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2025年12月16日 by Yamada Shingo

ホーム » Blog » 店舗外装費用を徹底解説|おしゃれに見せるデザイン事例とともにプロが詳しく解説
店舗外装費用を徹底解説|おしゃれに見せるデザイン事例とともにプロが詳しく解説top画像

店舗外装費用を徹底解説|おしゃれに見せるデザイン事例とともにプロが詳しく解説

投稿日:

2025年12月16日
Yamada Shingo

「店舗の外装にどのくらい費用をかければいいのか分からない」「相場感がつかめず、見積もりが高いのか安いのか判断できない」「おしゃれな外観にしたいけれど、予算オーバーが怖い」このような悩みを抱える、初めて店舗をオープンするオーナーや、既存店のリニューアルを検討している方に向けて、店舗外装の費用とデザインの考え方をプロの視点から分かりやすく解説する記事です。

この記事では、店舗外装の基本的な役割や集客への影響から、物販店・カフェ・飲食店・美容室など業種別の外装費用の目安、看板・窓ガラス・ファサード・照明・サイン計画など主な外装要素ごとの費用内訳、さらに物件の状態や築年数、ファサードの大きさ、使用する材料のグレードや耐久性、電気工事の有無、テナントビルや商業施設(例えばショッピングセンターや駅ナカ施設)の規約など、店舗外装費用を大きく左右するポイントを網羅的に整理してお伝えします。

路面店や商業施設での実績を持つLovation(ロベイション)の事例を交えながら、「集客できる外観デザインとは何か」というテーマのもと、限られた予算の中でもコンセプトとターゲットを軸に考えることで、無駄なコストを抑えつつ効果的な外装投資ができるというポイントをお伝えします。

この記事の要約

  • 店舗外装の役割と、外観が集客に与える具体的な影響が分かる
  • 物販店・カフェ・飲食店・美容室など業種別の店舗外装費用の相場と、看板・ファサード・窓ガラス・照明など主な項目ごとの費用の考え方が分かる
  • 物件の状態、材料、テナント規約など、店舗外装 費用を左右する要因が整理できる
  • 総予算の中で外装にいくらかけるべきか、予算オーバーを防ぐ計画の立て方が理解できる
  • 初心者でもおしゃれに見せるための外装デザインのコツと、雰囲気別の外観事例イメージがつかめる
  • 低予算で可能なリメイク・塗装・シート活用術など、コストを抑えつつ印象を変える方法が分かる
  • 見積もり比較や業者選びで失敗しないためのチェックポイントが明確になる

最後まで読むことで、「自分の店の外装に、どれくらいの費用を、どの部分に、どんな優先順位で配分すべきか」を具体的にイメージできるようになり、初めての店舗づくりでも不安を減らしながら、集客につながるおしゃれな外観デザインを計画できるようになります。店舗外装の費用や相場、予算の決め方、デザインや業者選びに悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。

著者・監修者

株式会社Lovation
山田 真吾(やまだ しんご)


店舗デザイナー
資格 : 照明士 / 商業施設士 / 色彩検定/マーケティング検定

これまでに手がけた店舗数は 180以上。 美容室、飲食店、カフェ、物販、フィットネス系、サロン系など、あらゆる業態において店舗デザインの実績があります。地域は北海道から沖縄まで日本全国で「多くの人から愛され、永く続くお店づくり」をサポートしています。

目次
  1. 初めてお店を開く人が知っておきたい店舗外装の基本
    • 店舗外装の役割と集客への影響
    • はじめての店舗づくりでよくある不安と勘違い
    • 店舗外装 費用を考える前に決めておきたいコンセプト
  2. 店舗外装 費用の相場目安と内訳を分かりやすく解説
    • 小規模物販店の外装費用の目安
    • カフェや飲食店の外装費用の目安
    • 美容室やサロンの外装費用の目安
    • 看板 窓ガラス ファサードなど主な外装要素と費用内訳
  3. 店舗外装 費用を左右する7つのポイント
    • 物件の状態と築年数
    • ファサードの大きさと形状
    • 使用する材料のグレードと耐久性
    • 照明や電気工事の有無
    • 看板の種類とサイズ
    • デザイン設計料と施工費用の違い
    • テナント規約や商業施設ルールの制約
  4. 失敗しないための店舗外装 費用の予算の立て方
    • 総予算から外装にいくらまでかけるかの考え方
    • 自己資金と融資を踏まえた現実的なラインの決め方
    • 見積もり前に整理しておくべき希望と条件
    • 予算オーバーしがちなポイントと抑え方
  5. 初めてでもおしゃれに見せる店舗外装デザインの考え方
    • コンセプトを一言で言語化するコツ
    • ターゲットに伝わる色選びとトーンの決め方
    • ロゴ サイン メニュー表示の見やすさと世界観
    • 昼と夜で見え方が変わる照明計画のポイント
  6. 雰囲気別店舗外装デザイン事例集
    • ナチュラルでやさしい印象のベーカリーの外装事例
    • 落ち着いた大人向けカフェの外観デザイン事例
    • ポップで入りやすいテイクアウト専門店の外装事例
    • 上質さを打ち出す美容室のファサード事例
  7. 低予算でもおしゃれに見せる店舗外装の工夫
    • 外装を全部変えない前提で考えるリメイク術
    • 塗装とシートをうまく使ったコストダウン例
    • 既存のサッシやシャッターを活かすアイデア
  8. 店舗外装の見積もりと業者選びの進め方
    • 安さだけで選ばないための見積書の読み方
    • デザイン事務所と工務店それぞれに頼む場合の違い
    • 打ち合わせで聞いておくべき確認ポイント
  9. 店舗の外観デザインならLovationにご相談ください
    • さまざまな業種でのデザイン実績がある
    • 路面店舗のデザイン実績が多い
    • 魅力あるお店づくりに力を入れている
  10. まとめ

初めてお店を開く人が知っておきたい店舗外装の基本

店舗外装の役割と集客への影響

店舗外装は、商品やサービスそのものと同じくらい重要な、「最初にお客様と接点を持つ場」です。通りを歩く人はごく短い時間で「入りたいか・入らないか」を判断すると言われており、その際に目に入るのが外観デザインやサイン、ショーウィンドウ、入口まわりの雰囲気です。どれだけ料理や技術に自信があっても、外装で損をしていると「なんとなく入りづらい」「自分には合わなさそう」と感じられ、機会損失につながります。

また、店舗外装は単なる見た目の良し悪しだけでなく、「ここはどんなお店なのか」「価格帯やターゲットはどのあたりか」「自分が入っても場違いではないか」といった情報を瞬時に伝える役割も果たします。ファサードのデザインや看板の大きさ・書体、使う色、窓から見える店内の様子などが総合的に組み合わさり、ブランドイメージや世界観を形づくるのです。

さらに近年は、スマートフォンで地図アプリや口コミサイトを見ながらお店探しをする人も増えています。口コミや評価点と一緒に表示される外観写真は、ネット上での「第一印象」となり、その印象が実際の来店行動にも影響を与えます。そのため、店舗外装はリアルな通行人だけでなく、インターネット上の見込み客に対する「看板」としても機能していると捉えることが重要です。

項目主な役割外装で意識したいポイント
視認性通りからお店の存在に気づいてもらう看板の大きさと配置、照明計画、ガラス面からの見え方を工夫する
雰囲気・世界観お店のコンセプトやテイストを伝える色・素材・照明・植栽などを一貫したテーマでまとめる
安心感「入っても大丈夫そう」と感じてもらう入口の位置をわかりやすくし、店内の様子を適度に見せる
ターゲット訴求来てほしいお客様に「自分ごと」として感じてもらう価格帯やメニュー、サービス内容が伝わるサイン・掲示を設ける

特に初めてお店を開くオーナーにとっては、「自分ではおしゃれだと思っていたのに、ターゲットから見ると入りづらい外装だと感じられてしまう」というギャップが生じがちです。そのギャップを小さくするには、物件探しやコンセプト設計の段階から店舗デザインの専門家に相談し、ターゲットや立地を踏まえた外装の方向性を一緒に整理しておくことが有効です。

理想のイメージを言語化しながら外装デザインに落とし込んでいくという点では、ロゴやサイン、ファサードまでを総合的に設計してくれる会社(例えばロベイションのような会社)に相談することも検討するとよいでしょう。ロベイションでは、開業前の構想段階から外観・内装まで一貫したサポートを行っています。

はじめての店舗づくりでよくある不安と勘違い

初めての開業では、多くのオーナーが「何から決めたらいいのか分からない」「どこまでお金をかけるべきか判断できない」といった不安を抱えています。その結果、外装に関して次のような勘違いが生まれやすくなります。

よくある勘違い起こりやすい失敗例本来の考え方
「外装は最後に考えればいい」内装や厨房機器ばかり先に決めてしまい、外装に回す予算が不足する開業計画の初期段階から、外装も含めたトータルの予算配分を考える
「外装は安く済ませても大丈夫」仮設のような印象になり、信頼感や価格イメージが下がってしまうターゲットや業態に見合った最低限のクオリティラインを設定する
「内装がよければ外装は関係ない」そもそも入店してもらえず、内装やサービスの良さが伝わらない外装は「来店のきっかけ」、内装は「滞在体験」と役割が違うと理解する
「デザインは好みで決めてよい」オーナーの好みが強く出すぎ、ターゲットから見て違和感のある外観になる自分の好みだけでなく、ターゲットの感性や立地との相性も考慮する

また、金額感をイメージできていないために、「外装にこんなに費用がかかるとは思わなかった」と感じる方も多くいます。特に、ファサードの作り替えやサッシの交換、ガラス工事、電気配線や看板の照明などは、見た目以上にコストがかかりやすい部分です。見積もり段階で内容をしっかり理解していないと、工事が始まってからの変更が難しくなり、予算オーバーの原因にもなります。

不安を減らすためには、「どの部分に費用がかかりやすいのか」「何を優先し、どこを抑えるとよいのか」といった基礎知識を早めに押さえておくことが大切です。物件選びの前後で一度、外装や内装に詳しい専門家に相談し、やりたいイメージと現実的なコストのバランスを大まかに把握しておくと、無理のない計画を立てやすくなります。

店舗外装 費用を考える前に決めておきたいコンセプト

外装の費用について考える前に、まず整理しておくべきなのは「お店のコンセプト」です。もしコンセプトがはっきりしないまま進めてしまうと、外装デザインが「なんとなくおしゃれ」や「とりあえず目立つ色」といった表面的なものになりがちです。その結果、本来アプローチしたいターゲット層に魅力が伝わらない外観になることがあります。

そのため、コンセプトを決める際には、次のような項目をしっかり言葉にしておくと、外装の方向性がブレにくくなります。

整理しておきたい項目具体的に考えるポイント外装への影響例
ターゲット像年齢層・性別・ライフスタイル・来店動機など落ち着いた色味にするか、ポップな色を使うか、看板の情報量などが変わる
価格帯リーズナブルなのか、ミドル〜ハイプライスなのか素材の質感や照明の雰囲気で「カジュアル / 高級」の印象をコントロールする
提供価値「早く・安く」なのか「じっくり・心地よく」なのかなど回転重視なら入口を目立たせ、滞在重視なら落ち着いたファサードにする
立地・周辺環境オフィス街・住宅街・商店街・駅前などの特性周囲の看板や建物の色とのコントラスト、通行人のスピード感を踏まえて計画する

