貸主からの解約が困難なため、物件によっては契約を断られる場合がある |
| 定期建物賃貸借契約 | 契約期間満了時に自動的に契約が終了する形態。再契約には貸主との合意が必要 | 賃料が普通契約より安く設定されている場合がある | 契約満了後は確実に退去するか再契約が必要。中長期的な事業展開には不向き |
特に定期借家契約の場合は、契約満了時に確実に退去しなければならないリスクがあるため、建物の築年数や貸主の事業計画なども含めて、慎重に判断しましょう。商業施設でない、あるいは築年数が古いわけではないのに定期借家契約を求められる場合は、将来的な建て替えや売却計画が予定されている可能性もあるため、注意が必要です。
契約書に記載される主要項目
契約書には、店舗の所在地、構造、床面積などの基本的な事柄を「店舗の表示」として記載します。以下の項目は必ず確認し、不明な点は契約前にしっかりと質問しておきましょう。
- 物件の表示:所在地、構造、床面積、専有面積などの物件情報
- 使用目的:飲食店、美容室、小売店など、契約書に記載された用途以外での使用はできません
- 賃貸借期間:契約の開始日と期間を明確に記載。定期借家契約の場合は特に重要
- 賃料と支払条件:月額賃料、共益費、管理費、支払日、支払方法、消費税の有無
- 契約更新:更新の可否、更新料、更新手続きの方法と期限
- 中途解約:解約予告期間、違約金の有無と金額、解約手続きの方法
店舗の賃料には消費税がかかることを忘れないようにしましょう。居住用賃料は非課税ですが、事業用の店舗賃料は収益事業の対価とされ、消費税が課されます。
特約事項の確認
契約書には記載されない特別な条件を盛り込むための欄が特約事項です。営業時間、看板設置のルール、造作買取の有無、禁煙・騒音対策などが含まれます。特約事項は本条項よりも優先して適用されるため、見落としがちですが非常に重要な項目です。
特に以下の点は入念に確認しましょう。
- 営業時間の制限(深夜営業の可否など)
- 看板や外装の設置に関するルール
- 内装工事の制限事項(構造変更、水回り工事など)
- 火災保険の加入義務
- 共用部の使用条件
- 騒音・臭気への配慮事項
- ゴミ出しのルール
特約事項には、オーナー側に有利な条件が記載されている場合もあるため、ご自分にとって不利な内容が含まれていないか、専門家に相談することもご検討ください。
敷金・礼金・保証金の仕組み
店舗物件の契約では、居住用物件とは異なり初期費用が高額になる傾向があります。特に敷金・礼金・保証金については、その仕組みと返還条件を正確に理解しておく必要があります。
保証金(敷金)とは
敷金(保証金)は、一般的に賃料の10〜12ヶ月分を貸主に預け、退去時には原状回復費用や未払賃料などが差し引かれた上で、残額が返還されます。地域によっては「保証金」と呼ばれることもあり、近畿・中国地方では保証金という名称が一般的です。
保証金の役割は以下の通りです。
- 賃料の滞納があった場合の担保
- 契約違反による損害の補填
- 原状回復工事費用の担保
- その他、契約に基づく金銭的義務の担保
店舗物件の保証金は、月額賃料の6ヶ月分から12ヶ月分が相場ですが、人気物件では15ヶ月分以上と高額になる場合もあります。契約前に、保証金の金額と返還条件をしっかり確認し、あらかじめ資金計画に組み込んでおくことが大切です。
償却と返還条件
保証金には「償却」という独特の仕組みがあります。償却とは、契約期間中や退去時に保証金の一部または全部が返還されない条件のことです。
| 償却の種類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 初期償却 | 契約時に即座に償却される金額 | 保証金12ヶ月分のうち、契約時に2ヶ月分を償却 |
| 年次償却 | 契約期間中、毎年一定額が償却される | 毎年1ヶ月分ずつ償却され、5年後には5ヶ月分が償却済み |
| 退去時償却 | 退去時に一定額が償却される | 退去時に保証金の20%を償却 |
