美容室のセット面|失敗しないコツと留意点
美容室のセット面は、お店で働く美容師にとって、スタイリングやヘアカットに欠かせない重要な関心事ではないでしょうか。理想のセット面を作るには、すでにある美容室のセット面のデザインを参考にしながら、頭の中で描いているイメージに近づけていくことです。
また、セット面をおしゃれにデザインするには、セット面だけでなく、セット&カットスペースのデザインについても考慮する必要があるでしょう。
この記事では、美容室のセット面をおしゃれにデザインするコツについて解説します。また、見た目だけでなく機能面も実現するための留意点をご紹介します。
目次
おしゃれなセット面のデザイン事例

美容室のセット面をおしゃれにデザインするには、情報収集が必要です。
世の中には、さまざまなデザインのセット面があります。できるだけ多くのデザインを収集しましょう。情報を集めることで理想のセット面のイメージを強化します。とともに、こだわりや世界観をどのように表現すればよいのかが分かります。
情報収集は、身近にある美容室から始めるといいです。インターネットを使えば、日本国内だけでなく海外の美容室からもアイデアを収集が可能です。いろいろなセット面のデザインを見ていくうちに、頭の中に描いていたイメージが具体的に固まっていくでしょう。
お店の設計やデザインをお願いするときに伝えやすいように情報は2種類に分けてまとめます。
- デザインのイメージが近い分類
- 機能面の希望に近い分類
この2つに分けて情報集した内容をまとめる理由がいろいろあります。その中でも特に重要な理由は『デザイン設計専門家とは言え、あなたの考えやイメージを汲みとってデザインできない人がいる』からです。
セット面のタイプの選び方

美容室で設置されているセット面には、大きく分けて
- 対面式
- 片面式
- 半個室型
- 個室型
の4種類があります。
セット面を選ぶ際、「おしゃれさ」に気持ちがいってしまうかもしれません。けれども、それと同時に大切なのは、“機能性”です。セット面を選ぶ時は、
- 見た目のおしゃれさ
- 機能性
の2点から、イメージにマッチするタイプを選ぶようにしましょう。各セット面の特徴について以下にご紹介します。
対面式のセット面

対面式は、店内の中央や壁のない場所に設置するタイプです。セット面が中心部分にまとまっている王道スタイルです。
おしゃれなデザインにしやすい対面式です。しかし、注意したいのは、導線、コンセントの配線、お客さんの足元への配慮です。スタッフ導線や客導線がそれぞれの席に独立して必要になります。
例えば、セット面で使うコンセントです。
コンセントを設置するための電気配線をセット面下に施工しなければなりません。その為には、床下に電気配線を通す必要があります。その為には床を上げて、床下に配線用の隙間を作らなければなりません。しかし、床上げは工事費用を高くなります。それだけでなく天井高を低くすることにもつながります。
また、セット面とセット面の間をお客さんが通る導線の場合も注意が必要です。導線上にドライヤーなど電源コードが客導線の障害にならないよう注意しましょう。
こんなことも…
工事を安く請け負う美容専門の業者が、一般的な対面式のレイアウトを出店者に提案していた事例がありました。デザイン設計のプロとは言えないレベルの提案資料を見せてもらい驚きました。コンセントの問題やお客さんの導線について何も考えられていないデザインでした。
専門業者とはいえ、デザイン設計する人があなたの希望やイメージを汲み取ることに長けており、計画に反映できるとは限りません。
片面式のセット面

片面式は、壁に向かってセット面をレイアウトするタイプです。スタッフ導線や客導線は、セット面とセット面の間に位置するので、空間効率が良いといえます。コンセントは壁面側に取り付けることができるので、対面式よりも配線の心配が少ないでしょう。
しかし、鏡どうしの写り込みや、導線部分の抜け感が広さを助長させるおそれがあるうえ、レイアウトによっては間が抜けたような印象を与えることもあります。
ポイント
セット面とセット面の間に広くスペースができます。そのため、全体を見渡せるほどの見えすぎる店内は『間の抜けた広い空間』に見えてしまいます。
計画的に見せない範囲(視界制限)を考慮してデザインしましょう。
半個室型のセット面

半個室型は、セット面とセット面の間にパーテーション(間仕切り)があるスタイルです。パーテーションで区切るレイアウトなので、個室のような印象を与えられます。
半個室型の場合、おしゃれさと機能性を両立させるには、
- エアコンの効率
- 照明計画
- スタッフ間のオペレーション
- コスト
- 面積
といった内容を改善するための検証と、事前の計画が必要です。
注意点
個室型のセット面

個室型は半個室型とほとんど同じです。ですが、お客さんはより「自分だけ」という特別感を感じやすいスタイルです。他のタイプよりも面積に対する席数も少なくなるため、料金単価を高く設定する必要があります。
セット面のミラーは内装工事で製作しよう

美容室向けのミラーには、ドレッサータイプと、鏡と板が別々になっているタイプとがあります。どちらのタイプも市販されています。一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
セット面のミラーを選択する方法には、
- 既製品を選ぶ
- 内装工事で製作する
の2種類があります。
それぞれの特徴について見てみましょう。
既製品を選ぶ

すでに出来上がっているものから自分のイメージに近いものを選ぶため、自分で一からデザインするよりも早く設置できるという利点があります。また、オリジナルでミラーを設置するよりも、コストは低めです。
既製品は他のお店で使われている可能性があることと、製品によっては安っぽい印象を与えるおそれがある点は、デメリットといえるでしょう。
内装工事で製作する