これらを踏まえたうえで、「一言で言い表すとどんなお店なのか」というキャッチコピーのようなコンセプトフレーズをつくっておくと、デザイナーや施工会社とスムーズに打ち合わせができます。

例えば、

「仕事帰りにふらっと立ち寄れる、あたたかい灯りのワインスタンド」

「小さな子ども連れでも気兼ねなく通える、やさしい雰囲気のベーカリー」

「大人の女性が自分を整える、落ち着いたプライベートサロン」

といった具合に、一文でお店のイメージを表現できるようにしておくと、外装の色・素材・照明・サイン計画などを決める際の判断基準になります。

コンセプトを自分ひとりでまとめるのが難しい場合は、ヒアリングを通じて理想像を引き出し、ターゲットや動線計画とセットで外装デザインに落とし込んでくれる専門会社に相談することも一つの方法です。思い描いているお店の「らしさ」を言語化し、それを外観で表現していくプロセスを丁寧にサポートしてもらえると、費用の使い方にも優先順位をつけやすくなります。

コンセプトがまだ固まっていない方は、こちらの記事も参考にしてください。

参考記事

店舗デザインコンセプト設計マニュアル|顧客に愛される店舗づくりの基礎知識

店舗外装 費用の相場目安と内訳を分かりやすく解説

この章では、これからお店を開く人が特に気になる「店舗外装の費用相場」と「主な内訳」について、業種別・項目別に分けて整理し、解説します。外装工事は、物件の条件や選ぶ素材・デザインによって金額が大きく変わりますが、全体像とおおまかな金額感をつかんでおくことで、見積もりを見たときに高いのか安いのか、どこを調整すべきかを判断しやすくなります。

ここでの金額は、首都圏など都市部で一般的に見られるケースを参考にした「外装のみ」の目安です。実際には、物件の状態や施工エリア、工期、法的な制約(防火・景観条例など)によって変動するため、「このくらいの規模だと、このレンジに収まりやすい」という感覚値として押さえておくつもりで読み進めてください。

小規模物販店の外装費用の目安

まずは、パン屋・雑貨店・アパレルショップ・花屋などの小規模な路面物販店を想定した外装費用の目安です。ここでは、延床面積がおおむね10〜20坪程度のテナントを想定します。

小規模物販店では、「看板」「入口まわり(ファサード)」「窓ガラス(ウィンドウディスプレイ)」「照明」「外部サイン類」が主な外装要素になります。フルリニューアルではなく、既存を活かしつつ見せ方を変えるリメイクもよく行われます。

規模・内容主な工事内容費用の目安(外装のみ)
最小限のリメイク既存外壁の塗装やシート貼り、入口まわりの簡易装飾、袖看板・袖幕など小型サイン約30万〜80万円前後
標準的な外装リニューアルファサードの意匠変更、ガラスまわりのフレーム設置、メイン看板・ウィンドウサイン・スポットライト約80万〜200万円前後
デザイン性の高い外装オリジナル金物や造作、特注サイン、植栽・ベンチなど外構要素を含めたトータルデザイン約200万〜500万円以上

物販店は、商品そのものが「見せる素材」になるため、ガラス面からの見え方と看板の分かりやすさに投資すると、費用対効果が高くなりやすい傾向があります。一方で、外壁仕上げに過度な高級素材を使うよりも、「どんなお店かが一目で伝わる外観」を優先したほうが、限られた予算を有効に使いやすくなります。

カフェや飲食店の外装費用の目安

カフェ・レストラン・バーなどの飲食店は、物販店に比べて「滞在時間」が長く、「入りやすさ」と「期待感」を左右する外装デザインが重要になりやすい業種です。そのため、サイン計画や照明計画、テラスや植栽など、“雰囲気づくり”の要素に外装費がかかりやすいという特徴があります。

ここでは、10〜25坪前後の路面店を想定した目安を整理します。

業態・規模主な工事内容費用の目安(外装のみ)
テイクアウト中心の小規模カフェカウンターまわりの開口部調整、ファサードの塗装・シート、メイン看板・メニューボード・照明約80万〜180万円前後
客席付きカフェ・レストラン(〜20坪)外壁仕上げの変更、入口ドアや窓の造作、袖看板・ファサードサイン・ピクトサイン、外部照明、植栽・テラス席の一部工事約150万〜350万円前後
こだわりの飲食店・ワインバーなど特注扉や木製建具、金属パネルや左官仕上げ、間接照明を含む照明計画、外構要素を含めたトータルデザイン約300万〜500万円以上

飲食店では、防火規制や換気設備、煙の抜け方などに関する法規や設備の制約が、外装にも影響することがあります。また、夜間営業が多い業態ほど、「夜の見え方」を前提にした照明計画やサイン計画に、より多くの予算を割くことで、集客面で大きな差が生まれやすいと言えます。

美容室やサロンの外装費用の目安

美容室・ネイルサロン・アイラッシュサロン・リラクゼーションサロンなどの業種では、「安心して通い続けられる場所」という印象づくりが重要です。外装デザインも、「清潔感」「上質さ」「入りやすさ」のバランスが求められます。

ここでは、10〜25坪前後の路面店舗を例に、美容室・サロンの外装費用の目安を整理します。

業態・イメージ主な工事内容費用の目安(外装のみ)
シンプルな路面美容室外壁塗装、入口ドア交換または塗装、カルプ文字や箱型看板、ガラスサイン、ベース照明・スポットライト約100万〜250万円前後
上質感を重視したサロンオリジナルロゴサイン、特注建具やガラス框、タイルや左官などの仕上げ材、ピクチャーウィンドウ、植栽計画約200万〜400万円前後
テナントビルの上階サロン1階エントランスのサイン計画、エレベーターホールの案内サイン、袖看板・ポールサインなど約50万〜150万円前後

美容室やサロンの場合、必ずしも大掛かりな工事をしなくても、「ロゴ・サインのデザイン」と「窓まわりの見せ方」を整えるだけで、印象が大きく変わることもあります。特にビルの上階テナントでは、ファサードそのものを変えにくい分、1階部分の案内サインとオンライン上のビジュアルの一貫性が、外装計画のポイントになります。

看板 窓ガラス ファサードなど主な外装要素と費用内訳

ここまで業種別の「総額の目安」を見てきましたが、実際の見積書では、「看板工事」「外壁工事」「ガラス工事」「塗装工事」「電気・照明工事」「外構工事」などの項目に分けて記載されます。この項目ごとの金額感を知っておくと、見積もりの比較や優先順位付けがしやすくなります。

代表的な外装要素と、その費用のイメージを、簡単な内訳として整理します。

外装要素内容の例費用の目安ポイント
ファサード工事入口まわりの造作、外壁のやり替え、木枠やルーバー、タイル・左官仕上げなど約40万〜200万円前後お店の「顔」になる部分。素材や立体的な造作の有無で金額が変わりやすい。
看板・サイン工事壁面看板、袖看板、スタンド看板、ウィンドウサイン、ロゴサイン、ピクトサインなど約20万〜150万円前後サイズ・点数・照明の有無で大きく変動。デザイン費を含むかどうかも確認が必要。
窓ガラスまわり既存ガラスの入れ替え、ガラスフィルム・シート貼り、FIX窓の新設、カウンター一体の窓造作など約20万〜120万円前後ガラス交換は割高になりやすい。デザイン性と防犯・断熱性能のバランスを検討。
塗装・シート工事外壁塗装、鉄部塗装、木部塗装、サイン用シート、ダイノックシートなど約10万〜80万円前後既存を活かしつつ印象を変えたいときのコストパフォーマンスが高い項目。
照明・電気工事外部スポットライト、看板内照明、足元照明、配線・スイッチ増設など約20万〜100万円前後夜の見え方を左右する重要な要素。電気工事費(配線・回路)も含めて検討する。
外構・植栽花壇・プランター・ベンチ・デッキ・タイル貼り、アプローチの舗装やライン引きなど約20万〜150万円前後アプローチやテラス席が取れる物件の場合に検討。雰囲気づくりに大きく貢献。

外装費用に含まれにくいもの

見積書を確認する際は、「外装の総額」に含まれていない費用がないかもチェックが必要です。例えば、次のような項目は別途計上されることがあります。

  • デザイン事務所や設計会社によるデザイン設計料
  • ロゴデザインやブランドツール(ショップカード・メニューなど)の制作費
  • テナントビル側指定の共用部サイン工事費や申請費
  • 既存看板の撤去・処分費用、高所作業車の使用料

こうした費用を含めた「トータルの外装予算」を早めに把握しておくと、後になってからの大幅な予算オーバーを避けやすくなります。

自分だけでは整理しにくい場合は、初期の構想段階から外装と内装の両方に精通した店舗デザイン会社に相談し、全体の予算配分を一緒に考えてもらうのも有効な方法です。その際には、店舗を専門とし、設計とデザインを一貫して行っているロベイションのような会社に相談することも検討するとよいでしょう。

店舗外装 費用を左右する7つのポイント

店舗外装の費用は、「坪単価」や「総額」だけで決まるわけではなく、物件の状態やファサードの形状、使う材料のグレード、照明計画、看板の仕様、デザイン設計の範囲、さらにはテナント規約まで、複数の要素が複雑に影響し合って決まります。ここでは、外装工事の予算を考えるうえで必ず押さえておきたい、費用を大きく左右する7つのポイントを整理して解説します。

ポイント費用への主な影響チェックすべき視点
物件の状態・築年数下地の補修や防水・配線のやり直しが必要になると追加費用が発生しやすい外壁の劣化、雨漏り跡、サッシやシャッターの状態、既存看板の有無
ファサードの大きさ・形状面積が大きいほど材料費・施工手間が増え、入り組んだ形状ほど工事が複雑になる間口の幅、高さ、凹凸の多さ、ガラス面の有無
材料のグレード・耐久性高耐久・高意匠の材料ほど単価が上がるが、メンテナンス頻度は下がる耐候性、メンテナンス周期、汚れ・傷の目立ちやすさ
照明・電気工事の有無新規配線や配電盤の増設、屋外照明器具の数で大きく変動する既存配線の状態、照明の点灯時間、看板との連動
看板の種類・サイズサイズ・仕様(内照式・チャンネル文字など)で大きく単価が変わる視認距離、設置高さ、店舗コンセプトとの相性
デザイン設計料・施工費どこまでをデザイン会社に依頼するか、工事範囲をどう切り分けるかで変わる設計と施工の役割分担、見積書の内訳、監理・調整の有無
テナント規約・施設ルール指定業者や使用禁止材料があると、選択肢が限られコスト調整がしにくくなる看板規制、営業時間、工事可能時間、届け出・申請の要否

物件の状態と築年数

同じ広さ・同じデザインの外装でも、物件の築年数や現在の状態によって工事費用は大きく変動します。築年数が古いビルやテナントの場合、外壁のクラック(ひび割れ)や雨染み、鉄部のサビなどが見られることも多く、そのためデザイン工事に入る前に「補修」「防水」「洗浄」などの下地調整が必要になることがあります。

下地調整は見た目には目立ちにくい工事ですが、外装の仕上がりと耐久性を左右する重要な工程です。ひび割れをそのまま塗装で隠してしまうと、開店後すぐに再びひびが浮き出てきたり、雨漏りにつながったりするリスクもあります。外装デザインにかける予算と同じくらい、「長く安全に使える状態に整える」ための費用も見込んでおくことが大切です。