償却条件は契約書に明記されているため、返還される金額を事前にシミュレーションしておくことが大切です。特に短期間で退去する可能性がある場合は、償却額が大きな負担となります。
礼金
礼金は、物件の貸主へのお礼として支払う金銭で、返還されることはありません。店舗物件では賃料の1〜2ヶ月分が相場ですが、物件によっては礼金が不要な場合もあります。礼金は交渉の余地がある項目でもあるため、初期費用を抑えたい場合は不動産会社を通じて交渉することも検討しましょう。
その他の初期費用
保証金・礼金以外にも、以下の初期費用が必要になります。
- 前家賃:契約時に翌月分の賃料を先払いするのが一般的
- 仲介手数料:不動産会社への報酬として賃料の1ヶ月分が上限
- 火災保険料:契約で加入が義務付けられている場合が多い
- 保証会社利用料:保証人の代わりに保証会社を利用する場合
- 共益費・管理費:初月分を前払いする場合がある
契約時には保証金や礼金だけでなく、これらすべての初期費用を合計した金額を用意する必要があります。店舗物件の初期費用は、一般的に賃料の10〜15ヶ月分程度が目安となります。これを念頭に、資金計画を立てましょう。
原状回復とスケルトン戻しの違い
店舗物件の契約で最もトラブルになりやすいのが、退去時の原状回復に関する問題です。原状回復の範囲や方法について契約時に明確にしておかないと、退去時に予想外の高額請求を受ける可能性があります。
原状回復とは
契約満了後の建物の原状回復についてのルールを記載します。店舗賃貸借契約書では、借主側が原状回復義務を負うことが一般的です。原状回復とは、借主が契約締結時の状態に物件を戻して貸主に返還する義務のことです。
ただし、原状回復の「範囲」は契約内容によって大きく異なります。
| 原状回復の種類 | 内容 | 借主の負担範囲 |
|---|---|---|
| 通常の原状回復 | 借主が行った内装工事や設置した設備を撤去し、入居時の状態に戻す | 借主が施工した内装、造作、設備の撤去。通常損耗や経年劣化は含まない |
| スケルトン戻し | 物件を躯体だけの状態(コンクリート打ちっぱなし)に戻す | すべての内装、設備、造作を撤去。床・壁・天井を躯体状態に戻す工事費用 |
| 居抜き返却 | 内装や設備をそのまま残して返却 | 設備の動作確認、清掃など最小限の対応。次の借主への造作譲渡が前提 |
スケルトン戻しの注意点
スケルトン戻しは、すべての内装、設備、造作を撤去し、物件を躯体だけの状態(コンクリート打ちっぱなし、配管や配線が露出した状態)に戻すことを指します。店舗物件の契約では、スケルトン戻しが条件となっているケースが多く、その場合は以下の工事が必要になります。
- 天井、壁、床のすべての仕上げ材の撤去
- 厨房設備、什器、造作カウンターなどの撤去
- 電気配線、給排水管、ガス管の躯体内への収納または撤去
- 空調設備、換気設備の撤去
- 看板、外装装飾の撤去
- 床、壁、天井の原状回復(躯体の補修)
スケルトン戻しには、数百万円単位の費用がかかる場合も珍しくありません。特に飲食店で大規模な厨房設備や内装工事を施した場合は、撤去費用が高額になることがあります。退去時の資金計画を立てる際には、この原状回復費用も考慮しておく必要があります。
契約時に確認すべき原状回復の項目
原状回復の範囲を明確にしないまま契約すると、退去時に壁紙や床材の補修をめぐってトラブルになりがちです。以下の項目を契約前に必ず確認し、契約書に明記してもらうようにしましょう。
- 原状回復の範囲:通常の原状回復か、スケルトン戻しか
- 通常損耗の扱い:経年劣化や通常使用による損耗は借主負担か
- 入居時の状態:写真や動画で記録を残し、契約書に添付する
- 造作や設備の扱い:借主が設置した設備をそのまま残せるか
- 工事業者の指定:貸主指定の業者を使う必要があるか、相見積もりは可能か
- 原状回復費用の上限:保証金から差し引かれる費用の目安