ミラーはお客さんの印象に残りやすく、お店のブランディングに影響を与えます。他店にはないオリジナルなミラーを設置することで、差別化しやすくなるでしょう。
オリジナルミラーを設置したい場合は、内装工事で製作する場合がほとんどです。デメリットといえば、既製品よりも高額になるという点でしょう。こだわりが強ければ、その分コストがかさみます。
このように、既製品もオリジナルのミラーを製作する場合も、それぞれメリットとデメリットがあります。しかし、おしゃれさと機能性を兼ねそろえた理想のセット面は、
- ケース・バイ・ケースに柔軟に対応できる
- ブランディングにつながる
という点において、内装工事で製作することをおすすめします。コストの問題が解決されるのであれば、検討するとよいでしょう。
セット面のデザインをおしゃれにする要素
お客さんに「おしゃれなセット面だな」と思ってもらうには、セット面以外の要素にも配慮する必要があります。それは、セット&カットスペースのデザインに配慮することです。
セット面を引き立てるセット&カットスペースのデザインをおしゃれにする要素は、以下の5つです。
- セット面の壁面の素材感や色味
- セット面の光環境
- セット面の快適性
- セット面の鏡の映り込み
- セット面周辺の作業性(収納、コンセント位置、ワゴンの位置)
どの要素も、「コンセプトにマッチしている」ということが前提となりますが、それに加えて選ぶ際の留意点があります。要素別に見てみましょう。
①セット面の壁面の素材感や色味
美容室で用いられる壁面の素材には
- 塗装
- 壁紙
- タイル
- 左官仕上げ(職人によって仕上げられる壁)
などがあります。
コストやお手入れの容易さを考えた場合、この中で一番使いやすいのが壁紙でしょう。クロス材を使った壁紙はバラエティに富んでいて、イメージに合ったものを手頃な価格で見つけやすい点が魅力です。ただし、素材感や色味によってはチープな印象を与えがちな点には注意しましょう。
こだわりを求めるのなら、陶磁器のタイルを貼ったり、漆喰、モルタルといった素材を用いて左官仕上げにしたりするのが得策です。その際は、コストやメンテナンスなどの点に留意します。
セット面の壁の色味については、基本的に淡い色味をメイン色として選び、色味が強いものはアクセントに使うと失敗しにくいでしょう。
②セット面の光環境
美容室のセット面の光環境は、使用する照明に左右されます。
セット面の理想的な光環境をつくるには、
- コンセプトを表現している
- お店のイメージを損なわない
- カラーリングの色合いなど仕上がりを正確に確認できる
といった点に留意することが大切です。
美容室は、店内を100ルクス以上の明るさに保つ必要があります。けれども、おしゃれ感と機能性を考えると、最低でも1,000ルクス程度の明るさがほしいところです。
照度を考えたら、次は照明機器を選びます。
- ダウンライト
- スポットライト
- シーリングライト
など、美容室のセット面向けの照明機器は豊富にあります。しかし、機能面を考えるとともに、セット面のデザインに溶けこむものかどうかについて確認することがポイントとなるでしょう。
③セット面の快適性
セット面の快適さは、
- お客さんが快適に過ごせるか
- スタッフが快適に動けるか
の2点を考える必要があります。
お客さんが快適に過ごすための留意点:
- 椅子:長時間座っても疲れないか
- 照明:照明が目に直接当たらないか
- セット面どうしの距離:閉塞感を感じないよう適度な間隔があるか
スタッフが快適に動くための留意点:
- 椅子:椅子どうしは適度に離れているか
- 照明:作業するのにちょうどいい明るさか
- セット面どうしの距離:作業中に他のスタッフとぶつからない程度の距離感を確保できるか
一つでも不便な点があっても、それはお客さんとスタッフが大きな不快感を抱く原因になります。セット面の快適さについては、細部まで徹底して慎重に検討することが大切です。
④セット面の鏡の映り込み
セット面の鏡は、担当スタッフとお客さんの2人が映り込むように設置することが大前提です。鏡に他の人が映り込むと、お客さんはそれだけで気が散ってしまいます。中には不快感を示す人が出てくるかもしれません。スタッフにしても、ちらちらと他の人が鏡に映り込むと、作業に集中することが難しくなるでしょう。
セット面の鏡の映り込みを避けるには、完全個室にすることです。それが難しい場合は、半個室にして仕切りをセット面にするという方法もあります。
⑤セット面周辺の作業性(収納、コンセント位置、ワゴンの位置)
セット面周辺の作業性は、おしゃれなデザインと機能性の両立に欠かせない要素です。
収納などの配置の仕方によっては、セット面のデザインを引き立てることもダサくすることもできてしまいます。また、コンセントの配線を無視したデザインにしてしまうと、作業に不便さを感じてしまうかもしれません。つまり、セット面周辺の作業性も、デザインの一つとして考える必要があるということです。
カラー剤などお客さんの目になるべく触れさせたくないものは、受付カウンターの足元に収納棚を作るなど工夫しましょう。クリアラックなどを使って収納棚をインテリアの一部にするという方法もあります。作業によく使うアイテムをストックしておくワゴンは、セット面全体のデザインに合ったものを選ぶとともに、椅子の近くに置いても、スタッフやお客さんの動きを邪魔しない大きさであるかどうかも確認しましょう。
コンセントの位置は、使いやすさや快適さを考えると、セット面に直接ついているものや、セット面を設置する壁側に配置するのが無難です。
まとめ
美容室のセット面のデザイン方法についてご紹介しました。
セット面をデザインするには、
- セット面の種類
- 使用するミラー(既製品またはオリジナル製作)
- セット&カットスペース
といった点に考慮することが大切です。
美容室のセット面は、おしゃれさだけでなく機能性もあわせてデザインすることが求められます。それが、お客さんに居心地の良さと満足のいくサービスを提供できることにつながります。
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