また、既存のサッシやシャッターの状態によっても費用は変わります。きれいに塗り替えて再利用できる状態であればコストを抑えられますが、歪みや動作不良がある場合は交換が必要になり、その分だけ外装の予算が増えます。内見の段階で、以下のようなポイントを写真に残しておくと、見積もりの精度が上がります。

  • 外壁のひび割れや剥がれ、塗装の浮き・チョーキング(触ると白い粉がつく現象)の有無
  • 雨樋・庇(ひさし)・バルコニー下など、水が集まりやすい部分の劣化状況
  • サッシやシャッターのサビ、開閉のしづらさ、鍵の状態
  • 既存の看板取り付け跡やビス穴、配線の出ている位置

こうした「見えない前提条件」を丁寧に確認しておくことで、オープン直前になって想定外の追加費用が発生するリスクを減らすことができます。

ファサードの大きさと形状

店舗外装の工事費用は、ファサード(通りから見える正面部分)の大きさと形状に大きく影響されます。一般的には、間口が広く高さもあるほど、塗装や仕上材の面積が増えるため、材料費・施工手間ともに増加します。また、凹凸の多い形状や、細かい装飾が多い場合も、養生や下地調整に時間がかかり、結果としてコストアップにつながります。

ただし、「間口が広い=必ず高くなる」というわけではありません。シンプルな面構成で、塗装とサインだけでまとめるようなデザインにすれば、ある程度面積があってもコストを抑えやすくなります。一方で、間口が狭い物件でも、複雑な造作や特注の木製ドア、装飾金物を多用すると、単位面積あたりの費用は高くなりがちです。

ファサードの計画を考える際は、次のような視点で「面の取り方」と「見せ場」を整理しておくと、予算とのバランスが取りやすくなります。

  • 道路側から見たときに一番目立つ「正面の面」をどこに設定するか
  • 縦長・横長など、建物のプロポーションに合わせて看板の位置・サイズをどう決めるか
  • すべてを作り込むのではなく、「見せたい部分」と「シンプルに抑える部分」を分ける
  • 入口ドアやウインドウをどこまで新規で作るのか、既存を活かすのか

限られた予算の中で印象を最大化するには、「どの面に投資するか」をデザイナーと一緒に決めていくことが重要です。正面の一部だけを素材感のある仕上げにして、ほかは塗装で整えるなど、メリハリをつけることで費用対効果の高いファサードがつくれます。

使用する材料のグレードと耐久性

外装に使用する材料は、見た目だけでなく、耐久性やメンテナンス周期にも大きな影響を与える重要な要素です。例えば、同じ「木目調」の表現でも、無垢材・化粧板・金属パネル・塗装仕上げなど、さまざまな選択肢があり、コストもメンテナンスの手間も変わります。

予算を抑えたい場合、どうしても初期費用の安さに目が行きがちですが、数年単位で見たトータルコストを考えることが大切です。雨風や日射の強い道路沿いの立地や、歩行者の多い繁華街などでは、汚れや傷が想定以上に早く目立つことがあります。その結果、開店から短期間での塗り替えや交換が必要になり、長期的にはコストがかさんでしまうこともあります。

検討の際は、次のような観点で比較するとよいでしょう。

  • 屋外使用が前提の材料かどうか(外壁材・外部用塗料・屋外仕様のサインなど)
  • 海沿い・幹線道路沿いなど、サビや汚れが出やすい環境に適した仕様になっているか
  • 汚れた場合に「洗浄」で対応できるのか、「塗り替え」や「貼り替え」が必要になるのか
  • 店舗のブランドイメージと、少し経年変化した姿の両方をイメージできているか

特に、天然木やモルタルなど、素材感のある仕上げは人気がありますが、そのぶんメンテナンスの手間がかかるケースもあります。「味が出る経年変化」を狙うのか、「常にきれいな状態をキープしたい」のかというオーナーの希望を、初期の段階でデザイナーに伝えておくことが、材料選定と費用コントロールのカギになります。

照明や電気工事の有無

外装と一体で考えるべき重要な要素が照明計画と電気工事です。昼間の見え方だけをイメージして外装デザインを決めてしまうと、夜になると看板やファサードが暗くなり、せっかくのお店の雰囲気やロゴがうまく伝わらないことがあります。とくに、カフェ・レストラン・バー・美容室など、夜営業がメインまたは夜も一定の集客をしたい業種では、外部照明の計画は売上に直結します。

  • 照明に関わる費用は、主に以下のような要素で変動します。
  • 既存の外部コンセントや配線を活かせるか、新規配線が必要か
  • 看板と建物照明を別々に制御するのか、一括で制御するのか
  • スポットライト・間接照明・足元照明など、採用する照明器具の種類と数量
  • LED器具など省エネ型の採用による、ランニングコストへの影響

たとえば、看板だけでなく、入口まわりの足元をほんのり照らすだけでも、夜間の安心感や「入りやすさ」は大きく変わります。一方で、明るさだけを追求して器具を増やしすぎると、工事費用も電気料金もかさんでしまいます。

限られた予算の中で「どの時間帯に」「どこを一番見せたいのか」を明確にしたうえで、必要な照明だけを計画的に配置することが、コストと効果を両立させるポイントです。内装の配線計画とも関わるため、外装と内装を別々に考えず、早い段階からトータルで検討すると無駄が少なくなります。

看板の種類とサイズ

店舗外装の費用の中でも、多くのオーナーが悩むのが看板の費用です。同じサイズでも、プレート看板・箱文字看板・内照式サイン・袖看板・スタンドサインなど、種類によって単価が大きく異なります。また、商店街・路面店・ロードサイド・ショッピングセンターなど、出店する立地によって「どの方向から見られるか」が変わるため、必要な看板の数も変わってきます。

  • 看板計画の検討では、まず以下の視点で「役割」を整理することが重要です。
  • 遠くから「店の存在に気づいてもらう」ための看板(ファサード上部のメインサインなど)
  • 歩道から「何のお店かを理解してもらう」ための看板(袖看板・スタンドサインなど)
  • 入口の近くで「メニュー・価格帯・特徴を伝える」ためのサイン(メニュースタンド・ガラスサインなど)

すべてを高級仕様にすると費用が膨らんでしまうため、「一番投資したい看板」を決め、その他はシンプルな仕様にするなど、メリハリをつけることが現実的なコストコントロールにつながります。たとえば、ファサードのメインサインだけはチャンネル文字や立体ロゴで印象を強くし、メニュー看板やスタンドサインは既製品をベースにロゴシールで仕上げるなどの組み合わせが考えられます。

また、看板は自治体やビル管理の規制を受けることも多く、設置できるサイズや位置が限られているケースもあります。事前に「どの範囲まで設置が許可されているのか」を確認し、その上でデザインを検討することで、無駄な作り直しを防ぐことができます。

デザイン設計料と施工費用の違い

店舗外装の費用を検討する際に見落とされがちなのが、「デザイン設計料」と「施工費用」は性質がまったく異なるお金であるという点です。施工費用は、材料費と職人さんの工賃など、実際に工事を行うために必要なコストです。一方、デザイン設計料は、コンセプトの整理、ファサードや看板の形状・色・バランスの検討、図面やサイン計画の作成、工事中のデザイン監修などにかかる、いわば「頭脳労働の費用」です。

デザイン会社に外装を依頼する場合、見積書には「基本設計料」「実施設計料」「サイン計画」「デザイン監理費」などの項目が含まれることがあります。一見すると施工費と比べて成果が見えにくいため、これらを「できるだけ削りたい」と感じるオーナーも少なくありません。しかし、外装の第一印象やブランドイメージを左右するのは、まさにこのデザイン設計の部分です。

十分な設計時間をかけずに工事に進んでしまうと、以下のような問題が発生しやすくなります。

  • 完成してみたらロゴのサイズ感や配置がしっくりこない
  • 昼は良いが夜になると暗く、通りから店が見つけにくい
  • 内装との世界観がずれていて、全体としてちぐはぐな印象になる
  • 工事中に細かい仕様変更が何度も発生し、結果的に追加費用が増える

逆に言えば、外装にかける総予算の中で「どこまでをデザイン会社に頼むのか」「どこから先を施工会社に任せるのか」を明確にすることで、無駄なコストを抑えつつ理想の外観に近づけることができます。初めての店舗づくりで、コンセプトの言語化やファサードの見せ方に不安がある場合は、店舗デザインを専門とする会社に、外装から内装まで一貫した設計を相談する方法をとるのも有効です。

自分の理想像をきちんとかたちにしていくためには、単に工事を発注するだけでなく、外装の方向性を一緒に整理してくれるパートナーがいると安心です。そこで、Lovation(ロベイション)のような店舗デザイン会社に相談し、予算に合わせて外装・内装・サインをトータルで計画してもらうことも、検討してみるとよいでしょう。

テナント規約や商業施設ルールの制約

最後に見落とされがちなポイントが、テナント規約や商業施設のルールによる制約であることです。路面店であってもビルオーナーや管理会社の内規が存在することが多く、ショッピングセンターや駅ビルなどのインショップの場合は、より詳細なデザインガイドラインが定められているケースが一般的です。

  • 具体的には、次のような点が費用やデザインの自由度に影響します。
  • 看板のサイズ・設置位置・照明の明るさに関する制限
  • 使用してよい色やフォント、素材の指定(共用部との調和を目的としたもの)
  • ガラス面へのシート貼りの範囲や、突き出し看板・のぼりの可否
  • 工事を行える時間帯や曜日、騒音・粉じんに関するルール
  • 指定の施工業者や電気・設備業者を使う義務の有無

たとえば、自由度の高い路面店であれば、外装全体を大胆に変更したり、オリジナルの看板を設置することも比較的しやすい一方、施設内テナントでは「ファサードの枠は共通仕様とする」「看板は所定の形式に合わせる」といった制約がある場合があります。このような場合、オリジナル要素をどこに盛り込むかを工夫する必要があり、デザインをどこまで工夫するか、あるいは標準仕様の中でどれだけ自分らしさを出すかを検討することが、費用と表現力のバランスを取るうえで重要です。

また、指定業者しか使えないケースでは、相見積もりが取りづらく、価格競争が起こりにくい傾向があります。そのため、初期の打ち合わせ段階で「どこまでやるのか」「どこから先はやらないのか」を明確にしたうえで、不要な工事が紛れ込まないように見積書の内容をしっかり確認することが欠かせません。さらに、テナント契約前に規約を取り寄せて外装に関するルールを把握しておくことで、後から大きな計画変更が発生するリスクを減らせます。

失敗しないための店舗外装 費用の予算の立て方

総予算から外装にいくらまでかけるかの考え方

店舗外装の予算を決めるときに大切なのは、「外装単体の金額」ではなく、「開業にかかる総予算の中で外装にどれだけ配分するか」を最初に決めることです。外装工事は、内装工事や厨房設備、物件取得費、広告宣伝費などと同じく、開業資金の一部にすぎません。全体のバランスを考えないまま外観デザインだけを優先してしまうと、肝心の運転資金が不足し、オープン後の資金繰りに苦労するケースも少なくありません。

一般的には、飲食店や物販店、美容室などの小規模店舗の場合、「開業に必要な総予算」の中で、外装と内装を合わせた工事費が大きな割合を占めることが多く、その中からさらに外装に使える金額を逆算して決めていく考え方が現実的です。店舗の業種・規模・物件の状態によって適切な比率は変わりますが、テナント賃貸での開業を想定する場合、家賃保証金や内装工事費、設備投資、開業後数か月分の運転資金を含めて、全体像を早い段階で「見える化」しておくことが重要です。