- 立会い確認:退去時に貸主・借主双方で状態を確認する手順
居抜き返却の可能性
スケルトン戻しの費用負担を避けるために、居抜き返却という選択肢もあります。居抜き返却とは、内装や設備をそのまま残した状態で次の借主に引き継ぐ方法です。次の借主が見つかれば、造作譲渡代金を受け取れることがあり、原状回復費用の負担を大幅に軽減できる場合もあります。
ただし、居抜き返却が可能かどうかは貸主の承諾が必要です。契約時に「居抜き退去は可能か」「造作譲渡は認められるか」を確認しておくと、将来の選択肢が広がります。
契約期間と更新条件の確認
店舗物件の契約期間と更新条件は、長期的な事業計画に大きく影響します。契約形態によって更新の手続きや条件が異なるため、自分の事業スタイルに合った契約を選ぶことが重要です。
契約期間の設定
店舗物件の賃貸借契約の期間は、一般的に2年から5年程度に設定されることが多いです。契約期間の長さは、貸主と借主の交渉によって決まりますが、借主にとっては以下の点を考慮して判断しましょう。
- 初期投資の回収期間:内装工事費用を賃料と売上から回収するのに必要な期間
- 事業の安定期間:店舗が軌道に乗り、収益が安定するまでの期間
- 立地の将来性:周辺環境の変化や再開発の予定など
- 資金繰り:長期契約の場合、賃料支払いの継続が可能か
短期間の契約は柔軟性がありますが、更新交渉が頻繁になり、安定した事業運営が難しくなる場合があります。一方、長期契約は安定性がありますが、途中解約の際に違約金が発生するリスクがあります。
普通賃貸借契約の更新条件
普通賃貸借契約の場合、契約満了の6カ月前までに貸主・借主の申し入れがない場合、賃貸借契約は自動で更新されます(法定更新)。借主にとっては、特段の手続きをしなくても契約が継続されるため、安定した店舗運営が可能です。
ただし、更新時には以下の点を確認しておく必要があります。
- 更新料:更新時に支払う費用(賃料の1〜2ヶ月分が一般的)
- 更新手続き:書面での手続きが必要か、自動更新か
- 賃料改定:更新時に賃料が値上げされる可能性
- 契約内容の変更:更新時に契約条件が変更される可能性
更新を希望しない場合は、契約満了の6ヶ月前までに書面で通知する必要があります。この通知期間を過ぎると法定更新が適用され、さらに契約が継続されてしまうため、退去予定がある場合は早めに準備を始めましょう。
定期建物賃貸借契約の更新
定期建物賃貸借契約の場合、契約期間満了時に自動的に契約が終了します。契約を継続したい場合は、貸主との間で新たに契約を締結する必要があります。この「再契約」には以下の注意点があります。
- 貸主が再契約を拒否する権利がある
- 再契約時に賃料や契約条件が変更される可能性が高い
- 再契約の交渉は契約満了の数ヶ月前から始める必要がある
- 再契約できない場合は確実に退去しなければならない
定期借家契約は貸主にとって有利な契約形態であるため、借主は契約満了後の選択肢が限られます。長期的な店舗運営を計画している場合は、できるだけ普通賃貸借契約を選ぶか、定期借家契約でも再契約の可能性を事前に確認しておくことが重要です。
中途解約の条件
中途解約の際、いつまでに通知すれば良いのか、違約金が発生するのかといった条件が不明確だと、賃貸人・賃借人間でトラブルに発展します。中途解約に関する条件は契約書に必ず明記されているため、以下の項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 解約予告期間 | 解約を通知してから実際に退去するまでの期間 | 3ヶ月前〜6ヶ月前予告が一般的。この期間の賃料は支払い義務がある |
| 違約金の有無 | 契約期間途中で解約する場合の違約金 | 賃料の数ヶ月分が設定されている場合がある。定期借家契約では高額になりやすい |
| 解約方法 | 書面による通知か、口頭でも可能か | 書面での通知が原則。内容証明郵便で送ると記録が残る |
| 残存賃料の支払い | 契約期間が残っている場合の賃料支払い義務 | 定期借家契約では、残り期間分の賃料を一括で支払う条件の場合がある |
特に定期借家契約では、中途解約が原則不可で、解約する場合は残存期間分の賃料を支払う特約が設定されている場合があります。このような条件は借主にとって非常に不利なため、契約前に必ず確認し、交渉の余地があるかを不動産会社に相談しましょう。
契約解除条項
契約書には、一定の条件下で貸主または借主が契約を解除できる「契約解除条項」が記載されています。以下のような場合に、契約が解除される可能性があります。
- 賃料の滞納(通常2〜3ヶ月の滞納で解除対象)
- 用途違反(契約で定めた用途以外での使用)
- 無断転貸・譲渡(第三者に又貸しする行為)
- 契約違反(騒音、悪臭、近隣トラブルなど)
- 建物の損傷(故意または重過失による損傷)
契約解除条項に該当すると、即座に退去を求められ、違約金や損害賠償を請求される可能性があります。契約内容を守り、問題が発生した場合は早めに貸主や管理会社に相談することが大切です。
店舗物件探しからサポートが受けられるLovationにご相談ください

店舗物件探しは、開業準備の中でも特に重要なステップですが、同時に多くの方が悩み、立ち止まってしまう段階でもあります。単に店舗を開くことが目的ではなく、自分の理想のお店を実現するために、どのような物件を選べばよいのか、どこから手を付ければいいのかわからない方も多いのが現実です。
Lovationは、店舗デザインの専門会社として、一人ひとりの理想や夢の実現をサポートしており、デザイン業務だけにとどまらず、開業準備の初期段階から総合的に支援しています。
物件探しの段階では、まず、ご自身が実現したいお店のコンセプトや、ターゲットとなるお客様像、提供したい価値を明確にすることが大切です。これらが明確になっていないままに物件を探し始めると、本来の目的とは合わない物件を選んでしまったり、内装工事の段階で理想と現実のギャップに苦しむことになります。Lovationでは、そうした失敗を防ぐために、物件探しの前段階から相談に乗り、オーナー様の想いを具体的な形に落とし込むお手伝いをしています。
理想のお店を実現するための物件選びには、単なる不動産情報だけでなく、店舗運営や空間設計の専門知識が必要です。Lovationのような店舗デザインと開業サポートの専門会社にご相談ください。
デザインだけでなく開業サポートもしている
Lovationの開業サポートでは、具体的なペルソナ設定によって揺るがない軸をつくり、内装工事やデザイン費用の概算の提示、開業資金計画の一部の明確化、さらには同じエリアにおける競合分析や差別化ポイントの明確化まで、きめ細かくサポートしています。
多くの店舗デザイン会社が内装デザインや工事のみを請け負うのに対し、Lovationは開業準備の構想段階からサポートできる体制を整えています。開業前の段階で、「誰に」「何を」「どのように」提供するのかという事業の核心をしっかり固めておくことが、物件選びや店舗デザインの成功につながります。
開業サポートを受けることで、物件探しの段階で何を優先すべきか、どのような条件の物件が自分の理想とするお店に適しているかが明確になります。これにより、無駄な時間を使わず、効率的に物件探しを進めることができます。
また、物件が決まる前にコンセプトや事業計画を固めておくことで、物件契約後はデザイン設計や工事へスムーズに進めるほか、開業までのスケジュールにも余裕をもたせることができます。すでに物件が決まっている場合でも相談は可能ですが、物件探しを始める前に構想を固めることで、より適切な立地選択と効率的な開業準備が可能になります。
日本全国で店舗デザインの実績がある
Lovationは東京都品川区を拠点としていますが、日本全国の店舗デザインに対応しています。地域を問わず、飲食店、カフェ、美容室、エステサロン、小売店など、さまざまな業態の店舗デザイン実績を持っています。