次のように「総予算」を最初に設定し、その中で大きな費目ごとの配分の目安を仮置きしてから外装予算を決めると、検討方針がぶれにくくなります。

費用項目内容の例配分を考えるポイント
物件取得費保証金・敷金、礼金、仲介手数料、前家賃など家賃の何か月分が必要かを早めに確認し、外装・内装に回せる予算とのバランスを取る
外装工事費ファサード工事、外壁仕上げ、入口ドア、サイン・看板、外部照明など「お店の第一印象」を左右するため、コンセプトとターゲットに合った最低限必要なラインを先に決める
内装工事費床・壁・天井の仕上げ、カウンター、造作、個室の間仕切りなど客席数・動線・回転率に直結するため、売上計画との整合性を意識して優先度を判断する
設備・機器厨房機器、給排水・空調、電気設備、美容機器、POSレジなど中古機器・リース・レンタルの活用も含めて、初期投資とランニングコストを比較する
開業準備・広告費販促ツール、Webサイト、SNS広告、チラシ、プレオープン費用などオープンから数か月の集客を左右するため、全体予算からの削り過ぎに注意する
運転資金家賃、人件費、仕入れ、光熱費など数か月分「黒字化するまでの期間」を想定し、少なくとも数か月分は確保したうえで外装予算を決める

このように総予算と配分の仮案をつくったうえで、「外装には最低いくら必要か」「最高いくらまでなら出せるか」という幅を持った金額を決めておくと、工務店やデザイン会社に相談するときに話が具体的になり、見積もりを比較しやすくなります。

自己資金と融資を踏まえた現実的なラインの決め方

店舗外装の予算は、「理想のデザイン」と「現実的に調達できる資金」の両方を見ながら決めていく必要があります。ここで重要になるのは、自己資金と金融機関からの融資額を踏まえた「現実的な上限ライン」を早めに設定しておくことです。後から外装プランを広げようとしても、資金調達の枠が決まっている場合は、必ずどこかで調整が必要になります。

日本政策金融公庫などの公的融資や、民間金融機関のビジネスローンを利用する場合、事業計画書の中に「工事費」「設備投資」「運転資金」などを分けて記載するのが一般的です。融資を検討するにあたって、見積もりが何度か出そろうのを待つのではなく、融資相談の前からおおよその予算枠を想定して計画書の骨組みを作っておくと、審査の過程でも話がスムーズに進みます。

自己資金と融資を組み合わせるときの考え方を整理すると、次のようなイメージになります。

項目確認する内容外装予算への影響
自己資金貯蓄・退職金・親族からの援助など、返済義務のない資金自己資金が少ない場合は、外装よりも運転資金や必須設備を優先し、外装は「最低限必要なライン+将来の追加投資」を前提に考える
融資額の目安事業計画に基づいて金融機関が判断する融資可能額のイメージ希望額すべてが借りられるとは限らないため、審査前から「70〜80%程度が下りた場合」の予算シミュレーションを作っておく
返済期間・返済額月々の返済額が、売上計画と利益の範囲に収まるかどうか返済負担が重くなりそうな場合は、外装の仕様をシンプルにして工事費を抑え、開業後のキャッシュフローの安全性を優先する
運転資金の確保家賃・人件費・仕入れ・光熱費など、少なくとも数か月分の予備資金運転資金が不足すると、売上が安定する前に資金が尽きるリスクがあるため、「外装を削るか、開業時期をずらすか」の判断も視野に入れて検討する

このような整理を行い、「どこまでが理想で、どこからが無理なラインなのか」を自分の中で明確にしておくと、外装デザインや素材のグレードを検討する際にも迷いが少なくなります。さらに、融資担当者との面談で、なぜその金額を外装に予定しているのかを説明できれば、計画の説得力も高まります。

見積もり前に整理しておくべき希望と条件

外装工事の見積もりを取る前に、オーナー自身の頭の中で整理すべきポイントがあります。ここが曖昧なまま工務店やデザイン事務所に依頼してしまうと、各社の見積もりの前提条件がバラバラになり、金額だけでは適切な比較ができなくなります。結果として、安く見える見積もりを選んだものの、後から追加費用が発生して総額が高くなるというトラブルにつながりやすくなります。

見積もり依頼の前に、最低限次のような希望・条件を文章にしておくことをおすすめします。

整理しておきたい項目具体的な内容の例業者への伝え方のポイント
ターゲット像「30〜40代の共働き夫婦」「近隣の会社員ランチ需要」「子育て世代のファミリー」など年齢・性別・ライフスタイル・来店頻度など、できる範囲で具体的に書き出し、「誰にとって入りやすい外観にしたいか」を伝える
店舗コンセプト「日常使いできるナチュラルなベーカリー」「落ち着いた大人向けカフェ」「上質さを感じる美容室」など一言キャッチコピーと、イメージに近い店舗写真(既存店の外観やPinterestの画像URLなど)を用意して共有する
工事範囲の希望看板のみ新設/ファサード全面改修/サッシは既存利用/シャッターはそのままなど「絶対に変えたい箇所」「できれば変えたい箇所」「できれば既存を活かしたい箇所」に分けて優先順位を示す
テナントの制約条件ガラス面へのシート貼り可否、看板サイズの上限、共用部の工事禁止範囲、色や素材のルールなど賃貸借契約書やビル管理規約を事前に確認し、わかる範囲で要点をメモにまとめて渡す
希望する工期とオープン日引き渡し可能日、内外装工事の開始・完了希望日、プレオープン・グランドオープンの予定日「この日までにオープンしたい」という希望とあわせて、「遅れた場合どこまで許容できるか」も共有する
概算予算の上限外装工事にかけられる金額の上限(幅)「〇〇万円前後だと理想」「最大で〇〇万円まで」のように、上限と理想値の両方を伝える

これらを整理しておくことで、複数社から相見積もりを取る場合でも、同じ条件で提案を比較しやすくなり、金額だけでなく内容やクオリティも踏まえて判断しやすくなるというメリットがあります。また、自分の考えも整理されるため、「なんとなくおしゃれに」という曖昧なオーダーではなく、目的が明確な外装デザインの検討につながります。

ここまでの整理や優先順位づけを自分だけで行うのが難しい場合は、開業前の構想段階から相談に乗ってくれる専門家に伴走してもらう方法もあります。例えば、店舗づくりのコンセプト設計から外装・内装デザイン、工事費のバランスまでトータルで相談できる点から、Lovation(ロベイション)のような会社に相談することも検討してみるとよいでしょう。Lovation(ロベイション)では、初めての開業でも理想像を一緒に整理しながら、現実的な予算とのバランスを踏まえた店舗デザインのサポートを行っています。

予算オーバーしがちなポイントと抑え方

外装費用は、見積もりの段階では想定内だったのに、工事を進めるなかで追加費用が発生し、気づけば予算オーバーになっていた、という事例が少なくありません。こうした事態を防ぐためには、「どこで予算が膨らみやすいのか」を事前に知り、抑えどころとこだわりどころを見極めておくことが大切です。

特に予算オーバーにつながりやすいポイントとして、次のような項目が挙げられます。

  • 大判ガラスや特注サッシなど、開口部の形状変更を伴う工事
  • 外壁全面の張り替えや、高価なタイル・木材などによる材料グレードの大幅なアップ
  • 構造補強や防水など、既存建物の状態によって、解体してみないと必要かどうかわからない追加工事
  • 夜間に映えるようにと照明器具を増やしすぎた結果、電気工事費用が膨らむケース
  • デザイン変更の繰り返しによる、追加の設計料や工期延長に伴うコスト

これらを踏まえたうえで、予算オーバーを防ぎつつ、外装の印象を損なわないための抑え方として、次のような工夫が考えられます。

1.「正面から見える範囲」にメリハリをつける
歩道側や道路からもっとも目に入るファサード部分に予算を集中させ、側面や見えづらい面は塗装やシート仕上げなど、比較的コストを抑えやすい仕様にする、という方法です。「どこから見たときの印象を優先したいか」を決めることで、無駄な部分に高価な素材を使わずに済みます。

2.既存を活かせる部分を見極める
既存のサッシや入口ドア、庇、シャッターなどをすべて新しくするのではなく、状態が良いものやデザイン的に活かせそうな部分はそのまま残すことで、解体・処分費用と新設費用の両方を削減できます。塗装やシート、照明、サイン計画を工夫するだけでも印象は大きく変えられます。

3.「今やること」と「将来のアップデート」に分ける
開業時点ですべてを完成させようとすると、初期投資が膨らみがちです。まずは最低限必要な外装を整え、「売上が安定してきたら照明を追加する」「看板や植栽をグレードアップする」など、段階的な投資として計画しておくと、開業初期の資金負担を抑えつつ、長期的にはお店の成長に合わせて外観を整えていくことができます。

4.見積書の内訳を細かく確認する
一式表記の項目が多い見積書は、何にいくらかかっているのかがわかりづらく、「少し仕様を変えるだけでもっと抑えられたはず」といったポイントを見逃しがちです。できるだけ、材料費・施工費・諸経費などが分かれている見積書をもらい、「どの項目を下げれば、いくら変わるのか」を業者と一緒に確認しながら、優先順位に応じて仕様調整を行うとよいでしょう。

こうした予算コントロールの考え方を持っておくことで、「理想だから」と勢いで決めてしまうのではなく、「売上やブランド価値にどれだけ貢献しそうか」という視点で外装への投資判断ができるようになるはずです。自分だけでは判断が難しい場合は、実績のある店舗専門のデザイン会社や工務店に相談し、複数の選択肢を提示してもらいながら決めていくと安心です。

初めてでもおしゃれに見せる店舗外装デザインの考え方

店舗外装を「なんとなくカッコよく」ではなく、お客様に選ばれる理由が伝わるデザインとして組み立てていくことが、初めての開業ではとても重要になります。ここでは、デザインの専門知識がなくても実践しやすいよう考え方を整理し、コンセプトづくり・色選び・サイン計画・照明計画のポイントを順に解説します。

コンセプトを一言で言語化するコツ

おしゃれな外装に見えるお店の多くに共通しているのは、細かな装飾にこだわるよりも、「どんな体験をしてほしいか」が一言で言えるコンセプトを持っていることです。逆に、あれもこれも盛り込みたくなると外装が雑然とし、ターゲットに何も伝わらない外観になりがちです。

まずは、次の3つを整理してからコンセプトの言葉を考えましょう。

整理するポイント考える内容具体的な例
ターゲットどんな年齢・ライフスタイルの人に来てほしいか30〜40代の子育て世代の夫婦 / 仕事帰りの会社員など
提供価値来店後にどんな気持ちになってほしいかほっと一息ついてリラックスしてほしい / 少し特別な気分を味わってほしい など
差別化要素同じエリア・同業種のお店と比べて何が違うのか国産素材にこだわったパン / 夜でも入りやすい明るい雰囲気 など

この3つをもとに、外装デザインの軸となるコンセプトを「◯◯な人が、△△な時間を過ごせる□□なお店」という形で一文にまとめてみると、デザイナーや工事会社にも意図が伝わりやすくなります。

例として、カフェであれば「仕事帰りの大人が一人で静かに本を読める、落ち着いた街角のリビングルーム」、ベーカリーであれば「家族で通える、朝から元気になれる明るいまちのパン屋さん」のように、情景が浮かぶ言葉にすると、外装の方向性がぶれにくくなります。

コンセプトを決めたら、店名ロゴ・看板・ファサードの素材・照明・ウィンドウの見せ方など、すべてをそのコンセプトに沿って選ぶよう意識してください。これにより、派手な演出がなくても「らしさ」が伝わる外観になります。

ターゲットに伝わる色選びとトーンの決め方

色は、外装の第一印象を決める最も強い要素のひとつです。同じ形のファサードでも、色の組み合わせ次第で「高級」「カジュアル」「温かい」「クール」といった印象が大きく変わります。初めて外装を考えるときは、ベースカラー・アソートカラー・アクセントカラーの3つを決めると、全体が整いやすくなります。

役割色のイメージ使う面積の目安主な使用場所
ベースカラー外観の印象を決める土台の色約60〜70%外壁全体・シャッター・大きな面積の塗装
アソートカラー雰囲気に変化やリズムをつける色約20〜30%ドア・窓枠・木部・庇・サインベース
アクセントカラーロゴや重要な情報を目立たせる色約5〜10%ロゴ・看板文字・一部のラインや装飾

ターゲットに合わせた色の方向性として、たとえば次のようなパターンが考えられます。

  • 子育て世代やファミリー層がターゲットのベーカリー:明るいアイボリーやベージュをベースに、木目と少し彩度を落としたイエローやオレンジをアクセントにする
  • 大人向けの落ち着いたカフェ:チャコールグレーやダークブラウンをベースに、真鍮色や深いグリーンをアソートとして使い、ロゴやサインは白抜きにします。
  • 若年層向けのテイクアウト専門店:白やライトグレーをベースにしつつ、ターゲット年代に合わせたビビッドカラーをアクセントとして効かせます。

外装では、色そのもの以上に「明度」と「彩度」のコントロールが重要です。街並みに溶け込みながらもきちんと目立たせたい場合は、周辺の建物よりも少しだけ明るい、もしくは少しだけ彩度を上げたベースカラーを選ぶと、浮きすぎずに印象を残すことができます。

また、看板やロゴの可読性を高めるためには背景色とのコントラストを意識することが大切です。たとえば、暗い外壁色を選んだ場合はロゴや文字を白や明るい色にして、遠くからでも「店名」と「何のお店か」が一目で分かるようにすることが大切です。

ロゴ サイン メニュー表示の見やすさと世界観

店舗外装をおしゃれに見せたいとき、どうしてもロゴやサインのデザインに目が行きがちですが、最優先すべきは「何のお店か」「いつ営業しているか」「入口はどこか」が一目で分かることです。そのうえで、コンセプトに合った世界観をつくり込んでいきます。

店舗外装で、外からはっきり見えるようにしておきたい最低限の情報は次の通りです。

  • 店名・ロゴ
  • 業種・提供しているサービスの種別(パン・カフェ・美容室・整体院など)
  • 営業時間・定休日
  • 入口の位置・入口までの動線

この情報を整理したうえで、ロゴやサイン、メニュー表示を検討します。

要素主な役割デザイン上のポイント
ロゴお店の顔として世界観を象徴する細すぎる線や読みにくい文字は避け、外から見たときの視認性を最優先する
メインサイン遠くからでも店の存在と業種を伝える「店名+業種」をシンプルに表示し、歩道からの視線方向を意識した高さと位置に設置する
サブサイン営業時間や入口の位置など、来店のための情報を補足するドア横や目線の高さに配置し、情報量を絞って読みやすい書体と配色にする
メニュー表示価格帯やメニュー内容から「自分向けかどうか」を判断してもらうブラックボードやスタンド看板など、店の雰囲気に合った媒体を選び、見やすいレイアウトにする

特に、カフェや飲食店、美容室などでは、外から見える位置に価格帯や代表的なメニューを簡潔に示しておくと、初めてのお客様の心理的ハードルが下がります。たとえば「カット+シャンプー◯◯円〜」「本日のコーヒー◯◯円」のような内容を、メニュー黒板やスタンドサインで表示する方法があります。

フォントやサインの素材は、コンセプトとターゲットに合わせて選びます。手書き風のフォントや木製サインはナチュラル・カジュアルな印象になりやすく、金属製の立体文字やガラスに直接貼るシートサインはモダンでシャープな印象をつくりやすくなります。重要なのは、ファサード全体のテイストとサインのテイストを揃え、世界観に統一感を持たせることです。

また、視覚的におしゃれに見せるうえでは、「余白」も大切です。情報を詰め込みすぎず、ロゴの周囲に十分な余白をとることで、外装全体に落ち着きと品の良さが生まれます。

コンセプト設計から外装デザイン、ロゴやサイン計画まで、一貫して相談できるパートナーとして店舗デザイン専門会社を活用するのも有効です。例えば、Lovation(ロベイション)のように、初めての開業者のコンセプト整理から設計・デザインまでを丁寧にサポートしている会社に相談すると、アイデアを具体的な図面やデザインに落とし込むプロセスをスムーズに進めやすくなります。こうした専門会社のサポートを受けることも選択肢に入れておくとよいでしょう。

昼と夜で見え方が変わる照明計画のポイント

店舗外装を考えるうえで忘れがちなのが、「昼」と「夜」で外観の印象が大きく変わるという点です。特に、仕事帰りや休日の夕方以降に来店が多い業種では、夜の見え方を前提にした照明計画を組み立てることが重要です。

外装照明は、大きく分けて「外壁やファサードを照らす照明」「看板・サインを照らす照明」「店内の明かりが外に漏れて見える照明」の3つを意識すると考えやすくなります。

照明の種類役割ポイント
外壁・ファサード照明建物の輪郭や素材感を見せ、夜間の存在感をつくるダウンライトやスポットライトで壁面を柔らかく照らし、明るさにムラが出ないようバランスを取る
看板・サイン照明店名と業種をはっきり読めるようにする看板直付けのスポットライトや内照式サインを用い、文字がつぶれない明るさと光の方向を調整する
店内からの光店内の雰囲気を外に伝え、入りやすさを演出する大きな窓やガラス面がある場合は、店内の色温度や明るさを外から見たときの印象で決める

温かく居心地の良い雰囲気を出したい場合は、色温度の低い電球色(おおよそ2700〜3000K)の照明をベースにすると、空間が柔らかく落ち着いた印象になります。一方、清潔感やクリーンな印象を重視する場合は、やや高めの白色〜温白色の照明を組み合わせると、より効果的です。

外装照明の明るさは、明るすぎると眩しく、暗すぎると存在感がなくなってしまいます。周囲の街灯や近隣店舗の明るさとのバランスを見ながら、「お店の前に立ったときに顔がはっきり見える程度」をひとつの目安にすると、来店者の安心感につながります。

また、防犯の観点からも、入口まわりと看板まわりは、常にある程度の明るさを確保しておくことが望まれます。人通りが少ないエリアやビルの奥まった場所にある店舗では、入口までのアプローチ部分に小さな足元灯や壁付け照明を設置することで、「そこにお店がある」ことが自然に伝わり、来店しやすい雰囲気をつくることができます。

さらに、季節ごとに照明の演出を少し変えることで、リピーターのお客様にも新鮮さを感じてもらえます。たとえば冬場は店内の光を少し暖かめにして外に漏れるようにし、夏場は窓際を涼しげな演出にするなど、同じ外装でも光の使い方を工夫することで印象をアップデートしていくことが可能です。

雰囲気別店舗外装デザイン事例集

同じ「店舗外装費用」をかけるにしても、お店の雰囲気やコンセプトによって、選ぶべき色・素材・看板・照明計画は大きく変わります。ここでは、初めてお店を開く人でもイメージしやすいように、代表的な雰囲気ごとに、外装デザインの事例とポイントを整理して紹介します。

どの事例も、すべてを真似するのではなく、「自分のお店ならどの要素を取り入れるべきか」という視点で選び取るつもりで見てみてください。

ナチュラルでやさしい印象のベーカリーの外装事例

朝から地域の人が立ち寄るベーカリーでは、「入りやすさ」と「手づくり感」が伝わる外装が大切です。ナチュラルな雰囲気をつくる場合は、木目や白を基調としたシンプルなデザインが相性よく、過度な装飾をせず素材感で魅せることで、店舗外装の費用を抑えつつ世界観を表現できます。

項目デザインのポイント
コンセプト「毎日通いたくなる地域密着のパン屋」「焼きたての香りが外まで届く、ぬくもりのあるお店」など、生活に溶け込むイメージで統一する。
キーカラーベージュ、アイボリー、淡いグリーンなどのアースカラーを基調にし、アクセントで濃いブラウンを使って木の温かみを強調する。
主な素材木製ルーバー、塗装したモルタル、ラスティックなタイル、アイアンのサインなど、経年変化も味になる素材を選ぶ。
サイン・看板手書き風のロゴや、黒板サイン、日替わりメニューをチョークで書けるスタンド看板など、手づくり感が伝わるアイテムを使う。
窓まわり大きなガラスからパン棚や焼き上がりの様子が見えるように配置して、「中の様子がわかる安心感」と「ライブ感」を演出する。
店舗外装費用を抑える工夫腰壁部分のみ木を使い、上部は塗装で仕上げる、既存のサッシは残してガラスフィルムで雰囲気を変えるなど、部分的なリメイクでコストダウンする。

例えば、ファサード全体を木で新装すると店舗外装の費用は大きくなりますが、「入口まわりだけ木製ルーバーを設置し、その他は塗装で整える」といったようにメリハリを付ければ、費用対効果の高い外観づくりが可能です。

夜間は、スポットライトで看板と入口を柔らかく照らし、店内のペンダントライトの明かりが道路側にも漏れるように計画することで、「まだ開いている」「なんとなく入りたくなる」という印象を与えやすくなります。

落ち着いた大人向けカフェの外観デザイン事例

落ち着いた大人向けカフェでは、「長く滞在したくなる安心感」と「非日常感」のバランスが鍵になります。ナチュラルなベーカリーよりもトーンを落とし、素材や細部のデザインで上質さを表現していきます。

項目デザインのポイント
コンセプト「仕事帰りに一人で静かに過ごせるカフェ」「本を読みながらコーヒーを楽しむ大人の隠れ家」など、時間の過ごし方をイメージできる言葉で設定する。
キーカラーチャコールグレー、ダークブラウン、ネイビーなど深みのある色をベースにし、真鍮やゴールドをアクセントに使って落ち着いた高級感を演出する。
主な素材左官仕上げの壁、タイル貼りの腰壁、スチールフレームの扉、木製ドアハンドルなど、触れたときの質感も考慮して選ぶ。
サイン・看板壁面にロゴを立体切り文字で設置し、ライン照明でふわっと浮かび上がらせる。メインサインは控えめなサイズにし、世界観を崩さないようにする。
窓まわりあえてガラス面を減らして店内を見せすぎないようにしつつ、カウンター席付近だけ大きめの窓を設けるなど、開放感と安心感の両立を図る。
照明計画昼は自然光を取り込み、夜は2700〜3000K程度の電球色で統一して、外から見ても「落ち着いた明るさ」に見えるようにする。
店舗外装費用の考え方外装だけでなく、テラス席や植栽を含めて「外から見える全体」をファサードと考え、ポイントを3つ程度(入口・サイン・植栽など)に絞って集中的に投資する。

大人向けカフェの店舗外装にかかる費用では、「高価な素材を広い面積に使う」のではなく、「触れる場所や目に入りやすい場所」に絞って上質な素材を採用することが重要です。たとえば、扉のハンドルや入口周りのタイルだけグレードを上げ、その他の壁面は塗装で仕上げるなどの方法があります。