日本全国で対応が可能であることは、地方での開業を検討している方にとって大きなメリットです。地方では店舗デザインの専門会社が少なく、開業サポートまで行っている会社となるとさらに限られます。遠方の場合でも、オンラインでの打ち合わせや必要に応じた現地対応で、質の高いサポートを受けることが可能です。
また、全国各地での実績があることは、それぞれの地域特性や商圏の違いを踏まえた物件選びやデザイン提案が可能であることを意味します。都市部と地方では、求められる店舗の立地条件や集客動線、ターゲット層の特性が異なります。地域に合わせた最適な物件選定とデザイン提案を受けられる点は、開業成功の確率を高める重要な要素となります。
これまでに手がけた店舗デザインは、専門誌や業界メディアにも掲載されており、実績と信頼性のある店舗デザイン会社として認知されています。公式ウェブサイトでは、実際の店舗デザイン事例を写真付きで確認することができるため、自分が目指すお店のイメージに近い事例を参考にすることができます。
180店舗以上のデザイン実績がある
Lovationはこれまでに180店舗以上の店舗デザインを手がけてきた実績があります。これだけの数の店舗デザインに携わってきたということは、多様な業態・規模・予算・立地条件での店舗づくりのノウハウを蓄積しているということです。
Lovationでは、基本設計から始まり実施設計、設計監理を含めた設計デザイン業務、施工会社のご紹介と選定、相見積りの実施や査定業務、ロゴや名刺などの周辺アイテムまで含めた総合デザインを提供しています。
単に図面を引くだけではなく、工事費用の査定や開業後に必要なツール類のデザインまで、総合的なサポートが受けられるのは、初めて開業する方にとって大きな安心材料となります。
また、これまでの実績には、小規模店舗から大型店舗まで、さまざまな規模の案件が含まれています。予算に限りがある方も、過去の事例を参考にしつつ、無理のない範囲で理想に近いお店づくりを目指すことができます。
店舗物件探しから開業まで一貫したサポート体制が整っているLovationにご相談いただくことで、一人では気づきにくい物件の可能性や、理想のお店を実現するための具体的なステップが明らかになるでしょう。詳しくは、Lovationの開業相談ページをご覧ください。
まとめ
本記事では、店舗物件の探し方について、基礎知識から業態別のポイント、契約時の注意点まで詳しく解説してきました。ここで重要なポイントを振り返っておきましょう。
店舗物件探しで押さえるべき重要ポイント
- 開業スケジュールを逆算し、物件探しは6ヶ月前から始めることで、余裕を持って準備を進めることができます。
- 出店エリアとターゲット顧客を明確にすることが、立地選定の基盤となる
- 物件条件には必ず優先順位をつけ、すべてを満たそうとせず、現実的に判断することが大切です。
- 飲食店は厨房設備や営業許可、美容室は電気容量や保健所の基準、小売店は視認性や通行量が、それぞれの重要なチェックポイントになります。
- 内見時は、立地・建物・契約条件の3つの視点から総合的に判断することで、失敗を防ぐことができます。
- 契約前に賃貸借契約書、原状回復条件、契約期間を必ず確認し、不明点は専門家に相談する
店舗物件選びは、その後の事業の成否を左右する、最も重要な意思決定のひとつです。立地の良し悪しは集客に直結し、設備や契約条件は運営コストや事業の自由度に大きく影響します。
初めての店舗開業で不安を感じたり、物件選びに迷った際は、店舗設計デザイナーや開業コンサルタントなど、専門家のサポートを受けることをおすすめします。プロの視点から物件の可能性を最大限に引き出す提案を受けることで、ターゲットとなるお客様にとって居心地の良い、魅力的な空間を実現できるでしょう。
理想の店舗づくりや事業の成功に向けて、この記事でご紹介した内容が皆様のお役に立てば幸いです。


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