また、植栽を上手に使えば、外壁を大きく作り変えなくても雰囲気をガラッと変えられます。鉢植えのオリーブや常緑樹、ハーブなどを入口まわりにレイアウトすれば、外装工事の費用を抑えながらも、印象的なファサードを作ることができます。

ポップで入りやすいテイクアウト専門店の外装事例

テイクアウト専門店には、「歩いている人に瞬時に気づいてもらい、迷わず注文まで誘導する」ことを目的とした外装が求められます。滞在時間が短い分、外装デザインとサイン計画が売上に直結しやすい業態です。

項目デザインのポイント
コンセプト「駅前でサッと買えるスイーツ専門店」「公園帰りに立ち寄れるテイクアウトドリンクスタンド」など、シーンを明確に設定する。
キーカラーイエロー、ターコイズ、ピンクなどのビビッドカラーを1色決めて、他は白とグレーに抑えることで、目立ちつつも情報過多にならないようにする。
主な素材塗装仕上げの外壁、カラフルなタイル、アルミやスチールのカウンター、耐候性のあるシートサインなど、メンテナンスしやすい素材を選択。
サイン・看板道路側から一目で「何屋か」が分かるピクトサイン(ドリンクのアイコン、ソフトクリームのシルエットなど)を使い、メイン商品を視覚的に伝える。
窓まわり・カウンター受け渡しカウンターの位置を歩道側に近づけ、注文から受け取りまでの動線がひと目で分かるような形状にする。
照明計画袖看板や上部看板に内照式サインを採用し、夜でも視認性を確保。カウンター上は明るめの照明で、写真映えを意識した明るさにする。
店舗外装費用を抑える工夫既存のシャッターやサッシはそのまま活用し、塗装やシート貼りで色とデザインを統一する。看板もモジュール化し、将来のメニュー変更に対応しやすくする。

テイクアウト店では、店舗外装における費用の優先順位は、とても明確です。「遠くから見えるサイン」「注文・受け渡しのカウンターまわり」「メニュー表示」の3つに集中して投資することで、限られた予算でも高い集客効果を狙えます。

逆に、歩行者から見えない壁面にまで装飾を加えたり、情報量の多いポスターを貼りすぎたりすると、せっかくのポップな世界観が薄れてしまいます。常に「数秒で伝わるかどうか」という視点で外装をチェックしてみてください。

上質さを打ち出す美容室のファサード事例

美容室の外装は、「自分に似合うスタイルを提案してくれそうか」「信頼して任せられそうか」といったイメージに直結します。特に単価の高い美容室では、店舗外装 費用をある程度しっかりかけてでも、ブランドイメージを丁寧に構築することが、長期的な集客につながります。

項目デザインのポイント
コンセプト「大人の女性のためのプライベートサロン」「ヘアケア重視の上質サロン」など、来てほしいお客様像を明確にし、その人が安心できる雰囲気を目指す。
キーカラーホワイトグレーやベージュをベースに、真鍮やブラックで引き締めるなど、トレンドを押さえつつ長く使える色の組み合わせにする。
主な素材大判タイル、石調のサイディング、フラットな金属パネル、クリアガラスなど、直線的でシャープな印象の素材を組み合わせて「清潔感」と「信頼感」を表現。
サイン・ロゴロゴマークと店名をファサードの一番きれいな位置に配置し、間接照明で際立たせる。フォントは細めのサンセリフ体など、ミニマルで洗練されたものを選ぶ。
窓まわりカット面が外から丸見えにならないよう、腰壁や半透明フィルムで目線をコントロールしつつ、空間の広がりは感じられるようにガラス面を活かす。
照明計画夜間は、エントランスまわりとロゴを重点的に照らすライティングにし、「ここに行ってみたい」と思わせる絵になる外観をつくる。
店舗外装費用の配分美容室は内装工事にも費用がかかるため、外装では「エントランス」「サイン」「窓まわり」の3点に投資を集中させ、その他はシンプルにまとめる。

美容室の外装は、「自分に似合うスタイルを提案してくれそうか」「信頼して任せられそうか」といったイメージに直結します。特に単価の高い美容室では、店舗外装にある程度しっかりと費用をかけてでも、ブランドイメージを丁寧に構築することが、長期的な集客につながります。

上質さを打ち出す美容室では、ロゴ、入口のドア、ファサードの素材感の3つが、「ブランドの顔」になります。ここで中途半端に妥協してしまうと、料金と外観の印象のギャップが生まれ、初めての来店につながりにくくなることもあります。

一方で、ファサード全面を高級素材で仕上げると、店舗外装の費用が大きく膨らんでしまいます。そのため、お客様が最初に触れる場所(ドアハンドルや入口床材)と、写真に写りやすい背景部分に優先的に投資し、その他の部分はシンプルな塗装で整えるなど、メリハリをつけた設計が効果的です。

このように、美容室の外装は、「ターゲットとなるお客様像」と「ブランドとしての立ち位置」を踏まえて、総合的にデザインしていく必要があります。コンセプト設計から外装デザイン、看板計画まで一体で提案してくれるデザイン会社に相談すると、限られた店舗外装費用でも効果的な投資がしやすくなります。

低予算でもおしゃれに見せる店舗外装の工夫

限られた予算で店舗の外観やファサードを整える場合は、「全部を新しくする」のではなく、「活かせる部分を見極めてメリハリをつける」ことが大切です。そのように工夫すれば、十分に集客力とブランディングにつながる店舗外装をつくることができます。ここでは、初めて店舗をオープンする人でも取り入れやすい、現実的なコストダウンのポイントとデザインの工夫について、具体的に解説します。

外装を全部変えない前提で考えるリメイク術

店舗外装のリニューアルや新規オープン時の工事では、「どこまで触るか」を最初に決めておくことが、予算管理の大きな鍵になります。特に路面店やテナントでは、既存の躯体・サッシ・シャッターなどを活かしながら「見える部分だけを効果的に変える」リメイク術が有効です。

既存の構造・仕上げを活かす判断基準

コストを抑えながらも安全性とデザイン性を両立させるには、既存外装を「残す・隠す・活かす」の3つに仕分けして考えます。

判断対象になる部分の例ポイント
残す構造体、状態の良いタイル・サイディング、アルミサッシ安全性に問題がなく、クリーニングで見栄えが戻る部分はなるべく残す。
隠す汚れた下地、古いモルタル壁、色あせた金属パネル上から塗装やシート、ルーバーなどで覆い、短期間で印象を一新する。
活かす味のあるレンガ、古木、コンクリートの質感経年変化を「デザイン」として取り入れ、照明やサインで魅力を引き出す。

築年数の古い物件では、「古さ=マイナス」ではなく「素材感や質感=個性」と捉えることで、工事範囲を減らしながら、外観デザインの世界観をつくることが可能です。

部分的なリメイクで印象を変えるポイント

外装を一から作り替えなくても、次のような「見える面積の大きい箇所」に絞ってリメイクすることで、予算を抑えながらも店舗らしさを出しやすくなります。

  • アプローチ(入口まわり)の床材やマットを、コンセプトに合わせて統一する
  • 入口ドアの色・取っ手・金物を変えて、ショップの世界観を強調する
  • 庇(ひさし)やテント、オーニングを付けて、ファサードに「顔」をつくる
  • 視線の集まる高さ(人の目線〜頭上)を中心にして、壁面の色とサインを整理する

このように、人が自然と目にする範囲に投資し、それ以外は既存を活かすという考え方にすると、限られた外装費用でも「きちんとデザインされたお店」という印象を与えやすくなります。

塗装とシートをうまく使ったコストダウン例

外装は、「塗装」と「シート(フィルム)」を上手に組み合わせることで、予算を抑えつつ、おしゃれな雰囲気に仕上げることができます。タイル張り替えや金属パネルの新設などに比べ、塗装とシートは素材費・工事費ともに抑えやすいため、初めての店舗づくりでは特に検討したい方法です。

塗装を中心にしたコストを抑える外装づくり

塗装は、既存下地の上から施工できるケースが多く、色数を絞ることで材料費を抑えられる点がメリットです。外壁やファサードを塗装で整えるときは、以下のポイントを押さえることで、外観デザインの完成度が高まります。

  • ベースカラーは1〜2色に絞り、アクセントカラーは入口周りに限定する。
  • マット(つや消し)仕上げを選ぶと、落ち着いた印象になり、高級感も出やすくなります。
  • 雨だれや汚れが目立ちにくい色や明度を選び、メンテナンス頻度を下げます。
  • ロゴやピクトサインをステンシル塗装で表現し、看板の数を減らします。

特にカフェやベーカリー、美容室などでは、白一色ではなく「ややトーンを落としたグレージュやライトグレー」をベースにすることで、少ない色数でも雰囲気のある外観に仕上げられます。

シート(フィルム)を活用したデザインと費用対効果

ガラス面や既存扉、金属サイディングなどは、ダイノックシートやガラスフィルムなどのシート材を活用することで、張り替えや造作工事を行わずに印象を大きく変えられます。

シートの種類よく使う場所デザイン上のメリット
ダイノックシートなどの化粧フィルム既存扉、カウンター正面、外部柱、シャッターの一部木目・石目・メタリックなど素材感を表現しやすく、高級感を出しやすい。
ガラス用フィルム(すりガラス調・カラー)ショーウィンドウ、入口ガラス、テーブル席の目隠し内部の様子を程よく隠しながら、ロゴやメッセージを載せてサインとしても活用できる。
カッティングシートガラス面のロゴ、営業時間表示、メニュー表示看板を増やさずに情報をわかりやすく伝えられ、貼り替えも簡単。

塗装とシートを組み合わせると、「遠くから見たときの大きな面積」は塗装で、「近くで目にする細部」はシートで質感を出すというメリハリをつけやすく、費用対効果の高いファサードデザインを実現しやすくなります。

低予算でも外装に一体感を出すコツ

予算に制限があっても、お店の外観に一体感があれば「ちゃんとデザインされている」という印象になります。そのためには、あらかじめ次のようなルールを決めてから、色や素材を選ぶのがおすすめです。

  • 外壁・建具・サインの色を「ベース・サブ・アクセント」の3色以内にまとめる
  • 木目・コンクリート・金属など、表現する「素材の種類」を増やしすぎない
  • 看板・メニュー・ガラスサインのフォントとロゴの使い方を統一する
  • 夜の見え方を想定し、照明の色温度(電球色・中間色など)をコンセプトに合わせて選ぶ

色・素材・文字のルールをあらかじめ決めておくと、工事途中で「やっぱりこれも足したい」となりにくく、外装費用の増加を抑えることにもつながります。こうした外装デザインのルールづくりや塗装・シートの使い分けに不安がある場合は、店舗デザインを専門とするLovation(ロベイション)のような会社に相談することも検討するとよいでしょう。

既存のサッシやシャッターを活かすアイデア

テナント物件や居抜き物件では、アルミサッシやスチールシャッターなど、「変えると高額になりやすい部分」こそ、うまく残しながらデザインに取り込むことが重要です。既存を活かせれば、構造を変えるような大掛かりな工事を避けられ、店舗外装の費用を大幅に節約できます。

サッシを変えずに印象をやわらかくする工夫

アルミサッシを新しいものに取り替えると、ガラス工事も含めて高額になりがちです。以下のような工夫で、サッシをそのまま活かしつつ店舗の世界観に近づけることができます。

  • サッシのフレームのみ塗装し、外壁とのコントラストを抑えてなじませる
  • 内側に木製の見付け材(枠)を追加し、外側から見える縁にあたたかみを出す
  • ガラス面にロゴやショップネーム、メッセージをシートで貼り付けて、視線の抜け方をコントロールする
  • 腰高までガラスフィルムを貼り、上部には抜け感を残すことで、外からの視線を調整する

特に、美容室やサロン、カフェなど、「中の様子が見えすぎると入りづらい」業種では、ガラスフィルムとサッシの色の組み合わせ次第で、安心感とオープンさをバランスよく両立させられます。そのため、あえて全面ガラス張りをそのまま活かすケースも少なくありません。

シャッターをデザイン要素として活かす方法

シャッターの交換は、サイズや仕様によっては、外装工事の中でも特に費用がかかる部分です。一方で、閉店後や定休日には通行人の目に触れる「看板的な面」でもあるため、デザイン次第でイメージアップの大きな要素になります。

  • シャッター全体をコンセプトカラーで塗装し、ロゴやアイコンだけをシンプルに配置する
  • シャッターBOX(巻き取り部分)を外装と同じ色で塗装し、ファサード全体のラインを整える
  • シャッター前に取り外し可能な置き看板やフラッグを計画し、営業時と閉店時で見え方を切り替える
  • イラストやパターンをペイントして、「夜の顔」としての世界観を演出する

このように、既存のサッシやシャッターを「隠す」のではなく「整えて見せる」発想に変えることで、大きな工事をしなくても店舗外装の印象をコントロールできるようになります。

外装全体を通して「やりすぎない」ことがコストとデザインの鍵

低予算でおしゃれな店舗外装を実現するには、「全部を完璧に作り込もうとしない」ことが、むしろ大切です。外装のどの部分を見せ場にするのか(入口まわり・サイン・ショーウィンドウなど)を決め、その他の部分は既存を活かしながら「整える」レベルにとどめることで、予算とデザインの両立がしやすくなります。

自分だけでは、どこを残してどこに投資すべきか判断が難しい場合は、店舗外装や店舗デザインに詳しい専門家と一緒に現地を確認し、優先順位を整理してから見積もりを取ると、無駄の少ない計画を立てやすくなります。

店舗外装の見積もりと業者選びの進め方

安さだけで選ばないための見積書の読み方

店舗外装工事の見積書は、ただの「金額の一覧」ではなく、工事範囲や品質、工期を確認するための重要な資料です。総額だけを見て「一番安い会社」に決めてしまうと、必要な工事が見積もりに含まれていなかったり、あとから追加費用が発生したりするリスクがあります。まずは項目ごとに「何にいくらかかるのか」を読み解き、その内容が自店のコンセプトに見合っているかどうかをチェックしましょう。

一般的な店舗外装の見積書では、「共通仮設工事」「解体撤去工事」「外壁・ファサード工事」「塗装工事」「ガラス・サッシ工事」「サイン・看板工事」「電気・照明工事」「諸経費」などの区分に分かれていることが多く、それぞれの区分ごとに数量・単価・金額が記載されています。単価だけでなく「数量」が妥当かどうかを見ることで、過剰な見積もりや、逆に不足している工事を発見しやすくなります。

主な項目見積書で確認したいポイント注意しておきたいリスク例
工事範囲・仕様どこからどこまでが施工対象か、仕様書や図面と一致しているか必要な部分が見積もりに含まれておらず、後から「別途工事」として追加費用が発生
材料・仕上げ外壁材・塗料・ガラス・サインなどのグレードやメーカー品番が明記されているか打ち合わせ時のイメージと異なる安価な材料に置き換えられてしまう
数量・単価㎡数・本数・台数などが図面と整合しているか、極端に高すぎないか数量が大きく水増しされていたり、逆に少なすぎて追加工事になったりする
諸経費・設計料現場管理費・諸経費・デザイン料の内訳が明記されているか「一式」表記の中に何が含まれるか不明で、比較検討ができない
工期・スケジュール見積条件として工期や夜間工事の有無が書かれているかタイトなスケジュールのために品質が犠牲になったり、延長で追加費用がかかったりする
保証・アフターサービス保証期間や対応範囲、定期点検の有無が契約前に説明されているか引き渡し後の不具合に対応してもらえず、別途修繕費が発生

特に注意したいのが、「一式」という表記の多さです。「ファサード工事一式」「看板工事一式」のような、ざっくりとした表現が多い見積書は、後で内容を巡ってトラブルになりやすくなります。「一式に含まれる具体的な作業と材質を、できるだけ細かく書いてほしい」と依頼し、可能であれば図面や仕様書とセットで確認しましょう。

また、外装工事は店舗の営業開始日やプレオープン日と密接に関わるため、見積書段階で「工期」や「夜間・休日工事の割増」などの条件を明確にしておくことが重要です。契約に進む前には、国土交通省が公表している建設工事標準請負契約約款や、その解説資料に示された考え方なども参考にしながら、支払い条件や遅延時の取り扱いについても確認しておくと安心です。

さらに、必ず複数社から相見積もりを取り、金額だけでなく工事内容や提案の質を比較することが大切です。同じコンセプトを共有しても、会社によって提案される素材やディテールは大きく変わります。見積書は、単なる価格比較ではなく、「どの会社が自分の理想の店舗外装を具体的に理解し、形にしようとしているか」を見極める材料として活用しましょう。

デザイン事務所と工務店それぞれに頼む場合の違い

店舗外装を依頼する際、「デザイン事務所(店舗デザイン会社)」に頼むのか、「工務店・リフォーム会社」に直接頼むのかによって、進め方や仕上がり、費用の構造が変わります。どちらが正解というわけではなく、理想とする店舗像や予算、オーナー自身がどこまで関わりたいかによって適した選択が異なります。

項目デザイン事務所・店舗デザイン会社工務店・リフォーム会社
強みコンセプト設計やブランディング、ファサードの見せ方が得意。ターゲットに合わせた外観デザインを提案しやすい。施工経験が豊富で、工事段取りやコスト管理に強い。標準的な仕様ならスピーディーに対応しやすい。
関わり方ヒアリングに時間をかけて、ブランドイメージや理想像を言語化しながら計画を進める。決まった仕様・素材の中から選ぶスタイルになりやすく、デザイン打ち合わせの時間は比較的少なめ。
費用構造デザイン設計料+工事費という形になり、トータルでは高く見えることもあるが、デザインの自由度が高い。設計・デザイン料を工事費に含めているケースが多く、見積書上は割安に見えやすい。
施工体制自社施工の会社もあれば、協力工務店と組んで工事を行う会社もある。設計と施工が分かれる場合は、監理や調整の役割が重要。自社大工や協力業者が施工を担当。標準的な住宅・店舗リフォームには慣れているが、デザイン性の高い外装は得意不得意の差が出やすい。
向いているケース「ブランドイメージを大切にしたい」「他店と差別化した外観にしたい」「コンセプトから一緒に考えてほしい」場合。「テナント外装の一部改修だけしたい」「予算を優先してシンプルに仕上げたい」「標準仕様の範囲で十分」な場合。

自分の理想像を具体的な外装デザインに落とし込みたい場合は、「誰にどんな印象を与えたいのか」を丁寧に聞き出してくれるパートナーを選ぶことが重要です。また、見積もり段階の打ち合わせで、ターゲット像・売りたい体験・長く続けたいイメージについて深く質問してくれるかどうかも、業者を見極めるポイントになります。

また、契約スキームにも違いがあります。デザイン事務所に設計を依頼し、別の工務店に施工を依頼する「設計・施工分離方式」の場合、見積もり比較がしやすくなる一方で、オーナーが間に入って調整する場面も増えます。これに対して、デザインから施工まで一社で請け負う「設計・施工一括方式」は、窓口が一本化される分、コミュニケーションの負担は減りますが、相見積もりが取りづらいこともあります。民間小規模工事向けの契約書類としては、民間(七会)連合協定リフォーム工事請負契約約款なども参考になります。

自分の理想像を丁寧に言語化しながら外装デザインと施工の両方を相談したい場合は、ロベイションのような会社に相談することも検討するとよいでしょう。ロベイションの店舗デザイン相談ページでは、初めての開業でも不安を整理しながら、コンセプトづくりから外装計画まで一貫したサポートが受けられます。

複数パターンで見積もりを比較する

デザイン事務所に依頼する場合でも、工務店に直接依頼する場合でも、「ベースプラン」と「グレードアッププラン」など、少なくとも2パターン以上の見積もりを出してもらうことをおすすめします。例えば、ファサードの仕上げを「塗装+サイン」で抑えたプランと、「木ルーバー+間接照明+立体サイン」で見せるプランを比較すれば、予算に対してどこまでデザイン性を追求するか判断しやすくなります。

このときは、「どの項目を変更すれば、どれくらい金額が変わるのか」をあわせて説明してもらうことがポイントです。単に総額だけを比べるのではなく、「照明計画を簡素化すると◯万円削減」「ファサードの素材変更で+◯万円」といった形で、コストと見た目のバランスを理解しながら外装プランを決めていきましょう。

施工事例と担当者との相性を確認する

業者選びでは、見積もり金額だけでなく、過去の施工事例や担当者との相性も非常に重要です。公式サイトやポートフォリオに掲載されている店舗外装の写真を見て、「自分のイメージに近いテイストの実例があるか」「細部まで丁寧に仕上がっているか」をチェックしましょう。

打ち合わせでは、担当者がこちらの話をよく聞き、疑問点について専門用語をかみ砕いて説明してくれるかどうかを、よく観察しましょう。こちらが理想像をうまく言葉にできないときに、写真やスケッチを使ってイメージを引き出してくれる担当者は、店舗づくりにおいて頼れるパートナーとなります。

打ち合わせで聞いておくべき確認ポイント

見積書の内容がある程度固まってきたら、契約に進む前の打ち合わせで「聞きづらいけれど、後からトラブルになりやすいこと」をしっかり確認しておくことが大切です。ここでは、店舗外装工事の打ち合わせで必ず押さえておきたいポイントを整理します。

工事範囲と「別途工事」の線引き

まず確認したいのが、見積書に含まれる工事範囲と、含まれない「別途工事」の線引きです。例えば、次のような点は、店舗外装工事で見落とされやすい部分です。

  • テナントビル側の共用部(アーケード・袖看板・共用廊下側サイン)の工事が含まれているか
  • 既存看板やテントの撤去・処分費用が見積書に含まれているか
  • 原状回復工事が必要になった場合の費用負担はどうするか
  • 電気容量の増設や幹線工事が必要になった場合の扱い

「今回はここまでが工事範囲で、これ以外は追加費用になります」というラインを図面に赤入れして共有しておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。々の認識違いを減らすことができます。

追加工事が発生した場合のルール

工事が始まってから現場を開けてみると、予想外の劣化や構造上の問題が見つかり、追加工事が必要になるケースは少なくありません。そのため、追加工事が発生した場合の見積もりや承認の手順を、事前に決めておくことが重要です。

  • 追加工事の見積書を事前に提示してもらえるか
  • 口頭の依頼ではなく、メールや書面で内容を残すルールになっているか
  • 工期への影響がある場合、その説明と代替案の提案をしてもらえるか

標準的な建設工事では、契約約款で追加工事の扱いが定められていることが多く、国土交通省が公表している「建設工事標準請負契約約款」のパンフレットなども参考になります。店舗外装工事の規模が比較的小さい場合でも、「追加工事は必ず見積書を交わしてから着手する」などのルールを事前に取り決めておくことで、余計なトラブルを防ぐことができます。

工期・スケジュールと近隣配慮

店舗の外装工事では、営業開始日や内装工事との工程調整だけでなく、近隣店舗や住民への配慮も欠かせません。工事前の打ち合わせでは、次のような点を確認しておきましょう。

  • 着工日や完工日だけでなく、解体・足場組み・サイン取り付けなどの主要な工程のスケジュール
  • 商業施設やテナントビル側の工事可能時間帯・騒音ルールへの対応
  • 搬入経路や養生方法、共用部の清掃責任の所在
  • 雨天順延など、天候不良時のスケジュール調整の考え方

特に路面店の場合は、工事中の見え方が、すでにそのお店の印象の一部になることを意識しておきたいものです。仮囲いのデザインや、工事中に掲示する「近日オープン」のポスターなども、外装計画の一部として相談するとよいでしょう。

店舗の外観デザインならLovationにご相談ください

Lovationのイメージ画像

店舗外装は、ただ「おしゃれに見える」だけでなく、通りがかりの人に店舗のコンセプトや価格帯、安心感を一瞬で伝えられる、非常に重要なコミュニケーションツールです。しかし、いざ自分のお店となると、「理想のイメージはあるけれど、具体的にどこから手をつければいいのかわからない」「施工会社にどう伝えればよいのか不安だ」と感じる方も多くいらっしゃいます。そのようなオーナーに伴走しながら、コンセプト設計から外観デザイン、オープンまでを一貫してサポートしているのが、店舗専門のデザイン会社「Lovation(ロベイション)」です。店舗外装の費用対効果を高めたい方は、自分の理想像を整理しながら形にしていくプロセスに伴走してくれるパートナーを選ぶことが重要です。

特に、ここまで読んで「自分の理想はあるのに、具体的な外観デザインや費用の配分に落とし込めない」と感じた方は、ロベイションのような会社に相談することも検討するとよいでしょう。まずは、情報収集や整理のための相談先として、Lovation公式サイトをチェックしてみてください。

さまざまな業種でのデザイン実績がある

理想の外観イメージがあっても、それが実際の業種や立地、ターゲットに合っていなければ、期待したほど集客につながりません。Lovationは、美容室・カフェ・飲食店・フィットネスジムなどを中心に、全国で180件以上の店舗デザインを手がけており、業種ごとの「選ばれる理由」を外観に落とし込むノウハウを蓄積しています。例えば、同じ「ナチュラルテイスト」の外装でも、ベーカリーとヘアサロンとでは素材選びやロゴの見せ方、ファサードの抜け感の作り方が変わります。このような違いを明確に整理したうえで提案してくれるパートナーは、多くありません。

また、Lovationでは、ロゴデザインやメニュー表示、ファサードサインの配置など、外装デザインとブランディングを一体で考えるスタンスをとっています。単に「外壁をおしゃれに塗り替える」だけでなく、ターゲット顧客の心理や動線を踏まえて、どの位置から店名が読まれるべきか、何メートル手前から光や色が目に入るべきかといった視点で設計してもらえる点も特徴です。なお、業種別の外装・外観のポイントは、Lovationの「事例・お客様の声」ページなどでも確認できます。

業種よくある課題Lovationが重視する外観デザインのポイント
カフェ・飲食店競合が多く、価格帯や雰囲気の違いが伝わりにくい。夜間は店内が見えづらく、入りにくさを感じさせてしまう。窓面の見せ方と照明計画を組み合わせ、メニューのイメージや滞在シーンが外からイメージできる外観を設計。行き交う人が一瞬で「どんな時間を過ごせる店なのか」を理解できるようにする。
美容室・サロン内装へのこだわりが強い一方で、外装が平凡になりがち。価格帯や得意とするスタイルが外から伝わらない。ガラス面の見せ方やレセプション付近のライティングを工夫し、「高級感」「親しみやすさ」などの世界観をファサードで先に感じてもらうデザインを提案。看板のフォントやロゴサイズもターゲット像に合わせて調整。
物販店(アパレル・雑貨など)商品数が多く、ウインドウに詰め込みすぎて雑多な印象になってしまう。外から見たときの「抜け感」が不足し、素通りされてしまう。視線の高さや通行人の歩行速度を踏まえ、「見せる商品」と「敢えて見せない余白」を設計。外観だけで世界観が伝わるよう、什器やサイン計画まで含めてトータルでデザイン。

このように、業種ごとの特性とターゲットの心理を踏まえて外観設計を行うことで、限られた外装予算でも「通りがかりのお客様が思わず立ち止まる」デザインにすることができます。具体的な事例やデザインのスタンスについては、Lovationの「わたしたちについて」ページで確認できます。

路面店舗のデザイン実績が多い

初めての路面店舗では、「間口が狭いけれど目立たせたい」「古いビルの1階で、どうやって世界観を出したらいいかわからない」といった悩みを抱えるオーナーも少なくありません。Lovationは、路面の美容室やカフェ、飲食店などのデザイン実績が豊富で、通行量・歩くスピード・視線の高さなど、ストリートの条件を踏まえた外観計画を得意としています。

例えば、間口が狭い物件でも、ファサードの奥行きと縦方向のラインを強調することで実際の幅よりも広く感じさせたり、袖看板や突き出しサインを使って遠くからでも業種がわかるようにしたりと、「限られた条件の中でどこまで印象を最大化できるか」という視点で外装を設計します。また、テナント規約が厳しいビル内の路面店舗では、原状回復の条件やサインサイズの制限を踏まえたうえで、シート貼りや既存サッシの活用などを組み合わせる、費用対効果の高い手法の提案も可能です。

さらに、歩道側からの見え方だけでなく、斜め方向や車道からの視認性も含めて検証し、「何メートル手前で看板が目に入り店名を認識してもらえるか」「夜間にどの程度の明るさで浮かび上がるべきか」といった点まで設計に落とし込んでいきます。こうした「路面店舗ならではの外観の見え方」への配慮は、実店舗での経験が多いデザイン会社だからこそ提供できる強みと言えるでしょう。

魅力あるお店づくりに力を入れている

Lovationが重視しているのは、「外装をかっこよくすること”だけ”ではなく」あるいは「外装をかっこよくすることよりも」、オープン後も長く愛されるお店をつくることです。そのために、ヒアリングの段階から、オーナーの理想の将来像や、来てほしいお客様像、「どんな言葉で口コミを書いてもらいたいか」といったところまで丁寧に深掘りしていきます。これらを踏まえて、「通りがかりの人が最初に目にする外観に、その想いをどこまで込められるか」を一緒に考えていきます。

また、Lovationは、開業を検討している人向けに、店舗開業の基本やデザインの考え方をまとめた無料資料や相談会も提供しており、「まずは情報を整理したい」「何から決めればいいのか教えてほしい」段階から相談できる体制を整えています。開業や外装費用の考え方など、デザイン以外の悩みも含めて総合的に相談できるので、「理想はあるのに、何をどう頼めばいいかわからない」という方とは、特に相性が良いでしょう。

初めての店舗外装づくりでは、不明点や不安を一人で抱え込むほど、判断基準があいまいになってしまい、結果として余計なやり直しや予算オーバーにつながりがちです。そうしたリスクを避け、理想像を整理しながら外観デザインと費用配分を決めていくためにも、Lovationが選ばれる理由を参考にしながら、自分に合ったパートナーを検討してみてください。

まとめ

店舗外装は「お店の第一印象」を決め、集客や売上に直結する大切な投資です。本記事では、外装にかかる費用の相場や内訳、コストを左右する要素、予算の立て方、デザインの考え方までを取り上げ、初めての出店でも迷いにくくなるポイントを整理して解説します。

外装費用は、物販店・カフェ・飲食店・美容室などの業種や店舗の規模、ファサードの大きさ、使用する材料のグレード、照明・電気工事の有無、看板の種類、デザイン設計料と施工費用のバランス、さらにテナント規約といった条件によって大きく変動します。そのため「一律いくら」とは言えず、コンセプトとターゲットに合わせた現実的なラインを見極めることが重要です。

また、総予算の中で外装にどこまでかけるかを決めて優先順位を明確にすると、「お金をかける場所」と「抑える場所」にメリハリをつけることができます。塗装やシート活用、既存サッシ・シャッターを生かす工夫など、低予算でも印象を大きく変えられる方法も多数あります。

この記事の要点を以下にまとめます。

  • 店舗外装は「お店の顔」であり、通行人の入店率やリピート率に大きな影響を与える。
  • 業種・規模・立地・物件の状態・材料・照明・看板・テナント規約などが外装費用を左右する主な要因となる。
  • 総予算の中で外装にかけられる上限を決め、コンセプトとターゲットに沿って優先順位をつけることが重要である。
  • コンセプトを一言で言語化し、ターゲットに合った色・トーン・サイン計画・照明計画を整理すると、デザインの方向性がぶれにくくなる。
  • すべてを新しくするのではなく、塗装・シート・既存躯体の活用などでコストを抑えながら「見せたい部分」に集中投資すると効果的である。
  • 見積書では「デザイン料」「施工費」「材料費」「予備費」などの内訳を確認し、安さだけで判断せず、複数社の比較と質問を通じて適正価格と信頼性を見極めることが大切である。
  • 不安な点や判断に迷う点がある場合は、店舗デザインに実績のある設計デザイナーや専門会社に相談することで、ターゲットにとって居心地のよい外観づくりに近づけることができる。

店舗外装に関する悩みを解決するための進め方を、ステップごとに整理すると次のようになります。

  1. コンセプトとターゲットを決める
    お店の目的、誰に来てほしいか、どんな気分になってもらいたいかを言葉にし、「一言キャッチコピー」に落とし込む。
  2. 総予算と外装に回せる上限を決める
    自己資金と融資額を整理し、内装・設備・運転資金とのバランスを踏まえて、外装に充てられる現実的な金額を設定する。
  3. 優先順位をつける
    ファサード、看板、照明、窓まわり、入口まわりなどの中で「一番印象を左右する部分」から順に、予算をかける順番を決める。
  4. 現状の建物をどう活かすかを考える
    すべてを解体・新設するのではなく、既存のサッシ・シャッター・外壁を塗装やシート、装飾で活かせないかを検討する。
  5. 複数の業者に相談・見積もりを依頼する
    コンセプトと希望条件、予算の上限を伝え、同じ条件で2~3社程度から見積もりと提案を受けて比較する。
  6. 見積書と図面・イメージをセットでチェックする
    金額だけでなく、「どの材料を使うか」「どこまで工事に含まれるか」「夜の見え方はどうか」などを具体的な図面・パースと一緒に確認する。
  7. 迷う部分は専門家に相談して決定する
    費用対効果が読みにくい箇所や色・素材の選択など、判断が難しい点は設計デザイナーや外装に詳しい担当者に意見を聞いたうえで決める。
  8. オープン後の維持・メンテナンスも見据える
    塗装や看板照明など、どの程度のサイクルでメンテナンスが必要かを事前に確認し、ランニングコストも踏まえて素材や仕様を選ぶ。

もし少しでも判断に迷うところがあれば、店舗デザインを専門とする設計デザイナーや実績のあるデザイン会社に相談し、ターゲットにとって居心地がよく長く愛される外観づくりについて、一緒に考えてもらうことをおすすめします。

あなたが思い描く理想の店舗をかたちにしていくうえで、本記事の内容が少しでも外装計画や費用検討の助けとなれば幸いです。

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